第005話 ロスト・ネット・ワールド編その8
01 芦柄 吟侍(あしがら ぎんじ)達のこれまで。
芦柄 吟侍(あしがら ぎんじ)は、無事に仲間達と合流する事が出来た。
現在、吟侍達はロスト・ネット・ワールドという宇宙世界に来ている。
吟侍達は元々、彼らが幼い頃にさらわれた友人達を助けるために四連星の一つ、風の惑星ウェントスで救出活動をしていた。
ところが、どんどん話が展開していって、彼らは王杯大会エカテリーナ枠で戦う事になる。
その最中、ついに最強の化獣(ばけもの)であるクアンスティータ――その第一本体であるクアンスティータ・セレークトゥースが誕生してしまった。
慌てた吟侍達だったが、そのまま、セレークトゥースの所有する宇宙世界、セレークトゥース・ワールドで冒険する事になる。
そこで、度重なる死線をくぐり抜けた結果、吟侍達は現界(げんかい)と呼ばれる宇宙世界ではまともに生活出来ないほど大きなパワーを得た。
それに対処するため、セレークトゥース・ワールドに住む共同経営者である【ぴょこたん】の助けを得て、パワーの制御をしてもらう。
更に内向きに力を発動する技術を身につけ、現界での活動が可能となる。
現界に戻って来た吟侍達はさらに様々な出来事が起きた。
それから、吟侍達はクアンスティータの姉であり兄でもあるクアースリータの所有する宇宙世界で元々はクアンスティータを恐れる強者達が宇宙空間を引き連れて寄り集まって出来た集合宇宙世界であるロスト・ネット・ワールドでの旅を決意する。
吟侍と共にロスト・ネット・ワールドに旅立ったのは、
ソナタ・リズム・メロディアス第六王女、
ステラ・レーター、
エカテリーナ・シヌィルコ、
レスティー、
ディアマンテ、
聖魔妖精(せいまようせい)エクス/クェスの6名だった。
フェンディナ・マカフシギは一人、自分の力と見つめ合うため、別行動を選択した。
吟侍達はロスト・ネット・ワールドについて早々、【アコンルーク】という存在の罠にかかり、離ればなれになるが、紆余曲折を経て、フェンディナも含めて、全員が一カ所に集まる事が出来た。
安心したのもつかの間、吟侍達にはロスト・ネット・ワールドでの滞在時間が限られる事になった。
現界の標準時で11日後には怪物ファーブラ・フィクタと魔女ニナ・カエルレウスの結婚式が現界で執り行われるため、一週間後には現界に戻らねばならなくなったのだ。
第二本体クアンスティータ・ルーミスが誕生するまで、後11日。
吟侍達は急いで、ロスト・ネット・ワールドでの用事を済まさねばならなかった。
そして、十大殿堂のメンバーを探して動いていた時、吟侍の耳に声がした。
それは、生まれて居ないはずのルーミスの声だった。
ルーミスの声は吟侍の心臓になっていて、現在、クアンスティータ誕生のショックでふさぎ込んでいる7番の化獣、ルフォスをたたき起こせと言った。
どうやら、クアンスティータは本来の歴史よりも遙かに強く生まれてくる事になってしまったらしく、吟侍を頼りにしているとルーミスが頼ってきたのだ。
ルーミスは【矛盾の肯定】という特別な力を持っていて、それで誕生していなくても話しかける事が出来たようだった。
戸惑う吟侍。
果たしてこれからどうすれば良いのだろうか?
吟侍達の冒険は続く。
02 影添えリアン・パルトネール
吟侍はソナタ達にルーミスとの事を大まかに説明していた。
ソナタ達は驚いたが、驚いている余裕は彼らには無い。
一週間で全ての用事を済まさなければならないのだ。
吟侍は、
「とにかく、ルーミスの事はまた後だ。誕生してから考えよう。今は十大殿堂だ。急ぐぞ」
と言って声をかけた。
【ラッキーフレンド】が指し示したエリアまでもう後、僅かなのだ。
立ち止まっていては時間が勿体ない。
吟侍達は十大殿堂のメンバーがいそうなエリアに向かった。
エリアに着いてみると、何やらもめていた。
赤いフードの男、【クトゥーアル】から預かった【メンバーメモリースティック】が反応している。
どうやら十大殿堂のメンバーがこのエリアに来ているらしい。
しかも、1名ではない。
複数名居ると出ている。
もめているのは15名。
その15名全てが十大殿堂のメンバーの様だ。
何か――何者かを取り合っているようだ。
取り合っている対象の存在も見えた。
女の子だ。
15名の十大殿堂は一人の女の子を取り合ってもめているようだ。
吟侍とレスティーは遠巻きに【答えの力】で探りを入れる。
吟侍は、
「うーん、よくわからんな。レスティー、そっちはどうだ?」
と聞いた。
レスティーは、
「そうねぇ……、こっちは少しわかったわ、十大殿堂が取り合っているあの女の子の正体は【影添え(かげぞえ)】ね。もしくは、【影添者(えいてんしゃ)】とも言うわ」
と言った。
戦闘面では吟侍の【答えの力】の方が優れているが、探知能力で言えばレスティーの【答えの力】の方が優れている。
吟侍の【答えの力】には引っかからなかったが、レスティーの【答えの力】にはヒットしたようだ。
吟侍は、
「すげぇな、さすがレスティーだ。で?【影添え】ってのはなんなんだ?」
と聞いた。
レスティーは、
「それは――」
と説明をした。
彼女の説明によると、影添え、または影添者とは特定の存在の影に住み着く事により、その特定の存在と共存する事を選択した存在であるという。
影添えと呼ばれている存在の中でも様々な種族が居るとされていて、影添えとは種族ではなく、能力を意味していて、例えば、複合生命体が影添えの能力を得たら、影添えと呼ばれる事もあれば、複合生命体と呼ばれる事もあるという事になるようだ。
影添えの特徴としては宿主としている存在と同じ体験ができるし、同じ能力が使えるという事になる。
逆もまた然りで、影添えの元々持って居た力は宿主も使う事が出来るという事になる。
言ってみれば、単独の生命体を複合生命体にする事が出来る存在と言えた。
なれるかどうかは、影添えに気に入られるかどうかにかかっているが。
当然、影添えは宿主となる存在を選ぶ事になる。
では、何故、この女の子を取り合っているのか?
