第七弾 プハンタシア・クアンティタース アナザーサイド集

第七弾アナザーサイド集挿絵

00 ご挨拶
01 クアトゥウスのお姉ちゃん教室
02 稀生 踊詩(きにゅう ようし)の秘密の趣味
03 ニズ・クォトヌァールの部屋
04 第七しんたい【クエニーデ】の出演待合室
05 ご挨拶2

00 ご挨拶

 どうも、初めまして。
 わたくし、【プハンタシア・クアンティタース】のアナザーサイドの管理者を務めさせていただきます【誰でも無い】と申します。
 どのような存在にも当てはまらない、文字通り、【誰でも無い】存在でございます。
 以後、お見知りおきのほどを。
 アナザーサイドとは【プハンタシア・クアンティタース】での出番待ちとなっているキャラクターのために用意した本編とは別の世界観で語る物語となっています。
 本編とは直接関係ありませんが、出番が待たれるキャラクターがどのような性格をしているのかを知っていただければ幸いです。
 それでは、アナザーサイド出演に選ばれたキャラクターを紹介しましょう。
 まずは、恭精編に登場予定のラスボスキャラクター、【クアトゥウス】です。
 【クアトゥウス】は踊詩編のラスボスキャラクター、【クエニーデ】のお姉ちゃんになるという事を選択したキャラクターという事になっています。
 【クアトゥウス】以外にも3名、【天下るクアンスティータ】は居ますが、それはゲスト出演するという形で、アナザーサイドとしては【クアトゥウスのお姉ちゃん教室】と題します。
 続いて、稀生 踊詩(きにゅう ようし)です。
 彼は、主人公ですが、引きこもりですので、なかなか出演してくださらないという事で、彼の秘密の趣味に焦点を合わせて、彼が内緒で通っているお店を舞台にした【稀生 踊詩(きにゅう ようし)の秘密の趣味】と題してお送りしようと思います。
 彼の変態チックな趣味にスポットライトを当てたいと思います。
 続いて、ニズ・クォトヌァールです。
 彼女は、踊詩編のヒロインですが、謎めいたキャラクタ−のため、出番が遅くなると思われます。
 ですので、彼女の事を少しでも知ってもらおうと、【ニズ・クォトヌァールの部屋】と題してお送りしようと思います。
 彼女がどのような存在なのかを語りたいと思っております。
 最後に踊詩編のラスボス、【クエニーデ】です。
 【クエニーデ】は【クアンスティータ】の力を受け継ぐ、【プハンタシア・クアンティタース】最強のラスボスです。
 なので、出番が遅れるのは仕方ないとしても、その中でも奥の奥――最強最後の姿となる三つの【第七しんたい/真体、深体、芯体】の出番は更に、かなり遅くなる事が予想されます。
 【第七しんたい】には、【第七しんたい】自身が使える【内側の力】と【第七しんたい】の外からの力【外側の力】があります。
 【内側の力】を持たせると大変な事になりますので、【内側の力】は封印。
 【外側の力】だけを持たせて遊ばせる部屋を作ろうというのが【第七しんたい【クエニーデ】の出演待合室】となります。
 【第七真体(だいななしんたい)】はおバカちゃんタイプ、
 【第七深体(だいななしんたい)】は人見知りタイプ、
 【第七芯体(だいななしんたい)】はマイペースタイプです。
 三名の【クエニーデ】【第七しんたい】を中心に待合室でのお話という事になっています。
 三者三様の【第七しんたい】の性格をご確認くださいませ。
 最後に僭越ながら、わたくし、【誰でも無い】が締めくくりの挨拶をさせていただき、終わりたいと思っております。
 では、【クアトゥウスのお姉ちゃん教室】序章、
 【稀生 踊詩(きにゅう ようし)の秘密の趣味】序章、
 【ニズ・クォトヌァールの部屋】序章、
 【第七しんたい【クエニーデ】の出演待合室】序章、
 続けてご覧ください。


