第〇話 グランドスタート2


00 始まり…

 《コチラ、ロスト・ネット・ホスト…コレヨリ、クアースリータ ノ、シケンセイタン ヲ ハジメマス…》
 ロスト・ネット…ロスト・ネットワークシステム…失われたネットワーク…
 シケンセイタン…試験生誕…
 本番ではない…誕生…
 試しの誕生…
 12番の化獣(ばけもの)クアースリータは自身の誕生の前に練習の誕生を行った…。
 だから、今、生まれたのはかりそめの命…

 11番までの化獣はすでに誕生し、残すは双子として生まれて来る12番の化獣クアースリータと13番の化獣クアンスティータのみ…
0話2 01 この最強の双子が生まれるのはまだ少し先…
 双子はまだ、母である、魔女ニナの腹の中…
 今回は姉のクアースリータが少しフライングして先にちょっと顔を出した…それだけの話…












01 キャリア・フロント・バック

「…ここも違う…」
 キャリアはとある星を立ち去った。
 その星にも彼女の安住の地は無かった。
 彼女は自分の居場所を探して、次の星を探し始めた。
0話2 02 キャリア・フロント・バック…彼女の名前だ。
 彼女は人ではない…。
 天使であり、悪魔である…
 そして、そのどちらでもない…。
 天使と悪魔の子として生を受け、天使達からも悪魔達からもつまはじきにされた悲しい存在だった。
 神に…悪魔に…認めてもらいたくてどちらにもすり寄ったが、どちらにも属する事は出来ずに彼女は【悪天使(あくてんし)】というくくりでどちらからもはじかれた。
 彼女はそうして地球を追われ、新たなる母なる星を探して、宇宙を旅していた。
 神・天使、悪魔の概念は他の星でもあり、その度にすり寄っていったが、どの星でも相手にされなかった。
 様々な神話があり、その物語には登場する者が決まっている。
 そこにキャリアが入る隙間は何処にもなかった。
 それでも、彼女は次なる新天地を探して、次の星を探す。
 そして、次の星系には神と悪魔は少し違った名称で伝わっている事を知った。
 神は神御(かみ)と書き、悪魔は悪空魔(あくま)と書いた。
 二つは元々同じ存在で、神話の時代に袂を分かち、神御と悪空魔と称された。
 この神話にはもう一つ、重要な存在があり、それを化獣(ばけもの)と呼んだ。
 神話において、神御と悪空魔の連合軍は化獣を打ち倒し、崇拝され、恐れられたという…。
 キャリアはこの神話に加わろうと星に降りた。
 次こそは仲間に入れると信じて…

02 タティー・クアスン

「タティー…お前の名前は特別なんだ…だからその名前の事を考えちゃだめだよ…」
 タティーが祖母に言われた言葉だ。
 タティーの実家、クアスン家は精霊信仰のある家系だった。
 名前は精霊にお伺いを立て、その時聞いた響きで名前をつける。
 タティーが生まれた時に聞いた響きは【タティー】…
0話2 03 それが、彼女の名前となった。
 彼女は普通に育った。
 何の取り柄も無いが、すくすくとまっすぐ育った。
 彼女は部活に入った。
 昔から好きだったパズル…
 だけど、祖母にずっと止められていた。
 それをやりたくて、祖母に内緒でパズル同好会に入った。
 今日の部活ではアナグラムを教わった。
 文字を並べ替えて、別の名前を作るというものだ。
 面白くなって、タティーは色んなもののアナグラムを作った。
 そして、彼女はついにたどり着いてしまう。
 自分の名前をアナグラムにするという事に…。
 【タティー・クアスン】…並び替えると【クアンスティータ】…
 その事に気付いてしまった時…彼女の運命はガラッと向きを変えてしまった…
 彼女に自覚が無くても周りが勝手に彼女を【クアンスティータ】として認識してしまう…