理由は簡単だ。
この子を宿らせる事によってお手軽にスキルアップ出来るからだ。
話に聞き耳を立てて聞いていると、どうやら、この子の名前は【リアン・パルトネール】と言って、最も人気がある影添えらしい。
それは彼女のポテンシャルの高さによるものだ。
普通の影添えを宿らせるよりも遙かに高いスキルが手に入るらしく、欲に目がくらんだ十大殿堂のメンバー達は彼女を巡って争いを始めたらしい。
言い争っている十大殿堂のメンバーはみんな90番代のクラスだ。
言ってみれば十大殿堂の中でも十把一絡げ、賑やかしのようなメンバー達だった。
それに嫌気がさして、リアンはロスト・ネット・ワールドに逃げ込んだのだが、それを追って15名の十大殿堂が追って来て、捕まったらしい。
そして、誰を宿主にするかでもめていたのだ。
傍目で見ていても見苦しかった。
前に会った【有続者(ゆうぞくしゃ)チョテウ】は考えなどもそれなりにしっかりした好感の持てる存在だったが、この15名は違う。
どうやらお灸を据える必要があるようだ。
吟侍はソナタ達に、
「下がっていてくれ、おいらが話をつけてくる」
と言った。
ステラは、
「吟ちゃん、大丈夫なの、一人で?」
と聞いた。
吟侍は、
「あの程度の連中に戸惑っているようじゃ、クアンスティータ達とは向き合えねぇさ。心配すんなって。まぁ、なんとかなるさ」
と言って向かっていった。
ソナタ達は心配そうに見守る。
吟侍が十大殿堂達の元に割って入っていった。
そして、何やら話をしていた。
ガヤガヤ言っていて何を話しているかよくわからない。
だが、
「私、この人と一緒になる」
という言葉ははっきり聞こえた。
発したのは【リアン】だ。
よく見たら吟侍の腕に腕を絡ませている。
ソナタが、
「あ、あの女ぁ〜」
と言った。
ステラも、
「何なのあれ?」
とムッとする。
エカテリーナも、
「えぇい、次から次へと虫がわいてきよる」
とお怒りのご様子。
ディアマンテは、
「さすが、吟侍様、おモテになる」
と寛容な態度。
それを見て、ソナタが、
「悔しく無いの、ディアマンテ?あんたの吟侍様がねぇ〜」
と聞くも、
ディアマンテは、
「あら、どうして?吟侍様がモテるのは良い事じゃないですか?」
と答えた。
ステラは、
「吟ちゃんにはお花ちゃんって言うれっきとした彼女がいて……」
と言うも、ディアマンテは、
「そうですよ。だから、私達がムキになることじゃないと思いますよ〜」
と答えた。
それを聞いたソナタ、ステラ、エカテリーナは、
「「「ぐっ………」」」
とぐぅの音も出ないような感じになった。
レスティーが、
「何やってんだか……」
とあきれ顔で見ていた。
その時、気絶したまま、運ばれていたエクスが起き、
「何?何があったの?」
と聞いた。
彼女はクアンスティータ・ソリイントゥスに会ったショックで今まで気絶していたのだ。
レスティーは、
「何でも無いわ。修羅場の構成員が一人増えそうなだけ」
と言った。
エクスは、
「は?」
と言ったが、吟侍の方を見て、
「な、なるほどね……」
と納得した。
吟侍がリアンをかばう形になって15名の十大殿堂のメンバーと対立しているのが見えたからだ。
十大殿堂達からすれば、ずっと追い続けたリアンを横から来たどこの馬の骨ともわからない男が奪ったという事実が残っている。
激怒した15名は吟侍との戦闘態勢を取る。
吟侍は、
「おいおい、ちょっと待てってば……」
というも相手は聞く耳持たずという感じだった。
仕方なく15名の十大殿堂との戦闘が開始される。
エクスは、
「助けないの?」
と聞いた。
レスティーは、
「手を出すなってさ。女の子かばっての戦闘だから、内のメンバーで何人が助けてくれるかも問題だけど」
と言った。
それを示すように、ソナタやステラ、エカテリーナはなんだか不愉快そうに見ていた。
吟侍に守られているという形がうらやましいのだ。
激しい戦闘が続く。
が、思ったよりも早く戦闘は終了した。
吟侍は、
「なるほどな、腐っても十大殿堂ってやつか。おいらもルーミスの誕生が迫っている今、あんまりゆっくり相手している暇はねぇ。悪いが……」
と言った時、
「今、なんと言った?」
と聞かれ、
「何って、腐っても十大殿堂って……」
と言うも、
「そこじゃない、今、確か……」
と言ってきたので、
「ひょっとしてクアンスティータ・ルーミスの事か?」
と聞き返した時、戦闘は強制終了された。
吟侍が第二本体クアンスティータ・ルーミスとの関係者だと知ると、散り散りに逃げ出したのだ。
吟侍は、
「あ、あいつら……」
と言うも、逃げ足はすさまじく、追いつけなかった。
十大殿堂は、【クトゥーアル】の言う様に新メンバーを入れた方が良いような気がした吟侍だった。
何にせよ、十大殿堂とは手合わせし、追っ払う事も同時に出来たので一石二鳥だった。
さらに、リアンが吟侍を宿主に決めるというオマケまでついてきた事になった。
リアンは、
「よろしくお願いします。私、【リアン・パルトネール】って言います。あなたのお名前は?」
と聞いたので、フェンディナ・マカフシギが、
「あ、それなら、私が……」
と言って、【別自分】フェンディナ・ウェル・クァムドゥエスを呼んだ。
彼女の力、【指さし確認】であっという間にお互いの自己紹介が済んだ。
もちろん、リアンだけでなく、吟侍達もこの力の恩恵にあずかった。
急いでいる時には便利な力と言えた。
影添え【リアン・パルトネール】を仲間にした事で次の行動を取る吟侍達だった。
とにかく、時間がない。
急ぐしかないのだ。
03 駆け足行動
吟侍達は、続いて、【ラッキー・フレンド】を多用し、他の十大殿堂のメンバーを探すための道筋を示した。
その結果、更に数名の十大殿堂に出会う事が出来た。
話合い等を続けると十大殿堂のメンバー達はそれなりの理由を持って、ロスト・ネット・ワールドに来ていた。
最も注目すべき点はやはり、地に落ちてしまった十大殿堂のブランド力の低下が一番多かった。
メンバーの誰かが、十大殿堂のブランドを地に落とし、連鎖的に十大殿堂全体のブランドが低下し、【30選定委員会】による評価がもはや覆(くつがえ)らないものになり、メンバー達は十大殿堂としての地位を捨てるために、ロスト・ネット・ワールドに新天地を求めて向かったというのが多くの十大殿堂のメンバー達の動機だった。
では、どのメンバーがブランドを地に落としたかという問題はどうなったのだろうか?
そうなると犯人捜しのようになってしまうので、吟侍は深く追求しなかった。
誰が戦犯だろうが、十大殿堂を捨ててロスト・ネット・ワールドに行ったという事実は変わらないし消えない。
メンバーの誰もが、ブランドの回復を試みなかったからこそ、十大殿堂の地位は地に落ちたのだ。
吟侍としての考えは現在のメンバーでは十大殿堂としてのブランドを高める事は不可能。
誰も、十大殿堂というブランドに対して愛着を持っておらず、この様な状態の十大殿堂は存続するだけ意味は無い。
コツコツと積み上げてきた、【クトゥーアル】には悪いが、一度、十大殿堂を解体して、新たな殿堂制度を作った方がまだ、良い――そんな印象だった。
【クトゥーアル】の新たなメンバーをスカウトするという考えは半分は間違いでは無かった。
だが、現存しているメンバーを残すのは間違いであると言えるかも知れない。
残念な結果となるとは思うが、その旨を、【クトゥーアル】に伝える事にした。
吟侍による十大殿堂の査定はこれで終了となり、後は、エカテリーナの言っていた、超職人【ジェーニヴィライ】の店に立ち寄ればロスト・ネット・ワールドでの目標は終了となる。
この時点で、ニナ・カエルレウスと怪物ファーブラ・フィクタの結婚式の予定日に後、6日という事になっていた。
【ジェーニヴィライ】の店に立ち寄って戻ればちょうど良いくらいだった。
吟侍達はエカテリーナ達の案内の元、【ジェーニヴィライ】の店に急いだ。
04 QOH グレーヌレーヌ誕生
吟侍達は、【ジェーニヴィライ】の店に着いた。
吟侍は、
「ごめんよぉ、なんか、凄いもの作ってくれるって仲間から聞いて……」
と言って店のドアを開けた。
【ジェーニヴィライ】は、
「お客さん、待ってましたよ〜出来ます、出来ますよ、究極の完成品」
と言って出迎えた。
ソナタは、
「究極の完成品って出来たの?納得のいくやつって?」
と聞いた。
【ジェーニヴィライ】は、
「これから出来るんですよ、お客さん」
と答えた。
これから出来る?