01 クアトゥウスのお姉ちゃん教室 序章


 ここは【世界他外(せかいたがい)】と呼ばれる場所――
 その白き世界の中にある黒き世界。
 黒き世界――それは、【宇宙世界(うちゅうせかい)】の常識では理解しがたい【宇宙世界】の上位に位置する空間、【世界他外】の白き世界の中において、【宇宙世界】に環境を可能な限り合わせた空間となっている。
 それは【宇宙世界】から来た者にとっては点在する安全地帯の一つ。
 【世界他外】以上の存在にとっては、【宇宙世界】へと天下るための準備空間となっている。
 黒き世界――それは、【世界他外】と【宇宙世界】をつなぐ架け橋の役目を担っている。
 そんな黒き世界の中にあるとある場所。
 そこにはある教室が開かれていた。
 【お姉ちゃん教室】――正確には【世界他外】の言語感覚で捉えている場所なので、別の表現となっているが、【宇宙世界】の常識に照らし合わせて考えれば、クアンスティータの最強の後継者、【クエニーデ】の姉と言う立場になるという教室。
 なので、訳せば【お姉ちゃん教室】となるのである。
 そこに在籍している生徒はたった1名。
 次元違いに恐ろしい【クエニーデ】の姉になろうという酔狂な存在はたった1名しか居なかった。
 逆に言えば、1名も居たという方が驚きだった。
 その1名の名前は【クアトゥウス】――
 【クアンスティータの子?】である【クエニーデ】に対して、
 【天下るクアンスティータ】にあたる存在が【クアトゥウス】だった。
 【クアンスティータの子?】と違い、【天下るクアンスティータ】の候補は他にも存在するが、【クエニーデ】の姉になろうという事を考えたのは【クアトゥウス】だけだった。
 【お姉ちゃん教室】は、それまで存在していたのではない。
 【クアトゥウス】が【クエニーデ】のお姉ちゃんになろうとした時に初めて実在する事になったものだった。
 【クアトゥウス】――その存在が望めば、それが現れる。
 それがこの子の力だった。
 【クアトゥウス】は自らが出現させた【お姉ちゃん教室】に通い詰めていたのだった。
 【クエニーデ】は強すぎるから、【クアトゥウス】はその姉という立場を取るという事を決めた。
 だが、【クアトゥウス】もまた、【クエニーデ】と同じく【クアンスティータ】の正統後継者だった。
 ――そう、クアンスティータの正統後継者は2名居るのだ。
 【クアトゥウス】と【クエニーデ】――どちらも正統な後継者だ。
 ただ、違うのは【クエニーデ】の方が極端に強すぎるというだけの話だ。
 後継者の資格で言えば、【クアトゥウス】もまた、条件を満たしているのだった。
 そんな【クアトゥウス】の物語だ、これは。
 【クアトゥウス】は、
「さぁ、スウェンセーさん。
 今日もよろしくおねがいしますの」
 と挨拶をした。
 【クアトゥウス】に【スウェンセー】と呼ばれた存在は、
「かしこまりました。
 それでは、今日もお勉強いたしましょう。
 ではまず、復唱なさってくださいな。
 1つ――姉とは妹の目標であるべし」
 と言った。
 【クアトゥウス】は、
「1つ――姉とは妹の目標であるべし」
 と答えた。
 これは、【お姉ちゃん教室】での日課だ。
 姉とはなんぞや?
 それを確認するための儀式の様なものだった。
 【スウェンセー】は続ける。
「1つ――姉とは妹を守るべき存在である」
「1つ――姉とは妹を守るべき存在である」
「1つ――姉とは妹を可愛がらなければならない」
「1つ――姉とは妹を可愛がらなければならない」
「1つ――姉とは妹の相談を受けるべし」
「1つ――姉とは妹の相談を受けるべし」
「1つ――姉とは妹の時には母となり時には友となるべし」
「1つ――姉とは妹の時には母となり時には友となるべし」
「1つ――姉とは妹と同じ秘密を共有すべし」
「1つ――姉とは妹と同じ秘密を共有すべし」
「1つ――姉とは妹と同じ行動を取るべし」
「1つ――姉とは妹と同じ行動を取るべし」
 【スウェンセー】が発する【姉とはなんぞや】という在り方を【クアトゥウス】がすぐさま復唱していく。
 これは【姉とはなんぞや100箇条】と呼ばれるものだった。