03 クアースリータ

 クアースリータ…クアンスティータの双子の姉…
 クアンスティータがそうであるようにクアースリータも母であるニナ・ルベルの腹の中に核が存在した。
 近い将来、クアースリータはクアンスティータ第一本体、クアンスティータ・セレークトゥースと双子として生まれる予定だった。
 その後、クアンスティータは二人目のニナ、ニナ・カエルレウスの腹に移り、第二本体、クアンスティータ・ルーミスとして誕2度目の誕生をし、第三、第四〜…と7人のニナの腹に移りながらより強大なクアンスティータとして誕生を七度、繰り返す…。
 その強大な存在、クアンスティータの唯一、兄弟(姉)として認められるのがクアースリータだった。
 クアンスティータの姉を名乗るだけあり、その力も恐ろしく強大だ。
 その力の特徴としては1番の化獣(ばけもの)ティアグラ、7番の化獣(ばけもの)ルフォスの様に、世界をまるまる一つ所有している…
(クアンスティータの場合は24もの世界を所有している)
 クアースリータの所有する世界をロスト・ネット・ワールド…通称ロスト・ネットと呼んだ。
 ロスト・ネットは細かい無数の世界がインターネットの様につながる世界で、そこには化獣をも超える力を持つ猛者の九分九厘が属しているとされている…。
 その九分九厘の猛者達はただ一つの存在、クアンスティータを恐れ、彼女の姉と関わりを持つ事で、その脅威から逃れる道を選んだとされている…。
 クアンスティータの事を恐れているとは言え、その力はトップクラスの化獣、ティアグラやルフォスの力を遙かに超える猛者がうじゃうじゃ居る…
 それが、ロスト・ネットだった。
 ロスト・ネットでは、常に、クアースリータ、クアンスティータ姉妹を監視し、最善の状態であろうとしている。
 クアースリータ誕生にあたっても同じ事が言え、彼女の誕生の前にシミュレーションを行おうとしていた…。
 言わば疑似誕生だ。
 彼女の強大過ぎるパワーに世界が耐えられるか…
 クアンスティータに悪影響はないか…
 それを見るためのものだった…。
 クアースリータは特殊な身体を持っていて、その特徴は複合生命体であるクアンスティータと似ていた。
 赤子の様な姿のクアースリータは自由に成長する事が出来る…。
 成長すると、三つの身体に別れるという特徴を持っていた。
 三つの身体に別れた時、お互いを打ち消し合っていたパワーが解放され、本来の力を発揮するのだ。
 三つの身体の名前はそれぞれ、エファーキス、トプカ、ルコとされ、メインとなる心はエファーキスとなる。
 今回の試験誕生は、そのエファーキスではなく、身体が別れたときに出現するクアースリータ・ルコで行われた。
0話2 04 『ぐるるるるるる…』
「獣か、こいつは…」
 疑似誕生の場には母であるニナ・ルベルの他にも父、ファーブラ・フィクタがたちあった。
 クアースリータ・ルコにはしっぽが生えていた。
 それが、彼女が人間では無いことを物語る。
 クアースリータ・ルコはそのまま、父であるファーブラ・フィクタに襲いかかり、彼により取り押さえられた。
「やめて、私達の子供よ…」
 ニナ・ルベルが夫、ファーブラ・フィクタを止める。
 彼が、ルコを今にも殺しそうな勢いだったからだ。
「…殺しやしねえさ…しかし…何の力も持たせてない状態で、このパワー…一体、どうなってんのかねぇ…この双子は…いや、楽しみだねぇ、こいつらが生まれてくるのは…」
「幸せになって欲しい…私はそれだけよ…」
「幸せにするには他の全てを潰してしまえばいい…そうすれば、こいつらを煩わせるバカは現れない…」
「私はみんなの中で幸せに…」
「他の奴らは弱い…弱いからこそ、強い者を利用する…。俺は忘れない…」
「過ぎた事でしょ…」
「俺の怒りの結晶…それがこいつらだ…」
「………」
『がぁぁぁぁぁぁぁっ』
「まずは、こいつを大人しくさせねぇとな…話はそれからだ…」
「そうね…」

