カノン外伝


1 うなされる夜

《あれは敵よ…カノン…打ち倒しなさい…》
カノン外伝001 (吟ちゃんは敵じゃない…倒すなんて出来ない…)
《あなたは女神御(めがみ)なのよ…聞き分けなさい…》
(いや…いやだよ…)
《あなたは特別な女神御…それだけは忘れないで》
 カノンは夢の中で謎の声と問答を繰り返し、うなされ、飛び起きる。
「…大切な人なんだもん…」
 ぽつりとつぶやく…
《あれはもう、人じゃない…》
 起きてもなお、声が響く…
 謎の声は吟侍(ぎんじ)を倒せと囁き続ける…
 だが、彼はカノンにとって初めての…
 カノンは今日もまた、悪夢にうなされる…
 彼女の中の女神御の部分と人としての吟侍を思う気持ちがぶつかり葛藤する…。

2 日常

「おしりぺろんちょ」
カノン外伝002 「何すんだよ、吟兄(ぎんにい)!」
「ははは、導(どう)ちゃんは隙だらけだなぁ」
「僕にもおしりぺろんちょさせろ」
「じゃあ、捕まえてみな〜」
「待てぇ〜」
「ははは!こっちだよ〜」
「逃げるなぁ〜」
 吟侍は義弟の導造(どうぞう)とふざけて遊んでいる。
 おしりぺろんちょとは吟侍が勝手に命名しただけのおしりをなでるという動作だ。
 ここは孤児院、セント・クロス。

 娯楽となるような物は少ない…。

 だが、吟侍は新しい遊びを思いついては周りの子供を巻き込んでみんなでわいわい楽しくやっていた。
 カノンはそんな光景を見るのが好きだった。

3 王女カノン

 カノンはプリンセス、王女様だ。
 孤児院育ちの吟侍とはいわゆる身分が違う…。
 彼女は現国王、ブルースの七番目の娘…。つまり、第七王女だ。
 次期国主の座は八人の王女の中から、一番実績を示した王女が女王として選ばれる。
 だから、カノンは第七王女であるのに王位継承権第二位という立場にある。
 王位継承権第一位は数多くの世界記録を持ち、また、数々の武勇伝を持つ、第四王女シンフォニア…
カノン外伝003 異星からの侵略者を吟侍に変わり撃退している英雄王女だ。

 カノンは幼い頃から多くの発明をし、また、歌姫として活躍し、それを全額、貧しい地域に寄付に回していることから、継承権は第二位という立場となっていた。

 功績としてはシンフォニアよりカノンの方が上回っているのだが、カノンは王国の生態チェックにより、女神御セラピアの化身、転生した生まれ変わりであるという事が解っていた。
 彼女に地球風に言えば、後光に当たるオメガライトが確認されたためだ。

 そのため、発明と美声は女神御セラピアの力という事で、評価から差し引かれている。

 メロディアス王家では、女神御の生まれ変わりであろうと亜空魔(あくま)の生まれ変わりであろうと、王位継承権はあくまでも人間として評価される。
 カノンは稼いだお金を全額寄付に回しているという所とボランティア活動と何となくほっとけないという人柄等で評価されていた。

 惑星セカンドアースでは、貧困であえぐ人はどんどん減っている。世界的な人口は増えているのに、生活困窮者は10年前の半分以下にまでなっている。
 それは、カノンの功績が大きかった。
 英雄王女と呼ばれているシンフォニアが表の功労者なら、カノンは縁の下の力持ち、裏の功労者でもあるのだ。
 実際、メロディアス王国内ではシンフォニアに僅かに部があるものの、外の国ではカノンの方が人気があった。
 カノンは何にでも一生懸命だからだ。

 孤児院セント・クロスに訪れたのもそんな彼女の政(まつりごと)の一つだった。

 だが、今、カノンにとってはかけがえのない場所となっている。

4 思い出

 セント・クロス…。

 吟侍の住む家…。

 カノンが姉のソナタと共に初めて訪れた時は、孤児院の子供達と打ち解けることが出来ず、困っていた。
 正直、その頃、幼い彼女は次期女王になるために必死だったが、何をやっても上手く行かず、半ば、投げやりな行動をしていた。
 孤児院の子供達はそれを敏感に感じ取ったのか最初はカノン達を受け入れなかった。
 だが、そんな時、他の子供達との橋渡しをしてくれたのが、吟侍だった。
 どこか自分は王女であるとお高くとまっていた自分達にニックネームをつけてくれたのだ。
 カノンは【お花ちゃん】、ソナタは【おそなちゃん】だ。
 カノンは花音という漢字を当て字をあてがって、そこからおはなちゃん。
 ソナタはお供え物からだと言う。

 ソナタが吟侍をはり倒した時、それが、滑稽な漫才に見えたのか、子供達は大爆笑した。
 そこから、まるで、魔法をかけたかのように子供達とカノン達の間に壁は無くなった。
 カノンはまるで不思議な魔法を見た気がした。
 それから、何となく気になりだした。