 【姉】はこうであるべきとされる項目が100種類あり、それを復唱していくというものだった。
 【姉妹】と一口に言っても、関係など人それぞれ、存在それぞれである。
 全ての【姉妹】が【姉とはなんぞや100箇条】に当てはまる関係ではあり得ない。
 中には憎み合い、殺し合う【姉妹】だっているし、生後生き別れて、一生会わない、お互いの存在を知らないまま生涯を過ごす【姉妹】だって中にはいるのだ。
 つまり、この【姉とはなんぞや100箇条】は、【クアトゥウス】が【姉】とはこうであった方が良いというあくまでも自分の希望を言っているだけだった。
 また、クアンスティータが女性ではなく、(両性具有でもない)おんこという性別であるので、【クエニーデ】も【妹】――つまり、女性で生まれるとは限らない。
 だが、【クアトゥウス】の中では【クエニーデ】は可愛らしい【妹】という事で決まっていた。
 それを、【スウェンセー】という先生役の存在を作って自分自身に言い聞かせているだけだった。
 ただ、それだけの話だ。
 言ってみれば自己満足の世界だった。
 【クアトゥウス】は、
「さぁ、【スウェンセー】さん。
 今日も可愛らしい【にーで】ちゃんと仲良くなる方法を考えますの」
 と言ってウットリした。
 【にーで】ちゃんとは【クエニーデ】の事を指している。
 【クアトゥウス】は愛情を込めて、出会ってもいない【クエニーデ】に対して【にーで】ちゃんというニックネームをつけて親しみを込めていた。
 それはもはや、ストーカーに近い心理状態だった。
 【スウェンセー】は、
「そうですね。
 今日もお勉強いたしましょう。
 【クエニーデ】様がどのようなお姿なのか?
 それを学んでいきましょう」
 と言った。
 ――そう。
 ラブラブ度全開ではあるものの、【クアトゥウス】や【スウェンセー】は一度も【クエニーデ】に会ったことが無かった。
 だからどのような姿をしているのかも解らなかった。
 ただ、自分達より凄い存在。
 それだけを認識していた。
 だが、それで十分なのだ。
 自分より凄い存在――
 それだけで、【クエニーデ】は【クアトゥウス】から全面的に愛される資格を有したという事になる。
 だから、【クアトゥウス】は一度も面識の無い【クエニーデ】にラブコールを送り続けていた。
 「好きですの」
 「愛してますわ」
 「お姉ちゃんになりたいですの」
 「アイラブユーですの」
 「会いたいですの」
 「切ないですの」
 「会うのが楽しみですの」
 等々、言葉は色々ある。
 その全てが【クエニーデ】への【愛】に満ちあふれていた。
 出会ってもいないのに【クアトゥウス】は【クエニーデ】に首ったけ。
 他では代えられないかけがえのない存在へとなっている。
 恐らく、【クエニーデ】が例えどんなにみすぼらしい格好をしていたとしても【クアトゥウス】の【愛】は変わらないだろう。
 【クアトゥウス】は【クエニーデ】という存在そのものを【愛】してしまっている。
 姿形などどうでも良いのだ。
 ただ、愛すべき全てが【クエニーデ】にある。
 それだけの問題だった。
 それを人間に例えると【変態】チックではある。
 だが、そんな事は気にしない。
 【クアトゥウス】もまた、最強のクアンスティータを受け継ぐ正統後継者だ。
 誰にも文句は言わせない。
 【クアトゥウス】こそルール。
 これを変える事が出来る存在。
 それは、【クエニーデ】以外にはあり得ないのだから。
「あぁ……愛してますの【にーで】ちゅわん……」
 【クアトゥウス】の倒錯(とうさく)した愛情表現は今日も冴え渡っていた。
 今日も自己満足のための【お姉ちゃん教室】で自分の【クエニーデ】に対する愛情を確かめる。
「愛してますの……」
「愛してますの……」
「愛してますの……」
「愛してますの……」
「愛してますの……」
「愛してますの……」
「愛してますの……」
 【クアトゥウス】の愛は止まらない。
 どこまでも突き進んでいく。
 この子を止める存在は居ない。
 だから、この子はどこまでも【クエニーデ】への愛を深めて行く。
「あいらぶゆぅ〜ですのぉ〜」
 ちょっと変態チックな【クアトゥウス】の愛の叫びが響き渡る。