04 ニナ・ルベル

 神話の時代において、13核の化獣を産んだとされる魔女、ニナ…
 その生まれ変わりとなった七名のニナはこの世に生を受けていた。
 ニナ・ルベルはそんな中の1人だった。
0話2 05 魔女とは呼ばれていても性格はいたって穏やか…
 争いは好まない質だった。
 ただ、クアースリータ、クアンスティータの姉妹を産み落とす…
 それが、彼女が魔女と呼ばれる所以だった。
 常に、正体を隠して生活をしていた。
 そうで無ければ、クアンスティータを恐れる人々に殺されていたかも知れない。
 いや、そうでは無かっただろう…
 クアンスティータの自己防衛能力は誕生していない今もしっかり機能している…。
 彼女に害をもたらす存在は自己防衛能力により、消し飛ばせるだけのパワーが既に備わっている…。
 だから、ニナ・ルベルは他の人達を守る為に正体を隠しながら生活していたのだ。
 そんな逃亡生活をしていたある日、彼女は【F】と名乗る男と出会った。
 【F】とは神話の時代にニナを通して、化獣を誕生させた怪物、ファーブラ・フィクタの事だった。
 Fは人間に対し、激しい怒りを持っていたが、やがてニナ・ルベルと恋に落ち、彼と関係を持った…。
 そして、告げられた。
「クアースリータとクアンスティータを産んでくれ…」
 と。
 彼は知っていたのだ、彼女が神話の時代のニナの生まれ変わりであるという事を…。
 彼を愛していた彼女は迷うこと無く首を縦にふった。
 しばらくすると彼はふらっといなくなり、またしばらくすると戻って来た。
 彼が居なくなった理由はわかっていた。
 他のニナに会いにいっていたのだ。
 神話の時代…、クアンスティータの誕生は不可能だった。
 理由は七つの子宮を持っている女性など居なかったからだ。
 クアンスティータを産み出すためには、魂を七つに分けて、七人に転生する必要があった。
 クアースリータまでは産むことが出来ても、クアンスティータだけは産めなかったのだ。
 今の時代、ニナは七人いる…
 つまり、クアンスティータを産み落とす事が可能なのだ…
 Fは他のニナにクアンスティータの子種をつけに行っていたのだ。
 嫉妬しないと言えば嘘になるが、元は同じニナの魂を持つ者…。
 Fはクアンスティータ誕生に執念を燃やしている…。
 だから、これは必要な事と割り切った。
 他のニナもクアンスティータは産み落とすが、クアースリータを産めるのはニナ・ルベルだけなのだから…
 ニナ・ルベルはそれだけで満足だった。

05 タティーの旅立ち

「あの…おっしゃっている意味が解らないのですが…」
 タティーは登校中、奇妙な集団に絡まれていた。
 何でも、力を分けて欲しいとの事…
 彼女にとっては一体、何のことを言っているのか解らなかった。
 これだけではない…。
 自分の名前がクアンスティータのアナグラムになると解ってからは度々、変なものに絡まれる事が多かった。
0話2 06 それと同時に彼女のメガネが何か別の物に変わったのを肌で感じていた。
 何か意志のようなものを感じるのだ…。
 と言っても、メガネは普通にメガネショップで購入したいたって普通のメガネのはずなのだが…。
「だからよぉ…それだけ強大な力を持っているんだ…俺たちに少し恵んでくれても罰は当たらないだろ…」
 絡んできた男の1人が自分勝手な事を言う…。
 この男も周りの男達も人間じゃない…
 それをメガネが教えてくれている…
 このメガネ…何か、勝手に彼女を守ってくれているみたいだった。
 今までにも、訳のわからない連中がタティーに絡んできてはこのメガネに撃退されていた。
 正直、気持ち悪いのだが、何だか物騒なので、このメガネを頼りにする事にしているのだ。
 多分、今回も…
『我が主に害なす不貞の輩を排除する…』
 メガネから勝手にレーザー光線の様なものが出て、絡んできた連中を絡め取り、空間の歪みの放り込んでしまった。
「…いつも、すみません」
 とりあえず、タティーはお礼を言う。
 すると…
『…いえいえ、任務ですから…』
 と答えを返してくれる…
 どうやら、このメガネ…
 彼女をクアンスティータと勘違いしているようなのだ。
 タティーはクアンスティータを意識する事によって、本来、クアンスティータを守る存在がこぞって彼女を守りに来てくれているのだ…。
 メガネさんはそのリーダー格と言ったところか…
 考えて見ればマヌケな話ではあるのだが…。
 何にしても、助けてくれるというのは大変ありがたい…
 絡まれるのは困るけど…
 クアンスティータは誰かに守ってもらう程、弱くはないどころか最強の座を欲しいままにしているというし…。
 好意で助けてくれるのならありがたく…
 そう思うタティーだった。
『クアンスティータ様…』
「タティーです…」
『タティー様…どういたしましょう…』
「どういたしましょうと言いますと?」
『どうやら、タティー様を利用しようとする不届きな輩が数多くいるようです。ここは一つ、成敗しに参りませんか?』
「成敗…ですか…」
『私のような者が差し出がましい事を言いました。タティー様に悪意のある者を見ると腹立たしく…すみません…お気になさらずに…』
 どうやら、このメガネ…冒険に出たがっているようなのである…。
 仲間を集めてクアンスティータの威光を示したい…
 そんな気持ちが会話からくみ取れるのだが…
 タティーにとってはそんな事を言われても困るのではあるが…
 彼女にとってもこれ以上、ここにいると家族や友達に迷惑がかかりそうなので…、クアンスティータにあって、この勘違いをしているおマヌケさん達を引き渡したい…
 そんな気持ちもあった…。
 クアンスティータの部下になりたいという者はさぞやたくさんいるだろうから冒険しても危険は少ないだろう…。
 だが、問題は帰る時だ。
 無事に家まで送ってくれるだろうか…。
 勝手に、クアンスティータを慕う者達の力を借りてしまって怒られないだろうか…
 そもそも、クアンスティータってまだ、生まれて無いんじゃなかったっけ?
 そんな不安もあるが、このまま、勘違いさせてタティーを手伝わせ続けるというのも忍びない…。
 そんな気持ちがタティーを突き動かした。
 両親達に話したら、いつかこんな日が来るんじゃないかと思っていたと意外なくらいあっさり冒険を了承してくれた。
 タティーの名前をつけた時からそうなる運命だったとまで言われた…。
 こうして、タティーの冒険は始まったのである。