 当時は、セカンド・アース内にも小競り合いの様なものが多発していて、たくさんの悲劇があったのをカノンは聞いていた。
 国王ブルースが王子や王女達に国の内情や他の国との問題を聞かせていたからだ。

 若い内から国王とはこういう問題も解決していかなければならないと伝えるためにだ。

 だが、それが、逆効果になっていて、カノンは人(大人)に絶望していた。

 どうせ、みんな不幸になるんだと…

 だが、表向きはその気持ちを隠し、セント・クロスの子供達と接していたが、ある時、吟侍に本音の部分を見破られた。
(なんで、人が嫌いなの?)
 と。

 吟侍に気持ちを悟られたカノンは狼狽して、思わず、吟侍がいつもやって遊んでいる正義の味方ゴッコをバカにした。

 世界中の何処を探したって、本当の正義の味方なんていないのに…バカみたい…
 と。

 その時、吟侍は一瞬、キョトンとしたが、すぐに答えが返ってきた。

「バカだなぁ…お花ちゃんは…世界中何処にもいないなら、自分でなればいいじゃないか…そうすりゃ、世界中に一人はいるだろ?」

 それまで、誰もカノンの事をバカと言った人間はいなかった。
 カノンをバカと言った吟侍は彼女の親衛隊にふざけるなとたこ殴りにされた。

 だが、カノンの反応は違った…

 カノンは今まで自分が見ていなかった世界が急に開けて来た気がした。

 そこからだ。
カノン外伝004
 彼女が少しずつ変わっていったのは…。

 吟侍に少しでも近づきたい…その気持ちが彼女の人としての器を少しずつ大きくしていった。

 将来、女王になるんだという気持ちは殆ど無くなっていた。

 ただ、自分が人々を幸せにしたい。幸せにしてみせるんだと思うようになっていった。

 気付いた頃には名実共に優れた女王候補と言われるようになっていった。

 だから、今の自分があるのは全部、吟侍のおかげ。
 カノンはそう思っていた。

5 辛い思い出

 カノンが吟侍の事を目で追うようになってからしばらくして、更に、彼女を変える事が起きた。
 セント・クロスと王宮を行ったり来たりの生活が続いたある日、あの忌まわしい事件が起こったのだ。
 四連星(よんれんせい)と呼ばれて、セカンド・アースに住む人々から恐れられていた星から、侵略者達が襲ってきたのだ。
 アブソルーターと呼ばれる侵略者達が労働力としての奴隷として、子供達を攫いに来た。

 みんな為す術が無かった…。

 次々に孤児院の子供達は攫われていった。
 しばらくぶりにセント・クロスを訪れたカノン達が見たのは、意気消沈するジョージ神父と子供達の姿だった。
 どうしようも無い状況に追い込まれ、カノン自身も攫われかけた…。

カノン外伝005 そんな時、たった一人で、アブソルーター達に立ち向かったのが、吟侍だった。
 無謀…誰もがそう思ったが、吟侍は機転を利かせて圧倒的な力を持つ、アブソルーター達に対抗していった。

 でも、所詮は、子供…
 リーダー格の男に心臓を一突きにされ、絶命寸前に…。

 その時、誰かが、セント・クロスの食堂に飾ってあった黒い玉を吟侍の元へ投げた。
 その玉は吟侍の心臓と同化し、圧倒的な潜在パワーを得た吟侍は見事にアブソルーター達を追い払って見せた。

 世界中に正義の味方がいないのなら自分がなれば良い…

 吟侍がカノンに言った言葉を見事実現したのだ。
 それが、カノンにとって吟侍が心に決めた人になった瞬間であり、二人の運命に大きな壁が出来てしまった瞬間でもあった。
 吟侍の心臓と同化した黒い玉…。
 それは、神世(かみよ)の時代、41柱の神御(かみ)と42体の亜空魔(あくま)が協力して倒したとされる13核の化獣(ばけもの)の1核、ルフォスの核だったからだ…

6 神話

 神世の時代、化獣を倒した英雄達は化獣から力を勝ち取り、神御と崇められ、そこからはぐれたものは亜空魔とさげすまれた。
カノン外伝006
 諸説あるが、一番有力なものは13核の化獣の内、神世の時代に誕生したのは9番までの化獣で、10番から13番の化獣は核のままで誕生すらしなかったという。
 1番の化獣ティアグラと7番の化獣ルフォスは特に強力で、神御や亜空魔が束になっても勝てるかどうか解らない程の力を有していたという。
 他の化獣達も強大な力を持ち、一対一ではまず勝てないとされていた。
 だが、覇権を巡ってティアグラとルフォスは共倒れしたのと、個々の力に自信のあった他の化獣達も決して、協力しあうということはなかったという。

