第0話 私の視点



01 晴雪(はれゆき)です。私、変ですか?


 My name is Hareyuki amagumori…ワタシの名前は雨曇 晴雪(あまぐもり はれゆき)いいます。
 日本に帰化しました。
 今では立派な日本人です。
 ワタシ、日本の女の子に大変興味あります。
 とても魅力的ね。
 友達になった春都は先輩が好き…
 秋彦は後輩が好きね…
 でも、ワタシはやっぱりタメ年…
 同級生が好きね。
 日本の女の子、みんなやらしい…間違えました、優しいですね。
 だから好きよ、ワタシ。
 男の子、みんな、ワタシの事、変言うね。
 ソウルが違う言うね。
 だから、仲良くなれたの春都と秋彦だけね。
 でも、女の子違う、みんな、ワタシのこと面白い人ねと言ってくれます。
 面白いは良いことね。
 フールって事じゃないね。
 だから気にしないね。
 皆さん、仲良くしましょうね。


02 気になる女の子と秘密クラブ


 女の子みんな素敵ね。
 みんな、みんな素晴らしい。
 でも、ワタシ、特に気になる人いるね。
 七瀬 菜奈歩(ななせ ななほ)いうね。
 本人、ナナがいっぱいある言って名前好きじゃないみたいね。
 でも7はラッキーセブン。
 良い数字ね。
 彼女は学校に来て最初のガールフレンドね。
「晴雪君…それ違う…」
 彼女、素敵…じゃなくて指摘してくれます。
 とても親切ね。
 彼女と仲良くなりたい。
 ワタシの希望ね。

「ななほさーん、今日も現金ね〜」
 ワタシ、菜奈歩さんに挨拶したね〜
「晴雪君、それを言うなら元気よ、現金だとお金の事言っているのよ」
「おーそれはソーリー。ひげそーりーじゃないね。あやまってるね」
「なんだか、その言い方だとからかっているように聞こえるんだけど」
「ノーノーノー、ワタシ、大まじめね〜。真剣よ」
「そうは思えないわね」
「それはおいておいて、ななほさん、今日こそ、秘密教えて欲しいね」
「な、何のことかしら?」
 菜奈歩さん嘘つくのとても下手ね。
 鼻の穴がぴくぴく動くね。
 すぐ解る。
「とぼけてもダメね。ワタシ、菜奈歩さん覚悟、隠し事してるの解ったね。ぴーこ、ピーンときたね」
「何でも無いったら」
「今日は何処までも追って行くね」
「しつこいな〜じゃあ、私は予定があるから」
「あ、待つね」
「ばいばーい」
 菜奈歩さんは行ってしまった。
 でも心配ないね。
 菜奈歩さん、いつも回り道しているからワタシが近道で追いつくの簡単ね。
 今日こそ、場所つきとめるね。

 ワタシはまかれたふりして、近道通って待ち伏せたね。
 すると、菜奈歩さん、やっぱり、こっち来たね。
 ワタシ、このまま出て行かないで隠れてるね。
 
 菜奈歩さんはキョロキョロしながら、使われてない用具室の方に向かったね。

 コンコン
 ドアノックね。
 コンコン
 中で音がしたね。
 誰か中に居るね。
「山」
「川」
「0」
「7」
 暗号か何かね?
 ドアが開いて、女の子顔出したね。
「見つからなかった?」
「多分、まけたと思うけど……」
「大丈夫?菜奈歩、意外に抜けてるから」
「大丈夫よ、茉里」
「そう?まぁ入って」
「うん」
 菜奈歩さん、部屋に入ったね。
 菜奈歩さんと話してた女子、ワタシ知ってるね。
 麗野 茉里(れいの まつり)さんね。
 麗野が【0】
 七瀬が【7】ね。
 納得いったね。

 婦女子がこんな密室で怪しげな事をしている……
 これはいかんのではないでしょうか?
 可愛い女子達がいかがわしい事をしないように武士としては注意せねばなりませんね。

 ワタシ、早速用具室の前にたったね。

「たのもー」
「………」
 反応無いね。
 もう一度。
「ごめん」
「………」
 白を切る気ね。
 ならば、強行突破ね。
「晴雪参る」
 ワタシはドアを蹴破って入ったね。
 すると……
「きゃー」×8
 黄色い声が聞こえたね。
 八つくらい。