06 キャリアの冒険

 キャリアは星にたどり着き、さまよい続けていた。
 最初についた星の名前は風の星、ウェントス…
 着いて早々、この星の支配者の2人という絶対者達とやりあった。
 理由は、キャリアがいきなりその2人のいる城に乱入したためだった。
 侵入者として排除されそうになったのだ。
 それぞれの会話から、その2人の名前はアナスタシアとエカテリーナという事がわかった。
 アナスタシアの方は大人しそうだったが、エカテリーナの方は血の気が多い感じがした。
 どうやら、この2人、化獣の加護を受けてそうで、特に、エカテリーナの方は子宮に化獣が宿っている様だった。
 この星系の化獣と言えば、基本的な戦闘力は神御や悪空魔より上と聞く…
 そんな者を相手になど出来ないと思い、彼女は退散したのだ。
 何とか逃げられたが、本気で追いかけられていたら捕まっていただろう…
 追いかけるエカテリーナが出した鏡の様なものにはそれだけ、恐ろしい力を感じた…。
 キャリアを追い払うのが目的だったみたいなので、事なきを得たが…。

 とにかく、支配者側より勇者側…
 そうすれば、少なくとも神御につながる何かは得られるだろうと噂の【吟侍(ぎんじ)】という名前の勇者を捜す事にしたのだが…
 会ってみたらその吟侍の心臓にもネズミのような化獣がいた…。
 ルフォスというらしい…
 力は大分、失っている状態らしいのだが、それでも禍々しく、強大な潜在能力を感じた。
 そのルフォスがキャリアを取り込もうとしたので、彼女は激しく抵抗した。
 一悶着あった後で、吟侍に謝られた。
 悪い気はしなかったので、仲良くなっても…
 と思ったのだが、そこに【おそなちゃん】と呼ばれた女性、ソナタが現れ、吟侍とキャリアの仲を疑り始めた。
 ややこしくなりそうだったので、その場を離れる事にした。
 遠目に見て、吟侍はソナタに土下座をしている様に見えたが、見なかったふりをして立ち去った。