02 稀生 踊詩(きにゅう ようし)の秘密の趣味


 ちょっとお洒落な店内。
 飲食店というには広すぎる空間。
 客はまばらにしかいない。
 だけど、ここはそういう場所。
 ここは秘密の取引が行われる場所なのだから。
 私、通称、【レディーデス】はここの常連客よ。
 もちろん、本名じゃないわ。
 ここでだけで使って居る通り名、偽名よ。
 ここでは本名は使わない。
 みんな偽名。
 みんな、別の場所にあるべき姿を持って居るから、ここでは偽名を通すの。
 ある者は恥ずかしいから。
 ある者は知られたら命に関わるから。
 ある者は大切な誰かのため。
 ある者はここの流儀に従って。
 ある者はなんとなく。
 ある者は秘密主義だから。
 理由は様々、色々あるわ。
 誰にだって秘密はあるし、それを守るのがここのルール。
 だけど、私はある殿方の秘密を知ってしまった。
 ある殿方の本名かも知れないその名前を……。
 彼の名前は【稀生 踊詩(きにゅう ようし)】――
 最初に彼が店を訪れた時、店員に
「ここの【記入用紙】に貴方様がこの店内で使う偽名をご記入ください」
 と言われたわ。
 それが、ここでのルールの一つ。
 本名を名乗らないけど、この店で通じる偽名を記入するのが発来店時のルール。
 彼は、それに対して、
「ん〜、そうだなぁ、【記入用紙】に記入かぁ……
 よし、おいらっちの名前は今日から【記入用紙】だ」
 と言ったわ。
 店員に、
「お客様、ご冗談を……
 本当にそれでよろしいのですか?」
 と言われると、彼は、
「ん〜、そうだなぁ、ちょっと変えるか。
 稀(まれ)に生(なま)と書いて【稀生(きにゅう)】、踊(おど)るに詩(し)と書いて【踊詩(ようし)】にしよう。
 これは、外でもこう名乗るから、店の外で見かけても気軽に、【よっちゃん】とでも呼んでちょうだいな」
 と言ったわ。
 偽名であり、本名。
 彼は、この店に来て、初めて【名前】というものを手にした様だったわ。
 そのやりとりを聞いてから、私、彼に夢中なのよ。
 イケメン風だったしね。
 ――ただ、性格がちょっとあれなのよね……
 ガッツリ肉食系の私が彼にアタックしないのには理由があるの。
 黙っているといい男なんだけど……
 端で見ている分には楽しそうだから興味あるんだけどね。
 あ……
 噂をすれば……
 どうやら彼が店にやって来た様ね。
 彼の今回の取引の相手は、アヒルの着ぐるみを着た通称【アッヒー】。
 彼との取引という事は恐らく今回は美少女フィギュアってやつのやりとりね。
 【アッヒー】は、
「へい、ブラザー。
 今日も彼女は一緒じゃないのかい?
 俺様ってば、彼女にぞっこんラブなんだよね。
 彼女を売ってくれるなら、俺様コレクション全部渡しても良いぜ」
 と言った。
 踊詩君は、
「化形の少女はおいらっちの家族だって言ってるだろ、兄弟。
 家族は売れないよ。
 いくら積まれてもね。
 まぁ、俺様コレクション全部って言うのは多少、興味惹かれるけどね。
 彼女、すっかり怯えちゃって君との取引の時は来ないって言ってるんだよ」
「そいつは連れないぜベイべー」
「追い回したからだよ」
「ラブアクションって呼んでくれぃ」
「はいはい……。
 それより、ブツの方は……」
「もちのろんよブラザー、持って来てるぜ、とっておきのをな。
 ブラザーの方はどうなんだ?」
「もちろん、それに見合うものを持って来た。
 じゃあ取引と行こうか」
「そうだな」
 と言った。
 こうしてただ聞いて見ると闇取引の様にも聞こえるけど、実際は……
「へい、ブラザー。
 こいつが、占い機能付き、ほっとけちゃんだぁ。
 大吉を引くと、なんと、【今日は私、大胆なき・も・ち】と言ってセクシーポーズを取ってくれるという自動アクション仏像だぁ」
「おぉ〜そいつは凄い。
 おいらっちの方も負けてねぇぞ。
 こっちが用意したのは【あはーん】な声が聞こえる呪いの岩、その名も【愛欲の岩】の欠片だぁ」
「……これ、呪いとか大丈夫な訳?
 呪われたら嫌だぜ、俺様」
「大丈夫。
 呪いの部分はすでに除去済みだぁ。
 あるのはセクシーな声だけ。
 ちょっとは呪いを残さないとこの声も消えちゃうけど、その呪いはお腹を壊すだけ。
 でも大丈夫。
 下痢止めの薬もつけちゃうぜ」
「さすがブラザー。
 仕事にぬかりなしだぜ」
「ウヒヒヒヒ……
 旦那も好き者ですなぁ……」
「フハハ……
 あんさんも負けてませんですぜ……」
「ウヒヒヒヒ……」
「フハハハハ……」
 ね?
 会話がバカでしょ?
 キャラ崩壊してるし。
 行動がアホじゃなかったら、アプローチするんだけど、話している事、聞いちゃうと萎えちゃうのよねぇ。
 実は無茶苦茶強いって噂だし。
 普通にしてれば言い寄る女の子なんて山ほどいるだろうに、変な趣味に走るから、誰も寄ってこない。
 残念無念美形。
 それが彼って訳よ。
 見ている分にはどこか間抜けで面白いから観察しているんだけど、ハッキリ言って恋愛の対象外ね、あれは。
 まぁ、暇つぶしには丁度良いかもね。
「へい、ブラザー。
 良い物揃ってるぜ。
 他にもなぁ〜。
 こいつはどうだ?
 【さわり心地はどうですかぁ〜】シリーズだ。
 こいつは、胸とお尻が本物と同じ感触にしているという優れもんだ。
 持ってけドロボー。
 大サービスで、あれと引き替えにしても良いぜ。
 あるんだろぅ、例のブツが〜」
「へへへ。
 さすが兄弟。
 お目が高いねぇ。
 持って来てるぜ。
 例のあれをな。
 こいつがあればキスの練習も頭をぽんぽんやる練習もし放題。
 更に内蔵システムのおかげで様々な髪型に変更可能。
 さらに、眼鏡フェチ用に3タイプの眼鏡を取りそろえております。
 オマケに、10タイプの声で、【先輩、大好きです】、
 【愛してるわ】、
 【バカね。あなただけよ】、
 【もう、私から言わせないでよ】、
 【寂しかったの】、
 【なでなでしてぇ〜】、
 【愛してるって言って】などの1000種類もの音源を収録している豪華版だぁ〜。
 この【胸像、花子ちゃんシリーズ】に目が行くとは、さすが、目が肥えてるねぇ〜
 こっちこそ、持ってけドロボーだよ。」
「ふふふ……」
「ははは……」
「ふふふ……」
「ははは……」
「ふふふ……」
「ははは……」
「ふふふ……持って来てるんだろぅが、この野郎。
 隠すなよぉ〜」
「ははは……旦那には叶いませんなぁ。
 持って来てますぜ。
 例のブツを」
「早く見せろよぉ〜。
 もったいつけるなよぉ〜」
「真打ちは後から登場するもんでしょ、旦那ぁ〜
 お楽しみはこれからですぜ」
「持って帰るのが楽しみだぜ」
「同感……」
「ふふふ……」
「ははは……」
「ふふふ……」
「ははは……」
「ふふふ……」
「ははは……」
 ホント、バカだわ、この二人……。
 彼らは他にも変なやりとりを数回行って、お互い店を出たわ。
 私の趣味は変人観察。
 恋愛対象にはならないけど、おかしな存在を見るのは結構好き。
 ただ、それだけの話よ。
 彼の取引相手は【アッヒー】だけじゃない。
 また、すぐに彼の滑稽な姿は見れると思うわ。