「は、晴雪君、どうしてここに?」
「菜奈歩さん、ワタシの尾行術、見抜けなかったね」
「ちょっと、菜奈歩」
「ごめん、みんな。つけられてたみたい」
「壁に耳あり将棋に目ありね」
「それをいうなら障子だから」
「細かい事は良いね。さあ年貢の納め時ね」
 悪事は婦女子であろうと許さない。
 それがワタシの美学ね。
 さあ観念するね菜奈歩さん。
「バレちゃったものはしかたないか」
「さあ白鳥するのです」
「白状ね、それ。それはおいておいて……」
「うっ何するね。わ、ワタシに色仕掛けは」
「誰が使いますか。それより、あなたを男、……武士だったっけ?武士と見込んで私達の秘密クラブの用心棒になって貰いたいと思ってさ」
「用心棒?すると誰かに狙われているのですか菜奈歩さん?」
「そうね、狙っているのはマスコミ、そして、興味本位で調べようとする科学者あたりかしら?」
 ワタシの知らない陰謀の匂いするね。
 ワタシは菜奈歩さんの話を聞いたね。

「出てきて良いわよ、どっぺちゃん」
「………ぷきゅ?」
 菜奈歩さんが視線を向けた先に居たのは妖怪変化だったね。
「やや、面妖な。さては妖怪?」
「晴雪君は見た目で判断する人なの?」
「う……ち、違うね」
「この子はどっぺちゃん。ドッペルゲンガーよ。どこにも行くところが無くて私達で匿っているの」
「な、何故ね?」
「決まっているでしょう。この子の事を知ったらマスコミ達が面白半分に騒ぎ出して、どこかの研究所に連れて行かれるかも知れないからよ。晴雪君はどっぺちゃんの家を壊したんだからまずは謝ってね」
「家?ここがですか?」
「そうよ。幸い、どっぺちゃんっは他人に変身する事が出来るから時々、私達と入れ替わって私達の家でくつろいで貰っているけど、基本的にはここが住処よ」
「なんと、そうだったのですか」
「ただ、どっぺちゃんは【ぷきゅ】しかしゃべれないからあんまり長居するとばれちゃうから隠れているのよ」
 なんと、なんと、なんと。
 ワタシ全然気付かなかったね。
「ワタシはどうすれば……」
「だから、用心棒になってよ」
「し、承知いたしましたね」
 ワタシはどっぺちゃんなる妖怪を守るための用心棒になることに了解したね。
 考えて見れば、ワタシも日本に来た頃、周りに好奇な目で見られたね。
 その辛さ解るね。
 ワタシ、頑張ってどっぺちゃん守るね。
 でも、どうやって守ったらいいね?
 ワタシ全然わからないね。

「とにかく、メンバーの自己紹介をするわね、まずは、私、七瀬 菜奈歩(ななせ ななほ)。同じクラスだから解るわね。得意は空手などの格闘技全般ってところかな。改めてよろしく」
「よろしくです」
 菜奈歩さんと親しくなれた気がしたね。

「私は麗野 茉里(れいの まつり)。得意は占いかしらね。霊感も少しあって、たまに見えたりするわ」
「よろしくです」
 茉里さんと話すのこれ初めてね。

「私は市ヶ谷 恭子(いちがや きょうこ)。得意というか趣味は料理かな?だから料理クラブにも入っているしね」
「よろしくです」
 恭子さんですね。
 覚えました。

「あたしは仁科 瑠璃杏(にしな るりあん)。一応、ハーフよ。一応、半分はあなたと同じ外国人って事で」
「ワタシ、帰化したので日本人ね」
「そう?かなり怪しいよ、君」
「ノーノーきっついの日本人ね」
「生粋と言いたいのかしら?」
「そうそう。間違えないで欲しいね」
「はいはいよろしくね」
「よろしくです」
 瑠璃杏さんですね。
 覚えました。

「私は三宮 紫歩梨(さんのみや しほり)よ。一応、アイドルと小説家をやっているわ。そこそこ売れてるから資金面の相談なら私に言ってね」
「おーそれは頼りになりますです」
 紫歩梨さんですね。
 覚えました。

「うち……椎名 瑞花(しいな みずか)言います。あの、うち……なんも得意とか無くてその……」
「笑った顔がチャーミングね」
「あ、ありがと」
「よろしくです」
 瑞花さんですね。
 覚えました。