 一核一核は強くても協力しなかった点と最強とされていた二核が共倒れし、聖戦に参加しなかったという点、最強の二核をも遙かに上回るという13番の化獣、クアンスティータが誕生する前に行動したといういくつもの要素が重なり、神御と亜空魔の連合軍は勝利をおさめた。
 この神話では、協力しあう事の大切さ、動き出す時を見定めることの大切さが描かれている。
 ティアグラとの相打ちで、力の大半を失っているとは言え、吟侍はその神話に登場する強大な力を持つ化獣の力を得たことになるのだ。
 41柱の1柱の生まれ変わりであるカノンとは敵対関係にある。
 カノンは七大主神の一柱であり、唯一、クアンスティータに有効とされている力を持つ女神御(めがみ)、セラピアの生まれ変わりである。
 神話の時代、セラピアは、まだ、核の状態だったクアンスティータに子守歌を聴かせ、クアンスティータの義母、育ての親になったとされていた。
 そのため、クアンスティータを眠らせる力を持つとされていた。
 神御の中でも対クアンスティータの切り札という特別な立場でもあるのだ。
 これが、吟侍とカノンへの不幸となってしまっている。

7 大切な人

「吟(ぎん)ちゃん、おはよう、今日も変な事してる?」
カノン外伝007 「おはよー、お花ちゃん、変な事ってなんだよ、変なことって?」
「へへへ、変なことは変な事だよ〜。吟ちゃんがいつもやっている事」
「変な事じゃないって!」
「変な事だも〜ん!」
「こいつ〜」
「ここまでおいで〜」
「待てったら」
「待たないも〜ん」

 カノンが吟侍に声をかけ、吟侍をからかい、彼はそれに乗って彼女を追いかけ回す。
 彼女の吟侍とのコミュニケーションの一つだった。
 彼女は今では誰とでも分け隔てなく接することが出来る庶民的な王女とも言われている。
 思いこみが激しい所があり、失敗も多くするが、どこか一生懸命でつい、守ってあげたくなる…そんな印象を持たれていた。

 現に、彼女を攫おうとやってきた男数人に気付いた住民が総掛かりで、退治したというエピソードもある。

 今や、彼女にとって、吟侍の住む下町は護衛無しでも歩ける程、安全な場所と化していた。

 ちなみに攫おうとした男達をカノンはデコピンをしただけで、解きはなっていた。

 全員では無いが、その内、一人は改心して下町の八百屋で下働きとして今も働いている。

 癒しの女神御であるセラピアの持つ癒しの力に触れたためだ。

 みんなに愛されるようになったのも吟侍がいたから…

 もっと吟侍に触れていたい…

 大好き…

 カノンにとって吟侍は掛け買いのない大切な人であった。

 吟侍といると体調が崩れがちになるが、そんなこと彼女にとってはどうでもよかった。

8 オリウァンコの魔の手

 13核の化獣…その中の一核にオリウァンコという名の化獣がいた…。

 番号で言えば8番の化獣だ。
カノン外伝008
 力は13核の中でも最弱…神御が1柱でも唯一、まともに戦える化獣とされていた…

 最弱故に他の化獣への依存心が強く、唯一、臆病な性格とされていた。

 そのため、神話の時代、セラピアの事を執拗に狙っていた。

 セラピアがクアンスティータをコントロール出来る力を得たと勘違いしたためだ。

 セラピアを手に入れる事によって、自分は最強の力、クアンスティータを手に出来ると思っていたのだ。

 現代で言うところのストーカー的な化獣と言っても良かった。

《セラピアは…私のものだ…誰にも渡さない…》

 謎の声が木霊する…

 カノンが人々の癒せば、癒す程、オリウァンコは近づいて来る。
 彼女の中のセラピアを手に入れるために…

「おっさん、誰だよ?」
『…誰でも良い…とにかく、あの女の子に渡せ、これは彼女のものだ…』

 セント・クロスの子供に怪しいコートの男がハンカチを手渡した。

 今の季節は夏…なのにコートは怪しすぎた。

 渡された子供は不審の目で男を見たが、カノンに関われるのならと引き受けてしまった。
「…わかったよ、渡せばいいんだろ…」
『そうだ…渡せ…』
 コートの男はほくそ笑むとそのまま姿を消した。

「お花ちゃーん、これ、お花ちゃんのだってさー」
「ありがとうミゲル君。あれ?でも、それ私のじゃ…」
「もらっとけば?変なおっさんがこれ、お花ちゃんのだって言ってたし…」
「そう?じゃあ、他に落とし主がいなかったらありがたくもらっておくよ…」
 何気ない子供同士の会話だった…だが、
《言ったな。もらうと言ったな…》
 不敵な言葉がカノンの脳裏に響く…。
 いつもの悪夢の声じゃない…
 明らかに悪意に満ちた声だった
「!!…っつぅ…」
 ミゲルからハンカチを受け取ろうとしたカノンの手に電気のようなものが走り、ビリッときた。足元には吟侍が苦痛の表情で転がっていた。
「へ、へへ…かっこわりーな、おいら…呪縛分解失敗だ…」
カノン外伝009  いち早く、ハンカチの危険性を察知した吟侍はミゲルとカノンの元に駆け寄り、それに込められた強力な呪いを破壊しようとした。
 が、カノンがハンカチに触れるのが一瞬早く、呪いが成立してしまった。
 吟侍に出来たのは呪いを自分に移し替える事…それが精一杯だった。