 それからしばらくしてキャリアは拉致された…。
 連れてこられた場所…
 星の名前はルーメン…
 光の星だった。
 神御か悪空魔との接触が望みだった彼女に取っては願ってもない事だったのだが、査問委員会にかけられ投獄された。
 罪状は【神に属する者でありながら、クアンスティータ誕生への刺激になる様な事をした】という事らしい…。
 神に属するという事を認めてもらったのは嬉しいが、犯罪者というレッテルを貼られてしまった。
 そして、同じく投獄されていた、悪魔側の者達と共に脱獄するはめになってしまった。
 理由は神御には不正があると言われ、それを信じてしまったのだ。
 後になってそれは嘘だとわかり、共に脱獄した者達とも別れてしまった。
 何をやっているんだろう…
 キャリアはそう思った…。
 結局、神御側にも悪空魔側にも受け入れられないでいる…
 そう思うと悲しくなって来た。
 そんな矢先だ…
 彼女を襲う刺客に続けざまに狙われたのは…
0話2 07
 訳もわからず戦い、そして勝利した。
 そして、解った事…
 どうやら、これまでの行動で、神御にとっても悪空魔にとっても都合の悪い何かを手に入れたか情報を得たかしたらしい…
 何の事だかはさっぱり解らない…
 解らないがどうやら、どちら側からも狙われる事になったようだ。
 【無限ループ空間】…その空間からは抜け出ることが出来なくなる状態になってしまった。
 閉じこめられたのだ…。
 行けるのは光の星、ルーメンと闇の星、テネブライのどちらかだけ…。
 ルーメンに居れば神御の刺客が…テネブライに居れば悪空魔の刺客が彼女を襲う…
 神御と悪空魔は都合の悪い何かを持ったキャリアを決して逃がさない…
 彼女の冒険はこうして無理矢理始められた…

07 緊急招集…二つの因果律…

 タティーとキャリア…
 事情をしらず、二人の冒険が始まった…。

 そして、その事情を知る二つの集会では緊急招集がされていた。
 その二つの集会は神、そして悪魔の超大総会だった。
 そこには神御だけでなく、外の世界の名だたる神々が殆ど集まっていた。
 全神々と言ってもよかった…
 悪魔側も悪空魔だけでなく、外の世界の名だたる悪魔の蒼々たる面々が集まっている。
 二つの超大総会での議題…
 それは、タティーとキャリアの因果律の問題だった。
 二つの因果律が変わった時、クアンスティータの因果律も変わったのだ。
 本来、未来の世界において、クアンスティータは第五本体、リステミュウムが暴れ回るという事で完結している…。
 それが、タティーとキャリアの因果律の変化により、第六本体、レアク・デの誕生の可能性も出てきたというのだ。
 第五本体、リステミュウムの出現だけでも神や悪魔にとって、絶望的な状況なのに、さらに第六本体、レアク・デが出るとなるとどうしようもなくなるのだ。
 考えたくはないが、そのまま、行くと第七本体、テレメ・デの出現の可能性まで出てくる…。
 それだけはなんとしても防がなくてはならない…。
 タティーには何故か、クアンスティータを守ろうとする存在が彼女を守っているために迂闊には手が出せない…。
 だから、キャリアの方を星に閉じこめたのだ。
 ただでさえ、彼女が謎の惑星、ファーブラ・フィクタのある星系に来た事で、かなりの因果律が書き換わってしまっていた。
 事は緊急を要する事だったのだ。
 この状態でいる時、未来の世界において何が起こっているのか、もはや全く予想もつかなくなっているのだ。
 神や悪魔でも解らなくなること…
 謎を解くのではなく、謎を作り出されるという状態…
 解けなくなると言うこと…
 それは、間違いなく第六本体、レアク・デの力の影響だった。
 そして、クアンスティータ誕生の前兆とも言うべき、姉、クアースリータの疑似誕生が始まった事も神や悪魔を慌てさせる要因としては十分過ぎる状況だった。
 全く、予断を許さない状態という状況となっていた…。