意味がわからない。
完成したから喜んでいた訳じゃ無いようだ。
確かに彼女は【出来た】では無く、【出来ます】と答えていた。
それはすでに【出来た】では無く、これから【出来ます】という意味なのだろう。
すると、わざわざ、吟侍達が店を訪ねて来るのを待っていたというのだろうか?
エカテリーナは、
「妾達としては完成品を見せてくれればそれで良かったんだが……」
と言った。
【ジェーニヴィライ】は、
「それが、そうも行かなかったんですよ。何しろ、片方はお客さん達がお買い上げになられていたもので」
と言った。
続けて、
「二つの素材を掛け合わせる事に寄って究極の【イクストーヴァス】、【グレーヌレーヌ】が誕生する仕組みです。実は、前にお越しいただいた時に間に合わないと思って、途中段階のものをお売りしたんです」
と言った。
ステラは、
「私達がまた来店するとは限らなかったのよ」
と言うも、【ジェーニヴィライ】は、
「いいえ、私は信じていました。必ず、また訪れていただけると――だから、ずっと作って待っておりました。つい、今し方、完成したばかりです。もう一つのパーツ【スピティル(雌型)】が……」
と言った。
レスティーは、
「【スピティル(雌型)】?」
と聞いた。
【ジェーニヴィライ】は、
「はい、【スピティル(雌型)】です。先日、お客様にお売りしたのが【エミターヌ(雄型)】です。【グレーヌレーヌ】は【スピティル】と【エミターヌ】が一つに合わさった時に誕生する究極の【イクストーヴァス】になります。お代は結構です。私は究極の最高傑作の誕生をこの目で見たい。確認したい。それだけです」
と言った。
まさか、本当にクアースリータや黒いフードの男、【ソルテリアー】に匹敵する力を持つQOHが誕生するというのだろうか?
俄には信じがたい。
【ジェーニヴィライ】の腕はソナタ達は信用している。
だが、それでも、今までの【イクストーヴァス】の出来は、QOHのレベルにはほど遠かった。
いくら何でも飛躍し過ぎている。
そう考えていたが、吟侍は、
「いや……、探ってみても信じられねぇが、確かに、この二つを掛け合わせるとQOHクラスの存在が誕生するって出てる」
と言った。
【答えの力】で探ってみたのだ。
【答えの力】で見たのは偶然の積み重ねだった。
野球で例えれば、バッターがホームランを打つためにボールを捕らえた感じ。
それも真芯でだ。
打球は場外やバックスクリーンまで伸びていった――そんな感じだ。
いや、それを究極まで極端に全ての条件が出揃ったような状況だろうか。
どの様な存在も一生の内に一度さえ出来ないような偶然性――制作者である【ジェーニヴィライ】自身も二度と出来ないような究極の偶然性がこの二体の【イクストーヴァス】に宿っていて、それが、寸分違わぬ状態でピタリと合った時、第三のQOHである【グレーヌレーヌ】が誕生するのだ。
ただし、それには吟侍とレスティーの力も必要となる。
――そう、【答えの力】だ。
【ジェーニヴィライ】は吟侍とレスティーのサポートを得て、究極のタイミングで、【エミターヌ】と【スピティル】を掛け合わせる。
どんな些細なズレも許されない――絶対のタイミングを要求される。
一同、緊張が極限まで高まった。
ごくっとつばを飲み込む音がする。
それさえも邪魔な要素になる。
タイミングは今じゃ無い。
今でもない。
今でも無い。
今でもない。
今でも無い。
今でもない。
今でも無い。
今でもない。
今でも無い。
今でもない。
今でも無い。
今でもない……今だ。
全く完全にズレ一つ無いタイミングで、【エミターヌ】と【スピティル】が一つになる。
――そして……
ブウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウン……
という音がする。
気がつくと、【エミターヌ】と【スピティル】の姿は跡形も無く消え去り、一つの存在が姿を現した。
吟侍は、
「こ、こいつが……」
と言った。
【ジェーニヴィライ】は、
「そうです。これが究極の【イクストーヴァス】の【グレーヌレーヌ】になります。ついに、ついに、ついに誕生です」
と興奮を抑えられないような状態で言った。
吟侍達の目の前には体が青い女性の様な姿をした【イクストーヴァス】が立っている。
背中には金属で出来た天使の翼の様なものが生えている。
それを見たソナタが、
「こ、これがQOH【グレーヌレーヌ】……」
とつぶやいた。
すると、吟侍が、
「いや、まだQOHとしての力はねぇ。まだ、やることが残ってる。……だろ?」
と【ジェーニヴィライ】にふった。
【ジェーニヴィライ】は、
「ご名答。後、11回ほど、やることが残っています。そのリストは以下のようになってます。まとめておきました」
と言った。
彼女から渡された項目には【グレーヌレーヌ】がQOHとしての力を手に入れるためにやることが12種類書いてあった。
どれも激ムズを通り越した難易度を持つ項目だった。
その内、一回は今回やったので、後、11回、全くミスの許されない行程を経て、ようやく【グレーヌレーヌ】はQOHの力を手に入れることになる。
今回はあくまで、その一回目という事になるのだ。
吟侍は、
「つまり、【グレーヌレーヌ】はおいら達に預けてくれるけど、残り11回の作業をおいら達にやれ……そういう事だな?」
と言った。
【ジェーニヴィライ】は、
「そんな、やれだなんて命令口調じゃなくて、やってくださいませ、お願いしますという感じですね」
と答えた。
エカテリーナは、
「同じ事ではないか」
とツッコんだ。
【ジェーニヴィライ】は、
「違います、違います。奥ゆかしさが違います」
と答えるも、ステラは、
「面倒事を押しつけたのは変わりないじゃない……」
とツッコんだ。
ディアマンテが、
「吟侍様、私が代わりに……」
と言う。
吟侍は、
「あんがとさん。気持ちだけ受け取っておくわディアマンテ。だが、これは、おいらとレスティーが絡んでないと無理な話だ。だから【ジェーニヴィライ】さんは、【グレーヌレーヌ】を手放して、おいら達に託したいと言う事なんだ」
と答えた。
ディアマンテは、シュンとなり、
「そうですか……残念です……」
と言った。
吟侍は、
「だけどよ、11回の行程を短縮させる事は出来るかも知れねぇ。リアンの手をかりればな。【答えの力】の使い手が二人から三人になった訳だしな」
と言った。
――そう、影添えであるリアンが吟侍を宿主とする事によって、彼女もまた、【答えの力】が使える様になるのだ。
【グレーヌレーヌ】をQOHのレベルにまで引き上げるには【答えの力】が必要不可欠となっている。
【リアン】が【答えの力】を使う事により単純計算で、3分の2の手間で【グレーヌレーヌ】がQOHの力を得ることが出来るはずなのだ。
【グレーヌレーヌ】がQOHの力を得れば、吟侍達にとって大きな戦力となる。
二つ返事で、吟侍は残りの行程を引き受けた。
もちろん、実際に協力するレスティーやリアンを始めとする仲間達のオッケーをもらっての決断だ。
【グレーヌレーヌ】を手に入れ、【ジェーニヴィライ】との再会という目的も果たした事により、ロスト・ネット・ワールドでの目的は全て終えた事になる。
05 現界へ
吟侍達は、現界に戻る決意をした。
問題はどうやって戻るかだ。
来た時はクアースリータに送ってもらったが、帰りはそうも行かない。
はてさてどうしたものかと悩んでいると、フェンディナが、
「あのぉ……同盟を結んだ七大ボスさん達が、たぶん、出入りの仕方を知っているんじゃ無いかと……」
と言った。
七大ボス達はクアースリータに送ってもらって来たわけでは無い。
裏技を使って、ロスト・ネット・ワールドに来ていたのだ。
彼女達に出入りの仕方を聞けば、戻れるかも知れない。