03 ニズ・クォトヌァールの部屋


「♪ティントンティントンティンティトティン
 てぃんとんてぃんとんてぃんりんてぃんりんてぃとりん
 ティントンティントンティンティトティン
 てぃんとんてぃんとんてぃんりんてぃんりんてぃとりん
 私は【ニズ】。
 【ニズ・クォトヌァール】。
 貴方はだぁれ?
 ティントンティントンティンティトティン
 てぃんとんてぃんとんてぃんりんてぃんりんてぃとりん
 ティントンティントンティンティトティン
 てぃんとんてぃんとんてぃんりんてぃんりんてぃとりん……♪」
 オルゴールだった【ニズ・クォトヌァール】は帰還した。
 どこでも無い場所【ニズ・クォトヌァールの部屋】に。
 そこはドールハウスを大きくした様な雰囲気の部屋だった。
 バロック調、ロココ調を思わせる調度品の数々。
 千畳以上はあると思われるその広すぎる部屋に所狭しと置かれている。
 調度品のあちこちには人形――ドール達があちこちに置かれている。
 天井――天蓋(てんがい)にはどこかの宗教画を思わせる様な絵画が6方向6枚ずつ、計36点設置されている。
 天蓋からは、虹やオーロラを思わせる様な薄い布が6カ所からつるされており、ハンモックの様になっている。
 床にはペルシャ絨毯を思わせる様な高級絨毯が敷かれている。
 部屋の中央にある巨大なシャンデリア――その真下にスペースがあり、台座が設置されている。
 そこには現実世界で消えたはずのオルゴールが置かれていた。
 他にも部屋の中には人影が六つ。
 その人影の一つが口を開く。
「これで一巡したね。
 もう一巡で、出せるね」
 と。
 【一巡】とは人影の何者か達が用意した人形――いや、【認形(にんぎょう)】の事を指す。
 人影達の名前は全て、【ニズ・クォトヌァール】。
 人影が用意した【認形】の名前も【ニズ・クォトヌァール】だった。
 違うのは、現実世界に【顕現】させている【認形】か、現実世界には決して存在しない完全なる裏方である【作り手】かの違いだ。
 6名の【作り手】とそれらが1つずつ【顕現】させる6体の【認形】――その全てが【ニズ・クォトヌァール】だった。
 それらには【ニズ・クォトヌァール】という名前以外、今の所名前が無い。
 そこで、仮に――、
 【1の作り手】、
 【2の作り手】、
 【3の作り手】、
 【4の作り手】、
 【5の作り手】、
 【6の作り手】、
 ――という名称と――
 【1の認形】、
 【2の認形】、
 【3の認形】、
 【4の認形】、
 【5の認形】、
 【6の認形】、
 ――という名称で区別する。
 何か別の名称が出来たらそっちにするが、今はこの区別で事足りる。
 【作り手】達は、現実世界の乙女達の夢、希望、美しさを集めてそれぞれが理想の【ニズ・クォトヌァール】という【認形】を作り出して、世に送り出す。
 現実世界の乙女達は、【美】と【夢】、【希望】の結晶でもある【ニズ・クォトヌァール】の【認形】の姿を追い求め、【姉】であろうとする。
 本能的に美しさを求める乙女達にとって、【永遠の妹】――あやかるべき対象――それが【ニズ・クォトヌァール】という存在だった。
 【一巡】――それは、【作り手】である6名の【ニズ・クォトヌァール】が1度ずつ、【認形】の【ニズ・クォトヌァール】を顕現させた事を指す。
 【二巡】――つまり、二回ずつ【認形】の【ニズ・クォトヌァール】が【顕現】された後、幻の7体目の【認形】であり、【作り手】でもある【最高傑作】の【ニズ・クォトヌァール】が現実世界に【顕現】される。
 7体目であり7名目でもあるこの存在は、【7の作り手認形】と仮に呼称しよう。
 それで、全員の識別が可能となる。
 【1の作り手】とそれに作られた【1の認形】、
 【2の作り手】とそれに作られた【2の認形】、
 【3の作り手】とそれに作られた【3の認形】、
 【4の作り手】とそれに作られた【4の認形】、
 【5の作り手】とそれに作られた【5の認形】、
 【6の作り手】とそれに作られた【6の認形】、
 自らが【作り手】でもあり、【認形】でもある【7の作り手認形】、
 この【作り手】と【認形】を合わせて13名が【ニズ・クォトヌァール】と呼ばれる存在だった。
 オルゴールだった【ニズ・クォトヌァール】が帰還した事で、また、出現する順番をlから決める事になる。
 それを決めるのは【ダイス・ルーレット】と呼ばれるものだった。
 ダイス――六面ダイス――サイコロは通常、現実世界ではルーレットでは使わない。
 使うのは球。
 球でなくては転がらないからだ。
 だが、【どこでもない場所】である【ニズ・クォトヌァールの部屋】で使われるルーレットの球は、サイコロ型になっていた。