「?吟ちゃん?何をして…吟ちゃん!!」
「何がどうなって…」

 いつもの変な遊びだと思って吟侍を見たカノンだったが、彼の尋常ではない汗に危険を察知した。
 ミゲルの方は何が何だかわからない状態だった。

 ハンカチに込められた呪縛連鎖が吟侍を襲う。

 かなり苦しそうだった。

9 オリウァンコの能力

 勢力を持つと言われる化獣…

 世界を丸ごと所有する1番ティアグラ、7番ルフォス、12番クアースリータ,13番クアンスティータ程ではないが、他の番号の化獣達も軍勢を所有している…。

 8番の化獣、オリウァンコもまた、勢力を所有していた。

 オリウァンコはアイテムの中に呪いという形で軍勢を込めることが出来た。

 コートの男が渡したハンカチもそのアイテムの一つだった。

 コートの男はオリウァンコが飛ばした、オリウァンコの小さなかけらだった。

 カノンの中のセラピアに惹かれてやってきたのだ。

 目的はカノンを殺して、中からセラピアを引きずり出す事だった。

 カノンの頭の中に響く声が教えた。

 彼女の代わりに吟侍が受けた呪いは唯一の存在を巡る大呪だった。

 そのハンカチを巡って7名の刺客が現れる。

 刺客達もハンカチを所有していて吟侍を含めた8名でこの世の存在をかけた戦いが始まる。

 タイムリミットは7日間…

 その間に他の七名の血をハンカチにしみこませないと吟侍という人間は存在しなかった事になるという呪いだった。

 ショックを受けるカノンとミゲル。

 どちらも自分を責める。

 自分がしっかりしていなかったからと…

 だが、吟侍は…

「お花ちゃんもミゲルも自分を責めるなって…悪いのはおめぇ達じゃねぇ、こんなつまんねぇ呪いを持ち込んだやつさ。8人で存在をかけた戦いをするだって?…そんなの知ったこっちゃないさ、何も相手のルールに従うことはねぇ…こっちで勝手にルールを書き換えちまえばいいんだ…」

 といった。

 そこが、吟侍の凄いところだった。

 彼は何も無い所から答えを探し出す事に長けていた。

 悪意を込めて彼を追い詰める者が想像も出来ない所から答えを探し出す事が出来るのだ。

 吟侍は自分の心臓に同化している7番の化獣ルフォスの世界を作り出し、その世界を通して、異世界へとジャンプし、解呪の方法を探し出して来た。
 もはや、吟侍に対し、他の七名とこの世の存在をかけた戦いをするという呪いは成立しなかった。

 ケロッとして帰ってきた吟侍は舌を出し
「ほらな!」
 と言った。

 そこに答えが無ければ、有るところから答えを引っ張って来れば良い…

 それが、吟侍のスタイルだった。

 立ち止まって悩んだりはしない…。

 悩む暇があったら、答えを拾って来る…。

『ぐぐぐ…ぎざま、何者だ…』
 憤怒の表情を浮かべ、コートの男が再び姿を現す。

 それには吟侍は答えず、彼の胸からネズミの様な顔が現れ、変わりに答える。
カノン外伝010 『おい、オリウァンコ、てめぇ、このルフォス様に喧嘩売ろうってのか?』

『ぐぐぐ…お前、ルフォス…だ、だが、いい気になるな…お前、ティアグラとの戦いで殆ど力、無くなった…今のお前、私より弱い…』

『どうだろうなぁ…パワーは確かに落ちてるが、喧嘩ってのはそれだけでやるもんじゃねぇ…てめぇが媚びへつらうティアグラと引き分けた力、試してみるか?』

 これはルフォスのただのハッタリだったが、臆病なオリウァンコを引かせるには十分だった。

『ヒヒヒ…私はセラピアを手に入れる…それで、クアンスティータも私のもの…そしたらお前もティアグラも敵わない…絶対に敵わない…』

『クアンスティータはお前ごときがどうにか出来る相手じゃねぇよ!出直してこい、このすっとこどっこいが!』

『ヒヒヒ…クアンスティータは私のもの…誰にも渡さな…ぎゃぁぁぁぁぁぁ…』

『ほら、見ろ、バカが…』

 コートの男、オリウァンコのかけらはクアンスティータの自動消去能力によって跡形もなく消された。
 力の無い者がクアンスティータに対し、悪意を持つとやられてしまうのだ。