フェンディナはそう言ったのだ。
吟侍は、
「そいつはありがてぇ、渡りに船ってやつだな。フェンディナ、早速、聞いてみてくれねぇか?」
とお願いした。
フェンディナは、
「わかりました」
と言って、呼び出しに必要な特殊な波長のパワーを出した。
エクスは、
「何?何なの?」
と不安がったが、フェンディナは、
「あ、すみません。呼び出す時の合図なんです」
と答えた。
しばらくすると、七大ボス達が現れた。
便利な様だが、1名呼べば済む所をこの合図の仕方だと全員が来てしまうというのが難点だった。
吟侍は、
「あんた達が七大ボスって存在か。よろしくな、おいらは芦柄 吟侍、フェンディナから話は聞いている」
と挨拶した。
七大ボスの【デュジル】1−1は、
「こんにちは。芦柄 吟侍さん。こちらも彼女から話は聞いています。あのクアンスティータのお気に入りなんですってね。お見それしたわ。私は【デュジル】」
と言った。
【ラクン・シュアル】は、
「【ラクン・シュアル】」
と言い、【バーンエディラ】は、
「【バーンエディラ】よ、よろしくね」
と言い、【ヴェレイ】は、
「私は【ヴェレイ】。あなた達がフェンディナの部下ね」
と言った。
それにソナタが反応して、
「何ですってぇ、なんで、私達がフェンディナの部下なのよ」
と言い、エカテリーナも、
「そうじゃ、妾達はフェンディナの部下ではない、仲間じゃ、仲間」
と訂正した。
【ヴェレイ】は、
「それは失礼したわね。で、何?何の御用なの?」
と聞いた。
――そう、吟侍達はロスト・ネット・ワールドから出る方法を教えてもらおうと思って呼び出したのだ。
フェンディナの部下だと言われて怒っている場合では無い。
吟侍は、
「すまねぇが、ロスト・ネット・ワールドから出る方法を教えてくれねぇかな?おいら達、帰る方法がわからなくてさ」
と言った時、
「なぁんだ、それなら早く言ってよぉ〜」
という声が木霊した。
声の主はクアースリータだった。
どうやら途中から、クアースリータによって覗かれていたようだ。
【デュジル】ら七大ボス達が構える。
彼女達は言ってみれば不法侵入者。
クアースリータの怒りを買うことに警戒したのだ。
だが、適当な性格のクアースリータはさして気にした風でもなく、
「じゃあ、ひっぱり出すよ〜。お土産忘れないでね〜」
と言ったかと思うと、景色が一変。
吟侍達はクアースリータの居る現界に転送された。
七大ボスも一緒だ。
突然の事に【ジェーニヴィライ】と別れの挨拶も出来なかった。
クアースリータの周りには配下がうじゃうじゃ居たが、クアースリータの意向には逆らえないと、そのまま待機している。
クアースリータは、
「お土産ちょーだい!」
と言って、両手を差し出した。
吟侍は、
「お、おう、お土産か、エカテリーナ、頼む」
と言った。
エカテリーナは、
「お、おう、土産じゃな。しばし待て」
と言って、子宮から蚤の市で買ったクアースリータのお土産をいろいろと出した。
ロスト・ネット・ワールドの奥にあるとされるクアースリータ・ワールドという宇宙世界はクアースリータが所有する宇宙世界であるため、その全てがクアースリータの所有物となる。
だが、ロスト・ネット・ワールドとは、元々、クアースリータ・ワールドにひっついて出来た集合宇宙世界であり、元々はクアンスティータを恐れた者達が宇宙空間毎、逃げて来たという場所でもある。
そのため、クアースリータが知らない様な物もたくさんあったのだ。
蚤の市で手に入れた珍しいものを見て、クアースリータは、
「わ〜……」
と目を輝かせる。
せっかく目利きした珍しいアイテムを手放す事になるとしてステラだけはどことなく悲しそうな表情だったが、吟侍は、
「どれでも好きなやつ、持って行ってくれ。何なら全部でも良いぞ」
と言った。
すると、クアースリータは、
「ほんと?じゃあ、全部もらうぅ〜っ」
と言って、本当に全部の土産を受け取った。
ソナタ、ステラ、エカテリーナはあれだけ稼いで買ったものが全部持って行かれた事にちょっとショックを受けたが、吟侍達としては【グレーヌレーヌ】を手にしている事で十分だった。
クアースリータの配下達にとっては本来、クアースリータと同等の力を持つ可能性があるQOHとなる途中過程の【グレーヌレーヌ】の存在は看過出来ないのだが、クアースリータの手前、手を出すことが出来なかった。
その隙を見たのか七大ボス達はいつの間にか姿を消していた。
残った吟侍達は吟侍を中心にクアースリータと宇宙空間で遊んだ。
後に怪物ファーブラ・フィクタとニナ・カエルレウスの結婚式を控えているので、十分な時間は取れなかったが、二日間遊び倒した。
遊びの内容としては吟侍が遊びを考えて、それをクアースリータと共に遊ぶというものだった。
宇宙空間を使った物作り遊びをはじめ、それを使ってのかくれんぼ、ドロケー、相撲大会、隠し芸大会に、ボードゲーム等々、思いつく限りの遊びをした。
その後で吟侍は、
「じゃあ、またな、クアースリータ。ちょっとおいら達、用事あっからそれ、済ませてこねぇといけねぇんだ。また、遊ぼう」
と言った。
クアースリータは、
「うん、約束だよ。破ったらハリセンボンのーますだよ〜」
と言った。
吟侍は、
「おう、んじゃ、元気でな」
と言って別れを告げた。
クアースリータは、
「うん、ばいばーい」
と別れを言った。
クアースリータとはこの二日間ですっかり仲良くなった。
もう、お友達と言っても良いような関係になりつつある。
とりあえず、クアースリータとはこれで良し。
だが、結婚式まで後4日しかない。
吟侍は急いで、【クトゥーアル】を探した。
そして、手短に、十大殿堂との事を話合った。
吟侍は一度、解体する事を薦めた。
このまま存続させても、評価は下がる一方だと判断したからだ。
【クトゥーアル】は、
「……わかりました。ありがとうございます。熟慮します」
と肩を落としながら、返事をした。
【クトゥーアル】の事は気の毒だが、彼と会うために1日使ってしまったので、後3日しかない。
吟侍はさらに急いだ。
06 答えの力 バージョン2
惑星ウェントスに着いた吟侍達を今回の冒険に参加しなかった片倉 那遠(かたくら なえ)が出迎えた。
那遠は、
「吟侍さん、お待ちしてました。調べておきましたよ」
と言った。
実は、ロスト・ネット・ワールドに着いてクアースリータと別れてから、【クトゥーアル】に会いに行く前に那遠に【答えの力】を使った超長距離テレパシーを使って、頼み事をしていた。
それは、結婚式が行われる【519657836番のADS3568794】の座標の特定と結婚式に参加する時に必要な手続きを頼んでいた。
超特注品の超正礼装のドレスコードが必要なのかどうかも調べてもらった。
参加するにはそれが必要だろうが、参加者達を何らかの形でもてなす側であれば、その正装の必要は無いのでは無いかと考えたのだ。
那遠が調べた結果、それはあった。
催し物の一つとされる、セカイウチュー家子飼いの兵達によるバトルロイヤル――そこに参加する事が出来れば、正装の必要は無い。
条件を満たせば、普段着のままでも参加出来るくらいだ。
ただ、新郎新婦に近づけるかどうかという問題は残る。
だが、それだけわかれば十分だった。
吟侍達の力が試される時が来たと言えるだろう。
吟侍には【答えの力】がある。
入り込める隙間が無かった結婚式への参加という【答え】を作り出せば良いのだ。
条件によっては参加出来る――そこをとっかかりに、吟侍、レスティー、リアンの三人による【答えの力】のフルパワーで結婚式に参加出来るという答えを作り出した。
これは今までの【答えの力】ではない。
次の段階に入った【答えの力】、バージョン2と呼べる力だった。
その力は何なのか?