08 親娘喧嘩

『ぐるぁぁぁぁぁぁっ!』
「この、じゃじゃ馬め…」
 その頃、F(ファーブラ・フィクタ)はロスト・ネットの世界の中でクアンスティータ・ルコの暴走を止めていた。
0話2 08 一度は止めて見せたFだったが、ルコのパワーは思ったよりも遙かに高く再び暴れ出したのだ。
 その振動の余波だけで、近くの星々が跡形もなく崩れ去る程のとんでもないパワーだった。
 クアンスティータの姉というだけあって、とんでもないパワーだ。
 Fはとにかく、力の制御をルコに覚えさせようとルコの能力として誕生時に備わるロスト・ネットを支配する力を借りて、ルコをその中に閉じこめ、自らもその中に入った。
 さすがに、化獣を超える猛者達が住む世界だけあって、ルコのパワーでも壊れることは無いその世界だが、それでもしっぽを振り回し、辺りを削っていく。
 Fは対抗手段として、本来、クアースリータが持っている能力を使っているのだが、ルコはお構いなしに力づくで突破していく…。
 能力効果はほとんど無い…
 Fの能力浸透度を上回る能力浸透耐久度なのだろう…。
 Fは光の弓矢のようなものを作りだしそれをルコに放つが簡単に避けられる。
 だが、その矢はルコに当てる必要はない…。
 ルコに関係ある何かにヒットすれば、それに関わる全てを完全消滅出来る力を秘めた矢だからだ。
 それが、何百、何千はおろか何億、何兆、何京だろうが、全て消滅させられる。
 だが、ルコにはまるで効果が無かった。
 Fの能力の上をいっているからだ。
「やっぱそうか、こりゃ、潰す気でやらねぇとこっちの身がもたねぇな…」
 Fは自身の能力浸透能力を跳ね上げた。
 Fの身体が虹色に光る…
 このモードになったFは自在に新しい能力を作り出せる。
 言ってみれば能力開発能力が使えるのだ。
 それにより、変幻自在な能力を次々に作り出し、ルコに対して猛攻を仕掛けた。
 例えば、赤のダメージ…
 これは人間の痛覚には無いダメージだ。
 そのため、適した表現方法が無い…。
 そのため、イメージの近い色で表現したのだ。
 このダメージが蓄積すれば死ぬ。
 だが、一般的にこのダメージに対する特効薬は全くない…
 当然である…。
 元々、認識できないダメージなのだ。
 特効薬など有るはずもない…
 また、死という定義も変わる
 存在の消滅…
 そちらの方が近いかも知れない…
 だが、存在の消滅とも違う結果となる…
 それは、言葉では表現出来ない…
 それが、このダメージの恐ろしさだ。
 同じように他の色のイメージのダメージもある…。
 そして、この力の上位バージョンの力がある…。
 だが、上位だろうが何だろうが、認識できない力であるため、説明するのは困難だ。
 この力の上位バージョンはクアンスティータ第六本体、レアク・デが基本的に持っている力でもある…。
 その力であっても、レアク・デの代表的な力ではないのだが…。
 そう、これはクアンスティータが使う程の超異能力なのだ。

 また、別の場所に衝撃を与えて、その反発力を利用して攻撃をする能力、反発能力も繰り出している。
 その場所が特殊であればあるほど、その反発力も特殊性を増し、強力な力となる。
 ここは、ロスト・ネット…
 特殊中の特殊な場所だ…。
 よって、その反発力も相当なものだった。

 さらに、ルフォス等にもある能力破壊能力…【アビリティー・クラッシャー】もFは使いこなす。
 それだけ、多種多様、様々な異能力を駆使して戦ったFだが、力押しをしてくるルコの前に多少押され気味だった。
 だが…
「うはは…いいぞ、いいぞ、それでこそ、俺たちの娘だ!」
 Fは喜んでいた。
 ルコのパワーの大きさに歓喜したのだ。
 しばらく、親娘喧嘩という名の教育は続いた。
 ルコの暴走はしばらく続きそうだった。
 だが、少しずつ自我のようなものが芽生えはじめていた。
 クアースリータの誕生…
 それだけで、大騒ぎなのだ。