 そのサイコロを球の様にルーレットのホイール(回転盤)を転がせて、ポケットに入れる。
 サイコロの数字とサイコロが入ったスポットの数字が一致した場合のみ決定する順番決め。
 この歪(いびつ)なあり得ない【ダイス・ルーレット】は運命の力でまわっている。
 だから、色んな点でルーレットとして成立していないこのおかしなルーレットは不思議とすんなり順番を決められる。
 運命が、ルーレットとダイスを回しているのだ。
 さぁ、二巡目だ。
 今度は誰の【認形】の順番が回ってくるのだろうか?
 一巡目の最後だったからと言って、二巡目の最初に出ないという事は無い。
 また、オルゴールが引き当てる事もあるのだ。
 もっとも、オルゴールが引き当てたとしても、【顕現】の状態がオルゴールそのままであるとは限らない。
 一巡目では、担当する【作り手】が【認形】をオルゴールとして【顕現】させただけであり、次も同じ姿形とは限らない。
 女の子は着飾る生き物だ。
 【ニズ・クォトヌァール】もまた、女の子の理想の化身。
 彼女もまた着飾るのだ。
 化粧をするのだ。
 姿形を変えるのだ。
 全ては、【作り手】の【ニズ・クォトヌァール】のプロデュース次第。
 日も変わればファッションも変わる。
 昨日と同じ服は着ない。
 あり得ない。
 だから、【ニズ・クォトヌァール】も同じ姿では無い。
 だから、誰にも【ニズ】を捕らえられない。
 捕らえきれない。
 【ニズ】はどこから来て、
 どこへ行くのか?
 それが現実世界の存在には解らない。
 何がしたいのか?
 何をするつもりなのか?
 それが解らない。
 謎、不思議で着飾る乙女――それが【ニズ・クォトヌァール】という【認形】だった。
 ふわふわしていて、
 何を考えているのか全く解らない。
 謎めいた乙女。
 それが【ニズ】だ。
 【ニズ】がどこへ向かうのかはどこにも存在していない【どこでも無い場所】、【ニズ・クォトヌァールの部屋】に居る【作り手】の【ニズ】達しか解らない。
 本音を語るべき存在は現実世界には決して姿を現さない。
 だから、誰にも解らない。
 永遠の謎。
 それが【ニズ・クォトヌァール】だった。
「♪ティントンティントンティンティトティン
 てぃんとんてぃんとんてぃんりんてぃんりんてぃとりん
 ティントンティントンティンティトティン
 てぃんとんてぃんとんてぃんりんてぃんりんてぃとりん
 私は【ニズ】。
 【ニズ・クォトヌァール】。
 貴方はだぁれ?
 ティントンティントンティンティトティン
 てぃんとんてぃんとんてぃんりんてぃんりんてぃとりん
 ティントンティントンティンティトティン
 てぃんとんてぃんとんてぃんりんてぃんりんてぃとりん……♪」
 出番を終えたはずのオルゴールが音を奏でる。
 また、現実世界に【顕現】したいとアピールしているのだ。
 【作り手】の一名は、
「慌てないで。
 時が来ればまた出番も回ってくるわ。
 全ては【ダイス・ルーレット】が決めてくれるわ。
「♪ティントゥリントゥンティットティンティントゥンティントゥン
 てぃんとぅとぅとぅてぃんとぅんとぅんてぃんとぅんとぅんてぃんとぅん
 ティントゥリントゥンティットティンティントゥンティントゥン
 てぃんとぅとぅとぅてぃんとぅんとぅんてぃんとぅんとぅんてぃんとぅん
 私は【ニズ】。
 【ニズ・クォトヌァール】。
 貴方はだぁれ?
 ティントゥリントゥンティットティンティントゥンティントゥン
 てぃんとぅとぅとぅてぃんとぅんとぅんてぃんとぅんとぅんてぃんとぅん
 ティントゥリントゥンティットティンティントゥンティントゥン
 てぃんとぅとぅとぅてぃんとぅんとぅんてぃんとぅんとぅんてぃんとぅん……♪」
 音色を変えてもダメ。
 順番は順番よ。
 公平に決めなくては。
 さぁ、次の奏者は誰?
 どの【認形】かしら?」
 と言った。
 コロコロコロ……
 コロコロコロ……
 コロコロコロ……
 コロコロコロ……
 コロコロコロ……
 コロコロコロ……
 コロコロコロ……
 コロコロとよくもまぁ、まわるものだ。
 とてもダイスとは思えない程、まわる、まわる、まわる、またまわる。
 まわってまわって次の出演者を決める。
 やがて、ダイスの勢いは無くなりポケットに吸い込まれる。
 どうやら、スポットの数字とダイスの数字が一致した様だ。
 次に【顕現】する【作り手】と【認形】が決まった様だ。
 次なる演者は――
 誰だ……?
 誰なんだ?
 誰が決まったんだ?
 不思議な永遠の美少女、【ニズ・クォトヌァール】は次なる舞台、演目の準備を始めたのだった。