【答えの力】は戦闘以外にも存在しなかった答えをねじ込むという力となった。
その特殊性を持っている力であるが故に、第五本体クアンスティータ・リステミュウムの【謎の力】に対抗出来るかも知れないと言われている力だった。
クアンスティータの利権にすがる者達はこの【答えの力】を恐れている。
【答えの力】には限界は見えない。
極めれば極めるほどに、様々な応用が利き、無理を押し通せる力があるのだ。
事象事態が吟侍達の結婚式への参加を認める形になった。
如何に、セカイウチュー家と言えども、この決定を妨げる事は出来ない。
状況が、勝手に吟侍達の結婚式への参加を肯定していくというものだった。
今の所、吟侍、レスティー、リアンの三名で協力してようやくこのバージョン2の【答えの力】が出せる様になったが、リステミュウムとの対決の前にはこれを吟侍一人で出せるようにならねばならない。
課題は山積みだが、まずは、第二本体クアンスティータ・ルーミスの誕生式に立ち会う事が先決だ。
【答えの力】バージョン2の影響で、唯一の参加条件だった、バトルロイヤルへの参加もしなくて良い。
吟侍達は招待客として、堂々とセカイウチュー家の結婚式に参加出来るのだ。
もちろん、ドレスコードなど気にする必要は全く無い。
私服で十分だった。
ソナタは、
「ど、どうなっているの、この力?」
と聞いた。
吟侍は、
「おいらにもわかんねぇさ。だけど、どうやら覚醒しちまったみてぇだな、これは」
と答えた。
その表情は自信に満ちている。
これで、結婚式への参加準備は万全。
残すは、後一つ、
吟侍は、
「ルフォス!いつまで寝てるんだ、起きろ、出番だ」
と言った。
【答えの力】バージョン2に覚醒したのにはもう一つ意味があった。
それは、吟侍と命を共有している7番の化獣、ルフォスに自信をつけさせる事だ。
クアンスティータが誕生する前の吟侍とルフォスの関係は、精神面で吟侍、力や肉体などで、ルフォスが主導権を握っていた。
だが、クアンスティータが誕生した事によって、ルフォスが持っていた、力や肉体、能力などの自信が吹っ飛んだ。
自分の力ではクアンスティータには全く通じない。
その事実がルフォスに絶望感を与えた。
自信喪失し、閉じこもってしまったのだ。
だが、吟侍が【答えの力】を昇華させ、バージョン2の力を持つ事によって、吟侍&ルフォスコンビがリステミュウムに対抗出来るかも知れない――そんな僅かな希望が見えて来た。
それを確信した吟侍は起こす時は今だ――と、自分の心臓=ルフォスに声をかけたのだ。
吟侍が声をかけて、1、2分して……
『――お、おう、迷惑かけた……』
という声がした。
ルフォスだ。
なんだか恥ずかしそうな声だ。
みっともない所を見せてしまったという感じなのだろうか?
だが、やっと、ずっと殻に閉じこもっていたルフォスが吟侍と会話しに出て来たのだった。
吟侍は、
「あんまりグズグズしてると置いて行っちまうぞ」
と言い、ニカッと笑った。
ルフォスは、
『すまねぇ……』
と言い、吟侍は、
「何だよ、しおらしいじゃねぇか、お前さんらしくもねぇ」
と言い、ルフォスは、
『だってよぉ〜……かっこつかねぇじゃねぇか、俺は……』
と言い、吟侍は、
「お前さんとおいらの仲じゃねぇか。お互い足りねぇ部分を補い合って生きる――そう、約束したろ」
と言った。
ルフォスは、
『すまねぇ……すまねぇ……』
と繰り返した。
吟侍は、
「そいつはさっきも聞いた。もう、それは良いよ。それより、ルーミスがおいら達を稽古つけてくれる事になってんだ。おいら達はそれで更に強くなれる」
と言い切った。
ルフォスは、
『お、おう、今度は引かねぇ。ついて行くぜ相棒』
と答えた。
引っ込んでいたルフォスの参戦。
それは吟侍が更に強くなれるという事を意味していた。
ルフォスも加わり、吟侍達の準備は万全となった。
結婚式に行く前に、二回、【答えの力】を使って、【グレーヌレーヌ】のスキルアップの儀式をした。
吟侍、レスティー、リアンの三人による【答えの力】なので、三人で二回行ったのと二人(吟侍とレスティー)で三回やったのは同じ事を意味している。
つまり、十二回分の内、4回分、儀式を済ませた事になった。
集中力がこれでもかと言えるほど高まっていた吟侍達は寸分の狂い無く、儀式を終わらせた。
残念ながら、ルーミス誕生までに【グレーヌレーヌ】のレベルをQOHまで高める事は叶わなかったが、それでも相当な戦力になっている。
この状態で吟侍達は、結婚式に乗り込んだのだった。
07 クアンスティータ・ルーミス誕生までのカウントダウン
吟侍達は、【519657836番のADS3568794】のエリアに着いた。
見るからに、
「はぁ〜っ」
とため息が出るくらいの豪奢(ごうしゃ)な作りの建物に一体いくらいくらするんだと思えるくらいの調度品(ちょうどひん)の数々。
明らかに吟侍達は場違いだと思えるエリアだった。
吟侍(ルフォス)と共に結婚式に参加しているのは、
ソナタ、
ステラ、
フェンディナ、
エカテリーナ、
レスティー、
那遠、
ディアマンテ、
エクス/クェス、
リアン、
グレーヌレーヌという面子だ。
現界なので、力は制御しているが、いつでも最大限の力を出せる準備はしている。
そんな吟侍達を出迎える存在がいた。
「また、会ったねぇ、吟侍パパ……」
第二側体、クアンスティータ・ソリイントゥスだった。
やはり、第二本体、クアンスティータ・ルーミスが誕生する場には護衛として参加している様だ。
周りにはセカイウチュー家の面々が大勢、来ているが、彼ら彼女らは、吟侍達に手出し出来ない。
【答えの力】バージョン2で事象を変えて、吟侍達に手が出せないようにしているからだ。
そんな吟侍達に近づけるのはその力をも凌駕する力を持っているソリイントゥスくらいなものだろう。
吟侍は、
「ソリイントゥス、おいら達はルーミス誕生の邪魔はしねぇつもりだ。ただ、立ち会わせてもらう。それだけだ」
と言った。
ソリイントゥスは、
「うん。ありがとう。ボクチンとしてもそれは助かるよ」
と答えた。
その時、アナウンスが聞こえる。
「皆様、新郎新婦のご登場です」
と。
少しすると、怪物ファーブラ・フィクタとニナ・カエルレウスが歩いて来た。
ウェディングドレスを着ているニナ・カエルレウスの腹部はすでに光っている。
恐らくは、繭蛹卵(けんようらん)の状態でオルオティーナの側にあるセレークトゥースにも何らかの変化があると見て良いだろう。
ソリイントゥスは、
「セカイウチュー家ではいろいろと何か仕掛けようと思っていたみたいだけど、どうせ、ルーミス様誕生の際には、カエルレウスママと共にどこかに消えちゃうんだから、何もするなってパパがお願いしたんだよ」
と言った。
【どこかに消える】?