 クアンスティータは生まれていないがその存在の脅威は既に世界に根付いているのだ。

 何にしてもオリウァンコの脅威は一時的に去った。

「さすが、吟侍!敵無しだな」
「へへっ、よせよぉ、ミゲル、照れるじゃねぇか」
 はやし立てるミゲルに照れる吟侍。
 だが、カノンは浮かない顔をしていた。
 自分のせいで、吟侍を危険にさらしてしまったと…。

10 カノンの苦悩

 吟侍はもう少し大きくなったら、アブソルーター達に攫われた友達を助けるために四連星のいずれかに旅立つ事になることが決まっていた。

 セント・クロスの子供達もルフォスの作り出す異世界で修行を積み、救出部隊の一員となるために頑張っている。

 セカンドアース自体も守らないといけないので戦力をすべて、四連星に向ける訳にはいかないから半数はセカンドアースに残るだろうが、吟侍は間違いなく、彼の地へ飛ぶだろう。

 カノンはセラピアの生まれ変わりであるためにルフォスの異世界では修行が出来ない…。

 身体を壊すからだ。

 だけど、自分は吟侍について救出作戦に参加するんだ…

 そう、思っていた…。
 思っていたが、今回の事件で自分は足手まといになるのではないか、吟侍の負担になるのではないか…そう思ってしまった。

 吟侍には吟侍の、カノンにはカノンに適した救出の仕方があるのではないか…

 吟侍と一緒にいたいが、自分は一緒に居るべきではない…

 少なくともルフォスの世界に入れる様な体力をつけないと共にいる資格はない…

 そう、考えるようになっていった。
 それからというもの、彼女自身の試行錯誤に日々が続いた。

 周りの人間には滑稽に映っていた。

 何をしたいのかが全く解らない…

 研究所にこもったかと思えば、各地をかけずり回り、笑ったかと思えば突然泣き出し、怒りもした。

 みんな、情緒不安定になっていると思っていたのだが、彼女は自分の答えを模索していたのだった。

カノン外伝011 「おそなちゃん、お花ちゃんは?」
 吟侍がカノンの双子の姉、ソナタに訪ねる。
 彼女の奇行とも思える最近の行動が気になるのだ。
 つい、彼女が閉じこもっているラボまで来てしまった。
「最近のあの子の事は私にもわかんないわよ。あんたの変なところが移ったのかしらね、どうしてくれんのよ」
「どうしてって、おいらが悪いの?」
「冗談よ、ただ、私も心配してんのよ、お風呂もろくに入らないのよ。お風呂大好き人間だったあの子がよ。気でもふれたかと思っちゃうわよ。何とかしなさいよ、彼氏でしょ、あんた」
「おそなちゃんこそお姉さんじゃんか、何とかなんないの?」
「なったら、悩まないわよ」
「そだね…」
「はぁ〜っ」
 二人はため息をつく、カノンの行動の意図がわからないためにどうして良いのか解らないのだ。
 吟侍もカノンの事になると自由な発想が出来なくなってしまう。
 どうしても心配が先に立ってしまうのだ。
 そんな心配をよそに、ラボの重い扉が開かれた。
「出来たぁ〜っ!出来たよ〜、カノニウム!私はこれだ!これで行く!」
 くしゃくしゃの髪のカノンが元気に顔を出した。

11 カノンの救出スタイル

 満面の笑みのカノン。
カノン外伝012 どことなく、誇らしげな感じだった。
 何となく、自信に満ちている…。

「ど、どうしたんだ、お花ちゃん…?」
「か、カノニウムって何?」

 口をポカンとあけてカノンを見つめる吟侍とソナタ。
 何が何だかわからなかったからだ。

「へっへーっ、見て見てぇ〜ほら、これがカノニウム。私の名前を取ったんだぁ〜これが私の武器になる!やるぞぉー。これだけじゃだめだ。もっと作らなきゃ…」
「ちょちょちょ、ちょっと待ってよ、お花ちゃん…説明してよ、説明…」
「そうよ、カノン、みんな、あんたのこと心配したんだから…」
「あ、ごっめーん、説明するね〜じつは…」
 言いかけてカノンはそのまま寝てしまった。
 よっぽど疲れていたのだろう。
 寝顔はまるで宝物を発見した子供の様に嬉しそうだった。

 後日、セント・クロスで、カノンは説明した。

 彼女はずっと、救出作戦のお荷物になりたく無くて彼女に出来る事を模索していたという…そして、自分分析と世の中の出来事などを見て回り、自分に出来る事を探した。

 最初は自分には歌があると思った。

 自分には人々を魅了する歌がある…。

 これで、アブソルーター達の戦意を喪失させてと思っていた…。

 だが、実際に各地を回った彼女は耳が聞こえない人も居るということ…歌い出す前から暴れ出す者もいる…言葉の壁により歌だけではどうしようもない部分もあるということに気付かされた。