04 第七しんたい【クエニーデ】の出演待合室


 静まりかえった部屋。
 ただ広いだけの待合室。
 真っ白な空間。
 何色にも染まっていない場所。
 何かを持ち込めば、何色にも染まる場所。
 ここはそんな所だ。
 今は何もない殺風景な場所だけど。
 これから、どのようにも変えていける場所でもある。
 ここには出演待ちのキャラクターが出番を前に、自身のキャラクター設定を調整するために在籍する【出演待合室】だ。
 ここは、本編での能力などは全く関係無い。
 ただ、性格だけを固める場所だ。
 この待合室にやって来たのは……
「あ、ここかな?
 ここだよね〜
 ここなのかな〜?
 ここだろうね〜
 う〜ん、どうだろう?
 たぶん、どうだろう?
 ほんとかな?
 ほんとだよね?」
 この見るからにおつむの足りなそうなしゃべり方をしているのは【プハンタシア・クアンティタース】での踊詩編のラスボス予定の【クエニーデ】だ。
 その【クエニーデ】の中での最強は3つ存在する。
 【クエニーデ】とは【ファーブラ・フィクタ】のラスボス、クアンスティータの力を受け継ぎし、正統後継者だ。
 作中、詳しく語られる事は無かったが、クアンスティータの最も奥にあるものは三竦(さんすく)みと呼ばれる三つの存在だ。
 それと永遠の少女【レインメーア】の血を受け継ぐ【クアンスティータの子?】である【クエニーデ】もまた、究極の状態は三つ存在する。
 【クエニーデ】は24の側体、13の本体以外に7つずつの【しんたい】と呼ばれるものが究極の状態とされている。
 その【第七しんたい】と呼ばれる存在はこの、おつむの足りなそうな子の事を指す。
 【第七しんたい】は3つ存在し、おつむの足りなそうな子は【第七真体(だいななしんたい)】と呼ばれている子だった。
 この子は通称、【おバカちゃんタイプ】とも呼ばれている。
 いかにもおつむの足りなそうな子に適してそうなネーミングだ。
 では、他の二つは何だろう?
「こっち、来ないで……
 こっち、来ないで……
 こっち、来ないで……
 こっち、来ないで……
 こっち、来ないで……
 こっち、来ないで……
 こっち、来ないで……
 こっち、来ちゃいや……
 こっち、来ちゃいや……
 こっち、来ちゃいや……
 こっち、来ちゃいや……
 こっち、来ちゃいや……
 こっち、来ちゃいや……
 こっち、来ちゃいや……
 あっち、行って……
 あっち、行って……
 あっち、行って……
 あっち、行って……
 あっち、行って……
 あっち、行って……
 あっち、行って……」
 とブツブツしゃべりながら物体の山を作り、その中で隠れながら行動しているのは【根暗ちゃんタイプ】……ではなく、【人見知りタイプ】と呼ばれている【第七深体(だいななしんたい)】だ。
 他の二つの【第七しんたい】はともかく、他の存在にこの子を脅かす様な存在は全く居ないのに、とにかくこの子は臆病な子だった。
 ちょっと被害妄想が強くて、自分がいじめられると思い込みな子でもあるね。
 残った1つは何だろう?
「zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz……」
 ………。
 え、えーと……、ちょっと起きてもらえます?
「zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz……」
 ………。
 すみません、ちょっと……。
「zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz……」
 すみません、起きてくれないと困るんですけど……
「zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz……」
 もし、もぉ〜し……
「zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz……」
 ………。
 ダメだ。
 起きない。
 うんともすんとも言わない。
 出るのは寝息だけだ。
 どうしようもない。
 じゃ、じゃあ、えーと、残った1つ。
 このお話の進行を全く無視して、眠ってらっしゃるのは【第七芯体(だいななしんたい)】、通称【マイペースタイプ】と呼ばれている子です。
 この子にとっては周りの都合はどうでも良いのです。
 とにかく、自分の思った通りに行動する。
 好きな時に寝て。
 好きな時に行動する。
 そんな子です。
 以上の三名を主体にやって行こうと思うのですが、大丈夫かなぁ?
 とりあえず、話やすい子は……
「zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz……」
「こっち来ないで……
 こっち来ないで……
 こっち来ないで……
 こっち来ないで……」
「あっちかな?
 こっちかな?
 そっちかな?
 どっちかな?」
 ふ、不安しかないけど、とりあえず、少しは話せそうな【おバカちゃんタイプ】【第七真体】の子に聞いて見ましょうかね?
 え、えーとあの、これから君たちを主体にちょこっとしたお話をやろうと思うんだけど何か抱負とかあるかな?
「とーふ?」
 いや、豆腐じゃなくて、抱負。
 何かやりたい事あるかなと思って。
 何か無いかな?
「何にもないよ〜」
 それじゃ困るんだけど。
「じゃ〜考える〜。
 ん〜……わかんない」
 ………。
「まってね。
 もう一回考える。
 ん〜……わかんない。
 も、一回。
 もう、一回やるから。
 ん〜……わかんない。
 ごめんごめん。
 今度こそ。
 もう、一回やるから待っててね〜。
 ん〜……わかんない。
 おかしいなぁ〜?
 あれ?
 これ……
 どれ……?」
 も、もう結構ですよ。
「あー、ちょっと待って。
 大丈夫、大丈夫。
 大丈夫だから。
 ちょっと待ってて……
 いま、やるからねぇ〜
 あれ?
 どれ?
 これ?
 それ?
 あれれ〜?
 んー……わかんない。
 おかしいなぁ……
 こんなはずじゃないんだよね〜。
 うーん……。
 こうでもない。
 あーでもない。
 どうでもない?
 どうでも良い?
 うん?
 あれ、どうなった?
 こうなった?
 んー……わかんない」
 ダメだこりゃ……
 待っててもまっとうな答えが出そうも無い……
 完全に頭がこんがらがっているみたいだ……
 い、以上【出演待合室】からお送りしました。
 次こそはまともに進められると良いのですが……。
 大丈夫かなこの子達……


05 ご挨拶2


 以上が、4つのアナザーサイドストーリーの序章になります。
 四者四様の独自の世界観を構築して見ましたがいかがでしたでしょうか?
 基本的にはこれらの話は本編での登場時の性格にちょっと影響を与える程度のものになっていますので、【プハンタシア・クアンティタース】であって【プハンタシア・クアンティタース】では無い世界観だという事にさせてください。
 これらのアナザーサイドストーリーは本編では登場して居ないキャラクターなどがゲスト出演したりすると思いますが、本編でのキャラクター同士の関係とは多少異なると思います。
 あくまでも性格設定を決めるための世界観ストーリーという事です。
 という訳でご閲覧ありがとうございました。
 以上、【誰でも無い】がお送りいたしました。


完。




登場キャラクター説明

001 誰でも無い

 【プハンタシア・クアンティタース】のアナザーサイドストーリー集の司会進行を勤める謎の存在であり、本人曰く、誰でも無い、何物でも無い存在。
 【プハンタシア・クアンティタース】で登場が後になっているキャラクターの案内役を務めている。


002 クアトゥウス

 【プハンタシア・クアンティタース】の恭精編でのラスボス。
 踊詩編でのラスボス、【クエニーデ】に対して、異常とも思える愛を持って居る。
 唯一、自分より強いと認める【クエニーデ】の姉になるべく、日夜努力している。
 【〜ですの】口調。
 一度も会ったことのない【クエニーデ】に対して【にーでちゃん】という愛称をつけてラブコールを送っている。
 また、女の子かどうかも解らない【クエニーデ】を勝手に【女の子】――そして、【妹】と決めつけている。
 望んだものが勝手に実現化するという力を持って居る。
 他にも力を隠し持っているが現在は不明。
 【お姉ちゃん教室】は、【クアトゥウス】が【クエニーデ】の【姉】である事を学ぶために【クアトゥウス】自身が作った教室。


003 スウェンセー

 【クアトゥウス】が【クエニーデ】の【姉】になるために開いた教室【お姉ちゃん教室】と共に【クアトゥウス】の都合に合わせて出現した存在。
 【クアトゥウス】の望む様に【クアトゥウス】を教育するというややこしい立場の女性。


004 稀生 踊詩(きにゅう ようし)