どういう意味だろうか?
わからないが、それを考えて居る時間は無い。
新郎新婦の席に着席した怪物ファーブラ・フィクタとニナ・カエルレウス。
式が始まろうとしていた。
席には電光掲示板のような物がある。
それには、【59:43:27】と記されていて、どんどん数字が減っている。
これは恐らく、カウントダウンだ。
ニナ・カエルレウスがクアンスティータ・ルーミスを産み落とすまでの時間をカウントダウンしているのだ。
数字の減り具合から、後59分43.27秒で誕生準備に入るという事が予想される。
いよいよだ。
いよいよ、ルーミスが生まれようとしていた。
吟侍達は邪魔するでもなく、黙ってそのカウントが減るのを見続けていた。
カウントは【57:41:36】まで減ってさらに数字が少なくなっていく。
刻一刻とその時は迫っていた。
続く。
登場キャラクター説明
001 芦柄 吟侍(あしがら ぎんじ)
ウェントス編の主人公であり、ファーブラ・フィクタのメイン主人公。
子供の頃、故郷、セカンド・アースを襲った絶対者・アブソルーター達を追い払った事から英雄と呼ばれる。
その時、心臓を貫かれるが、七番の化獣(ばけもの)ルフォスの核でそれを補い、以降、ルフォスの力を使える様になる。
勇者としての格は他の冒険者達より上だが、それだけに、他のメンバーより、強い敵を引きつける。
創作バトルを得意としていて、攻撃方法のバリエーションはやたら多い。
敵からすると最も厄介な勇者である。
ウェントスでの救出チームに参加する。
【答えの力】を身につけ、ティアグラに殺される未来も回避出来た。
セレークトゥース・ワールドの冒険を生きて帰ってきた。
今回はロスト・ネット・ワールドでの冒険をする事になる。
レスティーとリアンの力も借りて、【答えの力】をバージョン2にする事が出来た。
002 ルフォス
吟侍(ぎんじ)の心臓となった七番の化獣(ばけもの)。
ネズミに近い容姿をしていて、最強の化獣である十三番、クアンスティータを異常に恐れていて、その恐怖に打ち勝つために、最も勇気を示した吟侍と命を同化する道を選んだ。
ルフォス・ワールドという異世界をまるまる一つ所有していて、その世界のものは全て彼の戦力である。
異世界には修行するスペースもあり、冒険者達の修行場として提供していた。
異世界にある三つの核、マインドコア(心核)、スキルコア(技核)、ボディーコア(体核)を合わせる事により、新しい怪物等を生み出す事も出来る。
ルフォス・ワールドはそれ以外にもロスト・ワールドという既に失われた世界をいくつも圧縮保存してある。
ルフォス・ワールドには大物が隠れ住んでいる。
クアンスティータ誕生により完全に萎縮してしまっている。
吟侍が【答えの力】バージョン2への覚醒をした事で応答する様になる。
003 ソナタ・リズム・メロディアス
ウェントス編のヒロインの一人。
吟侍(ぎんじ)の恋人、カノンの双子の姉であり、共に行けない彼女の代わりに吟侍と共にウェントスの救出チームに参加した。
吟侍の事が好きだが隠している。
メロディアス王家の第六王女でもある。
王家最強術であるCV4という特殊能力を使う。
CV4は4つの声霊、ソプラノ、アルト、テノール、バスを器に入れる事により、特殊な能力を持ったキャラクターゴーレムとして操る能力である。
力不足を指摘されていたが、ルフォスの世界のウィンディス、ガラバート・バラガの助力により極端な力を得ることになる。
セレークトゥース・ワールドの冒険により、大きな力を秘めて戻って来た。
セレークトゥース・ワールドに続き、ロスト・ネット・ワールドへも吟侍のお目付役としてついていく事になる。
吟侍達と喧嘩別れした状態になり、別行動を取っていた。
004 フェンディナ・マカフシギ
3名の姉(ロ・レリラル、ジェンヌ、ナシェル)達と別れて一人旅をしていた全能者オムニーアの少女。
戦闘向きではない大人しい性格だが、自身のポテンシャルは姉たちをも遙かにしのぐ。
また、そのポテンシャルの高さ故に脳に10番の化獣(ばけもの)ティルウムスを宿す事になる。
心臓に7番の化獣ルフォスを宿すという吟侍を探していた。
吟侍にティルウムス以外の何か秘密があると思われている。
潜在している力が覚醒すれば、偽クアンスティータよりも上回ると推測されている。
脳を支配している筈のティルウムスが、すぐ下の両方の瞳より下を異常に警戒している。
クアンスティータ誕生のショックで自身に秘めていた力が一気に解放されて、ショック状態になっていて、必要以上に怯えている。
セレークトゥース・ワールドの冒険により、大きな力を秘めて戻って来た。
自分の力を見つめ直すため、今回はロスト・ネット・ワールドでは別行動に。
今回、自分が【七大ボス】という区分でクアンスティータと同じくくりで見られているという事を知る。
弱い方の5名の1名に数えられている。
吟侍達と合流した。
005 エカテリーナ・シヌィルコ
風の惑星ウェントスに君臨している絶対者アブソルーターの一人。
2番の化獣(ばけもの)フリーアローラをその子宮に宿しているため、アブソルーターの中では最強と呼ばれている。
戦闘狂であり、奴隷達の支配よりも強い相手との戦いを求める。
突然のトラブルで出会った吟侍の事を気に入った。
切り札としていた力がオルオティーナという存在だという事が解り、彼女の古き力を得て、極端なスキルアップを果たす。
それでも、クアンスティータには遠く及ばず、萎縮してしまっている。
初めて男性(吟侍)を頼りになると思い、自身に芽生えた恋心に動揺している。
オルオティーナに貰った4つの古き力の一つである【不可能を可能にする力】を会得する。
セレークトゥース・ワールドの冒険により、大きな力を秘めて戻って来た。
ロスト・ネット・ワールドでも引き続き吟侍と同行する道を選ぶ。
吟侍達と些細な理由で喧嘩別れしてしまい、別行動を取っていた。
006 ステラ・レーター
未来の世界において、最強の化獣(ばけもの)クアンスティータと戦いを繰り広げて来た組織、新風ネオ・エスクの一員。
新風ネオ・エスクは大きく分けて三つの組織があり、レッド・フューチャー、グリーン・フューチャー、ブルー・フューチャーに別れる。
ステラはグリーン・フューチャーの一員で、かかしという超兵器を使う。
また、若くして亡くなった依良 双葉(いら ふたば)という吟侍の幼馴染みの生まれ変わりでもある。
力不足から、フェンディナやエカテリーナより、一歩遅れて戦線に出てくることになったが、役に立てなかった。