09 タティー到着

「メガネさん、メガネさん…」
『なんでしょうか、タティー様?』
「どちらに向かっているんですか?」
『はい…母なる星、ファーブラ・フィクタに向かっております…』
「はぁ…ファーブラ・フィクタ…ですか…」
『何か?』
「い、いえ…何で向かっているのかなぁ〜なんて思ってしまって…母なる星だからですよね…」
『そうですね…そこで本来のお力を取り戻していただきます。楽しみですね…』
「そ、そうですね…あの、…向こうでは怒らないで下さいね…」
『怒る?我々がですか?…滅相もない…我々がタティー様に対して怒るなど、とんでもない…』
「そうだと良いのですが…」
『と言いますと?』
「い、いえ、何でも…さぁ行きましょうか…」
『はい…』
 タティーはメガネと会話をする…。
 誤解が解けたらどうなってしまうのだろう…
 そんな不安はあるが、相手はクアンスティータ…
 黙っていたら、この先、どんな禍があるか解ったものではない…。
 現在いる場所は宇宙空間…。
 空気も水も無い…
 それでも平気なのはクアンスティータのサポーターの力による所だった。
 最初はクアンスティータは別の国にいるんだと思っていた彼女だが…
 実際には別の星系にいた…。
 宇宙空間を旅行気分でスッタカタッタッタァ〜と進んでいく。
 宇宙空間では味気ないので、暇つぶしに豊かな自然の映像が流れていく…
 快適ではあるのだが、人として今まで体験してきた常識を悉く覆す状況が続いていた。
 何で、宇宙空間を旅行気分で移動できるのかと聞かれても説明出来ないが、サポーターさん達がそのような状況を次々と作り出しているのだがら、仕方なかった。
 宇宙で花火みたいなのが上がったりもするし…
 水族館にいるように何かがうごめいているのもさっき見えた。
 弁当まで売りに来るし、お土産も売っていた。
 何かのショーみたいなのもあったし、映画みたいなのもあった。
 全くデタラメな宇宙旅行だった。
 それに、思ったよりもどんどんスケールが大きくなっていく…。
 つい、さっき太陽と思われる星のすぐ側を通ったが、燃え尽きるどころか、熱くも何ともなかった。
『タティー様、タティー様…』
「何ですか、メガネさん?」
『目的の星系に入りましたよ、もう少しで着きます』
「そ、そうですか…それはよかったです…」
 タティーとしても自分が宇宙に対して持っていたイメージがこれ以上、破壊されるのは勘弁して欲しかったので目的のファーブラ・フィクタにつけると聞いて正直、ほっとしたのだった。
 だが、ファーブラ・フィクタに着いたタティーはまた、頭がおかしくなりそうだった。
「め、メガネさん、メガネさん…」
『なんですか?』
「川が上流に向かって流れて…それに海が黄色い…空に落書きが…カエルみたいなのも泳いでるし…」
『ファーブラ・フィクタですからね…そのくらいはあたりまえです…』
「そ、そうなんですか?」
『そうですね…』
 タティーは唖然とした…
 実際には普通の人間にはとても居られないような過酷な環境で、彼女はストレスにならない様にサポーターによって保護されているのだが、それでも、見た目だけでも彼女をビックリさせるだけの素材はあちらこちらに揃っていた。

10 義姉妹

 タティーはファーブラ・フィクタの星の上を散策した。
 何をしていいのか解らなかったからだ。
 すると、とある小川(?)の近くに寝ている男性を発見した。
0話2 09 Fだった…。
「あ、あのぉ…」
「…何だお前は…」
 Fは訝しげにタティーを見つめる…。
 彼はクアンスティータ・ルコの教育をしていたロスト・ネットから帰って来ていて疲れて眠っていたのだ。
 近くで大人しくなったルコが遊んでいた。
「わた、私はタティー・クアスンと言いまして…」
「タティー・クアスン?」
「そ、そうです、タティーです。えーとですねぇ…」
 タティーはコミュニケーションを取ろうと話かけたが、その相手が恐ろしい力を持つ怪物という認識は無かった。
 Fは見た目には人と変わらなかったからだ。
「タティー…クアスン…ねぇ…ふふ…はは…こりゃあ良いや…リータ、ちょっとこっちこい…」
『何だ、パパ?』
「そうだ、俺はお前のパパだ。そして、この子はお前の妹だ」
「は?」
 タティーは目が点になった。
 他の星に来て、たまたま会った男性とその娘らしき子にいきなり家族だと言われたのだ。
 あっけにとられるのも無理は無かった。
 良く見たらその娘らしき子にはしっぽがついているし…。
『いもーと…』
「そうだ、妹だ」
「あの、私、妹じゃ…」
「いいや、妹さ…お前、クアンスティータのかけらを持っているじゃないか…お前の因果律がさらなるクアンスティータを産む…立派なクアンスティータの一部さ…だから、俺は歓迎する…お前も家族だ…」
「そんな、突然…」
「それともここで殺されたいのか?」
「そ、そんなぁ〜め、メガネさぁ〜ん」
 メガネは何も答えなかった…。
 メガネも戸惑っているのが感じられた…。
『いもーと…ティータ…』
「あ、あのティータじゃなくてタティーです…」
『…ティータ…』
「…ティータで良いです…」
『いーこ、いーこ…』
「………」
 ルコに頭をなでられるタティー…。
 どちらかと言うとルコの方が年下の様な気もするが…
 何となく、生まれたての赤ん坊…
 ルコはそんな感じがする…
 が、逆らうと何をされるか解らないのでされるがままになった。
『遊ぶ…』
「え?あ、はい…遊ぶんですね…」
『飛ぶ…』
「え?あ、はい…飛ぶんですねって、飛べません…ってうわぁっ…」
 出来ないと言ったとたんにメガネ達、サポーターの力で飛び上がるタティー…
 それを見て満足したのか、ルコがじゃれつきはじめる。
 それだけじゃない…
 食べ物を食べきれないくらい運んできた…。
 妹を可愛がっているつもりなのだろう…。
 だけど、タティーは妹じゃない…
 恐らくルコの本当の妹はクアンスティータの事だろう…。
 何だか、また、勘違いさせてしまった。
 親であるFは事情を知っていて、そうさせているようだが、かえって本当はクアンスティータじゃありませんと言いづらくなってしまった。
「まぁ、ゆっくりしていけ…俺はもう1人の因果律に会いに行ってくる。しっかり育てよ…」
 Fはそれだけ言うと消えてしまった。
 勝手な人(?)だという事は解った。