 人間でもそれだけあるのだ。

 まして、相手は人間ではないアブソルーターという全く別の生命体なのだ。歌だけでは…それだけでは足りない。何か別の何かが無ければ…

 そう思うようになったという。

 次に思いついたのは自分には物を発明する力があると言うことだったが、それも文化の違いにより、有るところでは重宝されても別の有るところではがらくた以下の扱いとなる場合もある…。
 そう、いろいろあるのだ、自分と相手の条件により、対応の仕方も色々ある…。

 それで、出した結論が交渉術だった。

 カノンは交渉により友達を救い出そうと考えたのだ。

 そして、交渉術の道具の一つとして、様々な物に加工しやすい特別な金属を作って持って行く事を思いついた。

 それにより、考えだされたのが、夢の金属、カノニウムだった。

 カノンはカノニウムを始めとする様々な交渉素材を持って行き、アブソルーター達と交渉するつもりでいたのだ。

 話して見れば解る…

 それが、彼女の出した結論だった。

 彼女の救出スタイル…それは交渉術によるものだった。

12 カノンの決意

「バカかお前は!」
「くたばりてぇのか、てめぇは!」
 アーサーとタケルが怒鳴る。
 二人が怒るのも無理は無かった。
 相手は、人々を攫い、時には平然と殺すような存在なのだ。
 そんな相手との交渉など自殺行為に等しいと思えたからだ。
「死にたくはないよ。だけど、私はやる。一人でも行くよ。吟ちゃんとは一緒に行かない。私はアクアに行く」
 みんなに総反対されてもカノンの決意は変わらなかった。
 カノンもバカじゃない…何の勝算も無く言ったわけではなかった。
 彼女は四連星のアブソルーター達をセカンドアースから人を攫った略奪者としてではなく、何かを困っている存在として調べたのだ。
 四連星の天体観測をしてカノンが気付いたのは、その内の1星、アクアには厳しい超自然現象、スーパーナチュラルが襲いかかろうとしていることだった。
 多分、救出作戦を行う頃にはそれは起こり始めるだろうと推測できた。
 救出作戦も大事だが、アクアという星に襲いかかる脅威を取り除く事が先だと考えたのだ。もちろん、交渉もする。
 スーパーナチュラルに対し助け合えば、相手の気持ちもわかるし、こちらの思いも伝わる…カノンはそう考えていた。
 それに、吟侍に頼らなくても何とか出来る自分になりたい。
 そうも思っていた。
 だから、吟侍との冒険ではなく、彼とは別々の旅を選ぶことにしたのだ。

 カノンを悩ませていた、夢の中の声はもう気にならなくなっていた。

 彼女には明確な目標が出来たのだから…。

 後は、目標に向かってまっすぐに進んでいくだけだ。

 吟侍の様に…

13 胎動…動き出す最大の壁

 カノンを夢の中で悩ませていた声、それは女神御セラピアの魂だった。
カノン外伝013
 彼女の中のセラピアが彼女の抱えるもう一つの秘密が表に出るのを防ぐために吟侍を遠ざけようとしていたのだ。

 吟侍の中のルフォスが刺激になってしまう…
 そう、判断したのだ…

 第八の化獣、オリウァンコがセラピアを手に入れる事がクアンスティータの力を手に入れることだと勘違いしたのもそれが原因だった。

 クアンスティータの核に義母だと認められたセラピアには彼女の魂を守るために最強の護衛がついていた。

 クアンスティータの17番目の側体(そくたい)、クアンスティータ・オムニテンポスだ。

 ルフォスやティアグラ等、他の12核の化獣は一つの核が元になっているが、クアンスティータには96もの核が使われているという…
 96の内、24がクアンスティータとなっていて、内訳は本体が7つ、側体が17に分けられていた。
 側体は本体の暴走を防ぐため、あるいは本体が守りたいと思うものを守るため等に存在し、世界のあちこちに点在する。
 7つの本体はもちろん、17の側体もそれぞれまるまる一つ、世界が与えられていた。
 単純に考えてクアンスティータは本体と側体を合わせて、24もの世界を所有していることになる。
 側体1つ1つがルフォスやティアグラの力をも遙かにこえる力を有していた。

 その側体の一核がカノンの心の奥底に封じ込められていたのだ。

 しかも、カノンの中にあるのは第十七側体…クアンスティータの最強の本体である第七本体の暴走を防ぐために存在する最強の側体だった。

 ろくに力の覚醒もしていないカノンにクアンスティータ・オムニテンポスが目覚めたら、彼女は自分の存在を維持出来なくなる。
 それを防ぐための自己防衛本能と言っても良かった。