セレークトゥース・ワールドの冒険により、大きな力を秘めて戻って来た。
ロスト・ネット・ワールドでも吟侍のサポートとしてついて行く事に。
【アコンルーク】に利用され、感情が爆発してしまい、吟侍達と別行動を取っていた。
嘘を見抜く力、【読偽術(どくぎじゅつ)】を特訓している。
未来の世界では【特別特殊鑑定士(とくべつとくしゅかんていし)】1級の資格を持っていて、骨董品などの鑑定を得意としている。
蚤の市(のみのいち)に行くと目の色が変わる。
007 レスティー
吟侍にひっついてセレークトゥース・ワールドにやってきた調治士(ちょうちし)の少女。
調治士とは化獣(ばけもの)等の超越的存在の医者のようなもの。
彼女は吟侍の専属医の様な存在となる。
吟侍から【答えの力】を受け取り、彼女も少ないながら【答えの力】が使える様になっている。
セレークトゥース・ワールドの冒険により、大きな力を秘めて戻って来た。
ロスト・ネット・ワールドへも専属医のような立場として吟侍と同行する事に。
吟侍と協力し、【答えの力】をバージョン2へと進化させる。
008 聖魔妖精エクス/クェス
カミーロが、ロスト・ワールドから現界に戻る時に出会った聖魔妖精のプリンセスであり、幸運をもたらす存在と言われている。
光属性のエクスと闇属性のクェスは交互に存在している。
どうしても吟侍と行動を共にするときかないソナタに幸運をと思って、カミーロの手から吟侍の側にという事になってロスト・ネット・ワールドの冒険に同行する事になった。
クェスの状態では捕まえた相手の能力を一つ封じるという力を持っている。
エクスの状態では【幸運の導き】という敵と出会わないようにする力を使える。
009 ディアマンテ
未来の世界において、最強の化獣(ばけもの)クアンスティータと戦いを繰り広げて来た組織、新風ネオ・エスクの一員。
新風ネオ・エスクは大きく分けて三つの組織があり、レッド・フューチャー、グリーン・フューチャー、ブルー・フューチャーに別れる。
ディアマンテはブルー・フューチャーの一員で、16体もの怪物と同化している超戦士でもある。
吟侍の大ファンであり彼のマニア。
ブルー・フューチャー最強でもある彼女はロスト・ネット・ワールドの冒険に同行する事になった。
同化している怪物の一体は万能言語細胞(ばんのうげんごさいぼう)を作り出す事が出来る。
また、相手の力を吸収して、増幅させて跳ね返す事も出来る。
吟侍の変化にいち早く察知するなどの気配りを見せる。
010 片倉 那遠(かたくら なえ)
ロスト・ネット・ワールドには参加して居なかった、地球出身の地球屋の少女。
戻って来た吟侍のテレパシーを受け取り、いろいろ調べていた。
011 影添え(かげぞえ)リアン・パルトネール
吟侍の影に住む事を選択する謎の女性。
彼女のような存在を影添え(かげぞえ)もしくは影添者(えいてんしゃ)と呼ぶ。
影添えは特定の存在の影に住み着く事により、その特定の存在と共存する事を選択した存在で、影添えと呼ばれている存在の中でも様々な種族が居るとされている。
その中でも彼女は飛び抜けた才能を持っているため、十大殿堂のメンバーに狙われていた。
影添えとは種族ではなく、能力を意味している。
例えば、複合生命体が影添えの能力を得たら、影添えと呼ばれる事もあれば、複合生命体と呼ばれる事もあるとされる。
影添えの特徴としては宿主としている存在と同じ体験ができるという事もあり、影添えは宿主となる存在を選んでいます。
吟侍を宿主とする事により、吟侍の持つ【答えの力】を彼女も使えるようになった。
【答えの力】の使い手が吟侍、レスティーと合わせて三人になった事で【答えの力】はボージョン2にレベルアップする事になった。
012 フェンディナ・ウェル・クァムドゥエス
5名存在しているフェンディナ・マカフシギの【別自分】の一名。
同じ、フェンディナを名乗りつつも、フェンディナ・マカフシギの三名の姉、(長女ロ・レリラル・マカフシギ、次女ジェンヌ・マカフシギ、三女ナシェル・マカフシギ)とは血のつながりは無い別のフェンディナ。
フェンディナ・マカフシギにより別の宇宙から呼び出される事になる。
【別自分】の中では最強の実力者でもある。
無口で、普段は、「んっ……」しか言わない。
誰かが作らないと出来ない物――それを一瞬にして出現させる力【加工出現(かこうしゅつげん)の力】や指を指した相手に理解を求める情報を与える力【指さし確認】等を使う。
フェンディナ・マカフシギとは最も気が合う【別自分】でもある。
013 デュジル
フェンディナと同じく複合多重生命体(ふくごうたじゅうせいめいたい)という複数の体を持つ存在という区分で、【七大ボス】に数えられる存在。
全く別の種族に見える4名が姿を現したが、それらは全て【デュジル】であり、第一層に数えられる。
【デュジル】は第一層から第四層までの変身区分があり、その度に人数が異なる。
実力が未知数なフェンディナの力を見学するために、ロスト・ネット・ワールドにやってきた。
【デュジル】1−3は裏技に精通しており、それによって、ロスト・ネット・ワールドの穴場を見つけてやってきた。
【七大ボス】では弱い方の五名に数えられている。
【デュジル】1−1は体から胞子の様なものをまき散らしその胞子の様なものは敵の体へと張り付き、敵の体の一部から敵と敵対する存在を作り出し戦わせるという【敵対胞子(てきたいほうし)】という能力を持っている。
014 ラクン・シュアル
フェンディナと同じく複合多重生命体(ふくごうたじゅうせいめいたい)という複数の体を持つ存在という区分で、【七大ボス】に数えられる存在。
見た目は普通の少女だが、長い尻尾がついており、その尻尾の先には別の生物(珍獣?)がついている。
実力が未知数なフェンディナの力を見学するために、ロスト・ネット・ワールドにやってきた。
【デュジル】にひっついてロスト・ネット・ワールドにやってきた。
その力は不明。
【七大ボス】では弱い方の五名に数えられている。
敵対する存在の生体情報をめちゃくちゃに変更させる事が出来るという力【生体情報(せいたいじょうほう)の改ざん】という能力を持っている。
015 バーンエディラ
フェンディナと同じく複合多重生命体(ふくごうたじゅうせいめいたい)という複数の体を持つ存在という区分で、【七大ボス】に数えられる存在。
青い肌に顔のついた赤い髪の女性の姿をしている。
実力が未知数なフェンディナの力を見学するために、ロスト・ネット・ワールドにやってきた。
【ヴェレイ】と共にロスト・ネット・ワールドの大軍勢を一掃出来るほどの力を持っている。