「あたいは五井 美咲(ごい みさき)。って宿命のライバルをまさか解らないとは言わないわよね?」
「言わずもがな。解ります、美咲さん。ワタシのライバルね。成績は十五勝十四敗三引き分けね」
「あーてめー、あの時のラーメン大食い勝負の事言ってんのか?あれはスープは無効っつったろーが、スープ入れなきゃあたいが勝ってんだよ。だからあんたは十四勝であたいが十五勝だろうが」
「ノーノーそれは違うね。ワタシが十五勝、あなたが十四勝ね」
「てめえとはいつか決着をつけねーといけねぇみてえだな」
「そうね。大食い王の称号はやれないね。白黒つけるね」
「やるか?」
「やらいでか……と言いたい所ですが、今はそんな時ではないね」
「そ、そうだな。まぁよろしく」
「よろしくです」
 美咲さんも居たのですね。

「蓮ちゃんは、武蔵山 蓮(むさしやま れん)って言います。趣味は可愛い物を集める事なのぉ。よろしくねぇ」
「よろしくです」
 蓮さんですね。
 覚えました。

「ぷきゅ」
「おお、どっぺちゃん殿、よろしくです」
 どっぺちゃんですな。
 覚えましたぞ。

「ワタシ、雨曇 晴雪(あまぐもり はれゆき)と言います。趣味は武士です。剣に生き剣に死ぬるは我が本望と思っていますが、今は銃刀法で剣持てませんね。それが残念です。 世が世ならワタシ、剣豪を目指してるね」
「その割には、剣道部にもフェンシング部にも入ってないね、晴雪君」
「菜奈歩さん、それは、ワタシが使いたいのは真剣だからですよ。部活動ではござらんです」
「そうなの?」
「そうでござるです」
「そういう事にしておきますか。晴雪君にツッコミ入れてたらきりがないからね」
「どういう事です?」
「なんでもない。晴雪君はそのままで良いよ」
「?……とにかく武士に二言はないでござるです」

 ワタシも自己紹介して、秘密クラブの仲間入りしましたね。


03 活動開始


 ワタシの仕事は用心棒。
 どっぺちゃん殿の護衛ね。
 いざいかなる場合も目を光らせるね。

「……ちょっと、晴雪君……」
「何ですか、菜奈歩さん」
「それじゃ逆に、目立つでしょ。目立っちゃダメなの」
「そ、そうですね。では、どうすれば」
「普通にして。普通に……って言っても晴雪君は普段が普通じゃないから変な風に普通にして」
「ど、どういう意味ですか、それは?」
「変なのがいつも通りだけど、目立たないように変な事してって事」
「な、なんと、それは難しい注文ですね……」
 なんとも難しい仕事を仰せつかりましたが、ワタシ、友達になったどっぺちゃん殿の為に頑張りますね。

 ワタシの秘密クラブでの活動はこうして幕を開けました。

続く。

登場キャラクター説明

001 雨曇 晴雪(あまぐもり はれゆき)
雨曇晴雪
本編の主人公。
髷を結って間違った日本人イメージを持っている。
帰化した元外国人。
元の名前はマルコ・シーズン。













002 七瀬 菜奈歩(ななせ ななほ)
七瀬菜奈歩
晴雪の同輩。
世話好きな格闘少女。















003 麗野 茉里(れいの まつり)
麗野茉里
晴雪の同輩。
占い好きの霊感少女。















004 市ヶ谷 恭子(いちがや きょうこ)
市ヶ谷恭子
晴雪の同輩。
メイド好き。















005 仁科 瑠璃杏(にしな るりあん)
仁科瑠璃杏
晴雪の同輩。
個性的な感性を持つ少女。















006 三宮 紫歩梨(さんのみや しほり)
三宮紫歩梨
晴雪の同輩。
学業とアイドル業を兼任している。
小説家でもある。














椎名瑞花 007 椎名 瑞花(しいな みずか)

晴雪の同輩。
引っ込み思案。
元、いじめられっ子。













五井美咲 008 五井 美咲(ごい みさき)

晴雪の同輩。
大食い少女。














009 武蔵山 蓮(むさしやま れん)
武蔵山蓮
晴雪の同輩。
夢見がちな少女。