 クアンスティータ…
 最強の化獣…

 生きとし生けるものが邪心を持たなければ…
 おそらく、全歴史にその存在はなかったはず…

 邪な気持ちを持つ者の邪心が寝た子を起こそうとしていた。
 全てを崩壊させる力を持つ究極の化物を…

「ねぇ、ママ、あれ何?」
カノン外伝014 「あれは…な、何かしらね…?」

 親子連れが空を見上げる。

 空には巨大な山がまるまる一つ浮いていた。

 余分な部分は黒い雷にどんどん削られ崩れ去り、巨大な胸像へと形を変えていく…

 胸像の中にもクアンスティータの側体が眠っている…

 第十三側体、クアンスティータ・ヒアトリスだ…

 とある星ではそこに住んでいた全ての人間が姿を消し、代わりに影が一つ現れる…

 第十二側体、クアンスティータ・イスクリアの影だ…

 静かに…そして、少しずつ、クアンスティータが誕生に向けて胎動を始める…

 クアンスティータの誕生が確定したのだ。

 その巨大すぎるパワーは他の生命体にも影響を及ぼし始めている。

 まず、時空を操る能力を持つ者にその影響が出た。

 ある一定以上の未来に跳ぶ事が出来なくなった。
 おそらく、そのある時間…それが、クアンスティータ本体の誕生日となる。

 クアンスティータに影響を及ぼす能力は効果が出なくなるのだ。

 吟侍がいかに強かろうとクアンスティータには遙かに及ばない…

 まともにぶつかれば一溜まりもなく消されるだろう…

 それだけの化獣が近い将来現れる…

 クアンスティータ誕生は破滅を意味するとされ、その存在には神御ですら、畏怖している。

 悪空魔もクアンスティータによる破滅は望まない…

 吟侍にとっても…そして、カノンにとっても最大の壁となるものが生まれるまでのカウントダウンが始まったのだ。

14 デート

「ぎーんちゃん」
「あ、お花ちゃん…考え直さねぇか?やっぱり、おいらが一緒にいた方が…でも、近づき過ぎるとお花ちゃんの体調が…」
 カノンに声をかけられた吟侍は悩んでいる様だった。
 彼はカノンの近くで守りたいと思う気持ちと近くに居すぎると彼女は体調を崩してしまうから離れていた方が良いという気持ちの両方を持っていてどちらかに決めかねていた。
 出来れば、出来るうるならば、カノンには救出作戦に参加せずにセカンドアースで留守番をしてもらいたいと思っていた。
 だが、他の仲間が危険を冒して救出作戦に参加するのに、彼女だけ安全な場所で待っているなど出来ない。
 カノンはそういうだろうというのも解っていた。
 だからこそ悩んでいた。
「ううん、良いの、決めたの。私も救出作戦に参加する…そして、吟ちゃんとは別の星に行く…ごめんね、心配かけちゃうよね…私、頼りないから…。だけど、強くなるよ、約束する」
「お花ちゃん…」
「…デートしない?お互いの気持ちを確かめたいし…へへっ、吟ちゃんが浮気しないかテストします」
「う、浮気なんかしねぇって…」
「あ〜声がうわずってるー、絶対浮気するんだー」
「し、しねぇって…」
「本当?」
「本当だって…」
 じぃっと吟侍を見つめるカノン。
 吟侍はどう反応したらいいのか解らずに戸惑っている。
 耳まで顔が赤くなってしまった。
 思わず、目をそらしてしまった。
「あ、目をそらした。やましい気持ちがあるんだ」
「ね、ねぇって、…多分…」
「へへっ…あ、吟ちゃん、目やについてる〜、顔、ちゃんと洗ってる?」
「あ、洗ってるって…デ、デートするんだろ…何処にする?」
「そうだね〜まずは、お散歩かな?吟ちゃんと私が育った町を一回りするの。後は任せるよ。ちゃんとエスコートしてね」
「お、おう、任せろ!今、本買って調べるから…」
「ぶぅ〜っ、吟ちゃんが考えてよね!」
「え?おいらが?」
「そうだよ、エスコートってそういうことでしょ」
「わ、わかった」
「吟ちゃんらしい、変なデートコースにしてね!」
「ま、任せとけ!」
 吟侍とカノン…二人は付き合っていたが、まる一日、二人っきりで何かをするというのはこれが初めてだった。

カノン外伝015 二人は町内を回り、色んな思い出話をして笑い、時には悲しい話もした。

 その後は吟侍が決めたデートコースを回った。

 お世辞にもムードがあるとは言い難いものだったが、珍しい虫を見つけたり、悪戯をして怒られたり、ちょっと涼しいところでカノンの体力を回復させるために昼寝をしたりと吟侍らしいルートだった。