【七大ボス】では弱い方の五名に数えられている。
絶対に治らない病や霊のような存在を取り憑かせとり殺すという【絶望憑依(ぜつぼうひょうい)】という力を使う。
この力の感染元でもある。
016 ヴェレイ
フェンディナと同じく複合多重生命体(ふくごうたじゅうせいめいたい)という複数の体を持つ存在という区分で、【七大ボス】に数えられる存在。
眼鏡をかけた女性の姿をしている。
実力が未知数なフェンディナの力を見学するために、ロスト・ネット・ワールドにやってきた。
【ヴェレイ】と共にロスト・ネット・ワールドの大軍勢を一掃出来るほどの力を持っている。
倒した相手を一瞬にして復活させる力も持っている。
敵を連れてくる力を持っている。
フェンディナに同盟を持ちかける。
【七大ボス】では弱い方の五名に数えられている。
分裂する多重人格者とも呼ばれる存在で、13の性格イコール体を持って居る。
13の性格はそれぞれ、赤、青、黄色、桃色、緑、紫、橙、茶色、黒、白、金、銀、灰の13色の団子を作る事が出来る。
その団子を餌として勢力を手懐けている。
主人格の【ヴェレイ】が使える団子の色は赤。
017 超職人【ジェーニヴィライ】
凄腕の超職人の女性で、彼女が作る作品を【イクストーヴァス】と呼んでいる。
その【イクストーヴァス】の中からクアースリータや【黒いフードの男ソルテリアー】と並び立つQOH(クォーターオブハンドレッド)になる者が出てくると言われているが、今だ、その完成品は出て来ていない。
ソナタ達が太鼓判を押すほど優れた作品ばかり作るが、その出来に満足しておらず、失敗作だと思って居る。
彼女には禁句があり、【最高傑作】を作って欲しいと頼むと、制作者魂に火がついて大変な事になる。
QOHレベルになる【イクストーヴァス】の名前はすでに決めていて、【グレーヌレーヌ】という名前が割り当てられる予定。
018 グレーヌレーヌ
QOH(クォーターオブハンドレッド)の一名とされている存在。
エミターヌ(雄型)とスピティル(雌型)として、別々に存在していた二体の【イクストーヴァス】をこの上ない絶妙なタイミングで合わせる事によって誕生した。
青白い体の女性の姿に金属を思わせる天使の様な翼を持つ。
グレーヌレーヌがQOHの力を得るためには12の行程が必要で有り、それは超難易度のタイミングを必要とする。
019 クアースリータ
12番の化獣(ばけもの)。
クアンスティータを恐れる存在が集まって出来たロスト・ネット・ワールドという宇宙世界を持つ。
その最深奥(さいしんおう)には本当の意味で所有している宇宙世界クアースリータ・ワールドがあるとされている。
何でも特別な状態にするという力を持つ。
その力の強大さは、誕生時に、最強の化獣クアンスティータが誕生したと勘違いされる程のもの。
(第一本体)クアンスティータ・セレークトゥースの双子の姉であり兄でもある存在。
性別はおんこというものになる。
生まれたばかりで知識を得るなど、頭の回転は恐ろしく速いが、性格はてきとう。
時空重震(じくうちょうしん)という時空間で起きる地震を引き起こし、重震度(ちょうしんど)はそれまでの記録を大きく上回る9・7を記録する。
これは、震源地に当たる震源流点(しんげんりゅうてん)近くでは存在が存在を維持できず、分解と再生を繰り返す状態になってしまうほど巨大なものになる。
妹であり弟でもあるクアンスティータ・セレークトゥースが誕生したのを素直に喜んだ。
性別はおんこだが、クアンスティータに対し、お姉さんぶっている。
吟侍達をロスト・ネット・ワールドへと送り届けることになる。
戻った吟侍達からお土産を受け取り、遊んだ事で彼らと仲良くなる。
020 赤いフードの男【クトゥーアル】
以前はフェンディナだけだったが、セレークトゥース・ワールドから帰ってきた吟侍達もスカウトしようと訪ねてきた存在。
実力はあるのだが、自信がプロデュースしている十大殿堂の評価は下がっていて対処が取れていない。
吟侍によってロスト・ネット・ワールドに逃げた十大殿堂のメンバーの様子を見に行ってもらう事になる。
吟侍に十大殿堂のメンバーが近づいたら反応する【メンバーメモリースティック】を渡している。
格好は、黒いフードの男の真似をしている。
彼の依頼もあり、吟侍達は十大殿堂と力試しをする予定を入れている。
今回、吟侍から残念な報告を受ける事になり肩を落とす。
021 クアンスティータ・ソリイントゥス
第二本体クアンスティータ・ルーミスの従属である第二側体。
本体であるルーミスよりも先に誕生していた。
(誕生というよりは突然、出現した状態)
自分の事を【ボクチン】と呼ぶ、芸術と変わった者が大好きなクアンスティータ。
ソリイントゥス・ワールドという宇宙世界を一つ所有している。
その力は、登場シーンだけで、吟侍達が戦慄する程、大きい。
側体でも他の存在を圧倒する程、強大な力を持っている。
千角尾(せんかくび)や背花変(はいかへん)のように、クアンスティータである特徴を持っている。
ソリイントゥス・ワールドで隔離教会(かくりきょうかい)という建物を持ってきてその中でこっそりと行動している。
基本的には男でも女でもないおんこという性別だが、カノンから受けている影響が強いため、どちらかというと女性よりである。
側体なので背中には五角形6片の背花変(はいかへん)を持って居て、それをちぎって吟侍と粘土遊びのような事をした。
ルーミスの誕生式には警護として参加している。
022 怪物ファーブラ・フィクタ
暗躍する神話の時代から生きる男。
最強の化獣(ばけもの)クアンスティータの父でもあり、芦柄 吟侍(あしがら ぎんじ)の前世でもある。
関係者全てに同時にダメージを与える力などを持っている。
第二本体クアンスティータ・ルーミス誕生のために今回も暗躍している。
今回、新郎としてニナ・カエルレウスとの結婚式(ルーミスの出産式)に参加する。
023 ニナ・カエルレウス
現界における最大の財閥、セカイウチュー家の令嬢リーセロット・セカイウチューを名乗って居るが正体は第二本体クアンスティータ・ルーミスを産み落とす第二のニナ、ニナ・カエルレウス。
クアンスティータ誕生事件により、実家はロスト・ネット・ワールドに避難していたが、結婚式イコールルーミスの出産式は現界におけるセカイウチュー家発祥の地で執り行われる事になった。
今回、新婦として、怪物ファーブラ・フィクタとの結婚式に参加するが、同時に彼女が第二本体、クアンスティータ・ルーミスを産み落とすための出産式でもある。