 吟侍によって選ばれた3名の後継者の1人で立ち位置は【クアンスティータの子?】に対しての吟侍の代わりとして選ばれた男性。
 趣味の人(?)と言われる様に多数の趣味を持ち、それを世界他外(せかいたがい)の中に【マイスペース】という空間の様なものを作りだし、趣味の産物を色々と飾っている。
 どこか浮き世離れした印象で感性が普通の男性とはズレている。
 時々、【マイスペース】に迷い込んだ存在に自分のコレクションを自慢したりするのが好きな事でもある。
 【愛裏女銘(アリメナ)シリーズ】という動くフィギュアの様な趣味を持って居たり、誰かが歌ったり演奏したりするのではなく、その場所が音を奏でたりする【歌曲音御/歌曲音々(かきょくねおん)】を集めて加工したりなど、普通の宇宙世界では無い様な趣味を多数持って居る。
 自分の事を【創作者】と呼んでいて様々な何かを作ったりするのが好き。
 自覚なく、侵入者を追い払う事が出来るなど、通常の存在よりも高度な存在である雰囲気を持っている。
 【マイスペース】の中は散らかっていて、それを【化形の少女】にたしなめられたりするが、彼が言うには散らかっていた方が創作意欲がわくとの事。
 一人称は【おいらっち】。
 侵入者をあっという間に記憶を操作して追い払うなどのポテンシャルの高さを示すが具体的にどのような力を使うか不明。
 吟侍よりは格上の存在と言える。
 【マイスペース】に引きこもり状態で、吟侍からの手紙もほったらかしにして読んでいない。
 運命の女性(?)であるかも知れない【ニズ・クォトヌァール】とはまだ出会えていない。
 依然として引きこもり状態。
 今回、数少ない彼の行動範囲として、秘密の取引場所に姿を現し、彼の変態チックな性格が垣間見える。
 吟侍を二枚目とするなら彼は容姿は二枚目でも行動は三枚目である。


005 レディーデス

 踊詩が秘密の取引をする店に通う常連客で、【レディーデス】というのは偽名で本名は別にあり、別の生活を持って居る。
 肉食系女子で、イケメンを狙うタイプだが、同じイケメンでも性格が残念な踊詩は対象外のようである。
 ただ、変人観察が趣味で、彼の変態チックな取引を外から観察するのを好んでいる。
 踊詩の事をバカな男と切り捨てるなど、他者を見る目は持って居るようだ。


006 アッヒー

 踊詩が通う秘密の店に通う常連客の1人で自分の事を【俺様】と呼ぶアヒルのコスプレをした男性。
 踊詩と共通の趣味を持っており、彼とは【ブラザー(アッヒーから踊詩)、兄弟(踊詩からアッヒー)】と呼ぶ仲。
 踊詩とはちょっとエッチなアイテムを物々交換する間柄。
 踊詩と会うと、キャラ崩壊して、自分達がどんなキャラクターだったかを見失い。
 めちゃくちゃな個性での会話になるが、それは交換するアイテムに興奮しているからである。


007 ニズ・クォトヌァール

 何から何まで謎だらけの女の子と思われる何か。
 女の子達の永遠の妹と呼ばれる小さな小さな女の子。
 大きな大きな力を持って居るとされる女の子でもある。
 複数の不思議の塊ともされている。
 オルゴールの上でまわっている陶器の人形として現れたが、そのオルゴールが壊れるとオルゴールでは無くなり、別の何かとなって去って行った。
 彼女には【四姉妹の四女】と呼ばれているため、彼女の姉になりたいと様々な存在が彼女と義姉妹になりたいと思っている。
 現在までに【第1四姉妹(だいいちよんしまい)】と【第2四姉妹(だいによんしまい)】が存在し、彼女はいずれも四女として在籍している事になっている。
 【四姉妹】は【第4】まで作られる予定となっている。
 今回、【ニズ・クォトヌァールの部屋】とされている場所に居て現実世界には決して姿を現さない【作り手】6名と現実世界に【顕現(けんげん)】する【認形(にんぎょう)】6体、6体の【認形】が二巡した時、現れる幻の【作り手認形】の合計13名が【ニズ・クォトヌァール】という存在である事が判明する。


008 第七真体(だいななしんたい)【クエニーデ】――【おバカちゃんタイプ】

 踊詩編最強とされるラスボス、【クエニーデ】。
 その三つの最強の姿の内の一つでもあるのがこの【第七真体(だいななしんたい)】である。
 内側と外側の力を持って居て、内側の力とは【第七真体】自らの力。
 外側の力とは【第七真体】の外の力を指す。
 今回、内側の力を完全封印して、【出演待合室】に出演するも、持ち前の【おバカちゃん】ぶりを発揮する。
 よく慌てて【はわひゃわわわ……】というのが口癖。


009 第七深体(だいななしんたい)【クエニーデ】――【人見知りタイプ】

 踊詩編最強とされるラスボス、【クエニーデ】。
 その三つの最強の姿の内の一つでもあるのがこの【第七深体(だいななしんたい)】である。
 内側と外側の力を持って居て、内側の力とは【第七真体】自らの力。
 外側の力とは【第七真体】の外の力を指す。
 今回、内側の力を完全封印して、【出演待合室】に出演するも、持ち前の【人見知り】ぶりを発揮する。


010 第七芯体(だいななしんたい)【クエニーデ】――【マイペースタイプ】

 踊詩編最強とされるラスボス、【クエニーデ】。
 その三つの最強の姿の内の一つでもあるのがこの【第七芯体(だいななしんたい)】である。
 内側と外側の力を持って居て、内側の力とは【第七真体】自らの力。
 外側の力とは【第七真体】の外の力を指す。
 今回、内側の力を完全封印して、【出演待合室】に出演するも、持ち前の【マイペース】ぶりを発揮してずっと寝ていた。