 そして、楽しい時間はあっという間に過ぎ去り、夜になってしまった。

「楽しい時間はあっという間だね…」
「そうだな…送っていくよ…」
「ううん、いい…いつかまた、二人で笑おうね。約束だよ」
「…わかった…気をつけて…」
 別れを惜しむ二人…
「…吟ちゃん…」
「え?」
 別れ際、カノンは吟侍に向けて投げキッスをした。
 そんなことをするキャラではなかったので、吟侍は目を丸くして驚いた。
「えへへ、今は私、体力無いからね〜、ちゅーしたとたん、バタンキューだとかっこ悪いからね〜今はこれだけ…」
「お花ちゃん…」
「ばいばーい、またね〜」
「あぶな…」
「あいたたた、へへへ、転んじゃった。かっこ悪いな〜私…」
 やはり、吟侍とずっと一緒に居ることで体力を使っていたのだろう、カノンはフラフラだったのだ。
 目には涙を潤ませていた…。
 転んで痛かったのではない…今後、吟侍と離ればなれで行動することになるのが辛いからだ。
 やっぱり一緒にいたい…。
 その気持ちを押し殺していた。
 二人にとってベストの方法を選択したのだ…。
 だけど、一緒にいられないのはやっぱり辛かった。
 涙を見せないように後ろを向きカノンは
「明日は天気かなぁ〜明日も晴れると良いね、じゃ、お休みなさい」
 と言い残し、無理して走って城に戻った。
 吟侍は黙ってその後ろ姿を見えなくなるまで見送った。

15 それから…

「ちわーっす、吟侍、今日もバカやってる?」
 ソナタがセント・クロスを訪ねて来た。
 カノンは一緒では無かった。
 一人での来訪だ。
「おそなちゃん…何だよ、その挨拶は…」
「あんたにはこれで、十分でしょ。それより、カノンなんだけど、今日もラボにこもるってさ、何かあったの?」
「…まぁ、ね…」
「喧嘩したの?やーねー夫婦喧嘩は犬も食わないって…」
「喧嘩じゃねぇさ…お互いの気持ちを確かめあったんだ…」
「え!?ついに結ばれたの?」
「違うって…」
「じゃあ何なのよ?」
「…幸せにしてやりてぇ…そう思っただけだ…」
「はぁ?何それぇ?」
「あーうるさい、小姑だ」
「吐きなさい、何があった、さぁ、吐け!」
「何でもねぇよ」
「ちょっと待ちなさいよ、吟侍、おねーさんに詳しく話しなさい」
「おいら、ちょっと野暮用があるから…」
「待ちなさいってば」
 吟侍が誤魔化すかの様に、その場を立ち去り、ソナタは後を追っていく。

 カノンは自分の信じた道をまっすぐに歩き始めた。
カノン外伝016
 惑星アクアを救う事、友達を助ける事、吟侍と一緒にいても平気なくらいの体力をつける事。

 その目標達成のために、もう、立ち止まらない。

 ただ、まっすぐに歩き続け、力をつけていく。

 吟侍もそれを信じ、別々の道を歩き始めた。

 再びつながると信じて。

 ただ、ひたすらまっすぐに…。

登場キャラクター説明


01 カノン・アナリーゼ・メロディアス (子供バージョンと成長バージョン)

カノン子供&成長 本編のメインヒロイン。吟侍の彼女であり、メロディアス王家の第七王女でもある。
吟侍の負担になりたくなくて、彼女なりの答えを探している。













02 女神御 セラピア

女神御セラピア カノンの中に眠る女神御(めがみ)。神の中では主神の一柱に数えられる。
神話の時代、クアンスティータの義母となることに成功しており、クアンスティータを寝鎮める子守歌を歌う事が出来るとされる。












03 芦柄 吟侍(子供バージョンと成長バージョン)

吟侍子供&成長 本編のメイン主人公。カノンの彼氏であるが、自分が影響して彼女の体調を崩してしまう事を気にしている。














04 シンフォニア・サビ・メロディアス第四王女(ロ・レリアル)

シンフォニア カノンの異母姉妹で第四王女にして王位継承権第一位。
正体は設定を変える能力を持つ元全能者オムニーアのメンバー。
本名はレリラルで、三名の実妹がいる。













05 ティアグラ(絵本バージョン)

ティアグラ絵本バージョン 神話の時代、ルフォスと覇権を争って相打ちとなった一番の化獣(ばけもの)。
世界を一つ所有する。









06 ルフォス(絵本バージョン)

ルフォス絵本バージョン 神話の時代、ティアグラと覇権を争って相打ちとなった七番の化獣(ばけもの)。
世界を一つ所有する。












07 クアンスティータ(絵本バージョン)

クアンスティータ絵本バージョン 神話の時代、その恐ろしさだけは語りつがれたがついには誕生することが無かった十三番の化獣(ばけもの)。
もし、誕生していたら神御(かみ)と悪空魔(あくま)の勝利はなかったとされている。
二十四もの世界を所有する。











08 オリウァンコ(第八の化獣)

オリウァンコ 神話の時代に神御(かみ)と悪空魔(あくま)の連合軍に敗北した八番の化獣。一核、一核は神御や悪空魔をもしのぐとされている化獣の中で唯一、単身でも神御や悪空魔が太刀打ち出来るとされている最弱の化獣。
最弱故に、クアンスティータやティアグラ等の強者への依存が大きく、クアンスティータを鎮める力を持つとされる女神御セラピアを神話の時代よりつけねらう。









09 ソナタ・リズム・メロディアス第六王女(成長バージョン)

ソナタ カノンの双子の姉。
彼女の代わりに吟侍と風の星、ウェントスに向かうことになっている。