11 動き出す因果律の変化

「お前が二人目か…」
 一瞬にして、光の星ルーメンと闇の星テネブライの間にはられた結界を突破して、キャリアの前に姿を現したF…。
 キャリアは今、闇の星、テネブライにいた。
「だ、誰だ、お前は…?」
 警戒心を強めるキャリア…
0話2 10 何となくわかる…
 目の前にいる男が神や悪魔を嫌っているという事が…
 キャリアの二つの翼を見て、嫌悪感のある目で見ているのがわかる…。
「…ふん、まぁ良いか…お前も大事な因果律だ…認めてやるよ、お前も…」
 勝手に納得しているがキャリアには何のことだか解らない…
 だが、戦っても勝てない事はキャリアにははっきり解った。
 彼女が潜在的に持つ優れた探知能力がこの男の力の探知を拒絶しているからだ…。
 恐らく、彼女の想像を遙かに上回る力を秘めているのだという事が簡単に予想がついた。
 彼女を殺そうと思えば、苦もなくやってのけるだろう…。
 なぜなら、彼女が逆立ちしても抜け出せないルーメンとテネブライ間の無限結界を一瞬に抜けて来て、彼女の前にたったのだから…
 潜在能力の差は一目瞭然だった。
「な、なんなんだ…?」
「何でも良い…せいぜい、死なないようにあがけ…俺は応援してやる…」
 それだけ言うとFはキャリアの頭上のハート型のエンジェルハイロゥに触れ、無限結界の外に消えて言った。
 失禁してしまいそうな恐怖にかられるキャリア…。
 この星系に来たのは失敗だ…。
 彼女ではどうにもならない事、手も足も出ない存在があまりにも多すぎる…。
 怯えている内に、魔族の刺客が現れた。
 Fが来ている間は、魔族も恐怖で出てこなかったのだが、Fが消えて邪魔となるキャリアを始末しにやってきたのだ。
 魔族には彼女の右側の力、聖なるフォースで戦う…
 神族には逆に左側の力、邪なるフォースで戦う…
 これが、キャリアの戦い方だ…。
 敵は無数…
 今のキャリアでは死にに行く様なものだった…
 そのはずだったのだが…
「ど、どういう事…?」
 敵を倒していきながら自分で自分の圧倒的な強さに驚くキャリア…
 明らかに格段にレベルがアップしている…
 Fと会う前の戦闘力とは何段階も違っていた。
 もの凄いパワーを感じる…
 パワーの出所は…
 頭上のエンジェルハイロゥだ…
 Fが何かをしたのだ。
 経験値がごっそりもらえた…そんな感じだ…
 キャリアはここで死ぬはずだった。
 それが生き残った事で未来が書き換わっていく…
 生きている程、因果律がFの思い描く方に傾いていく…。

12 クアンスティータの胎動

 因果律の書き換え…
 それを敏感に感じ取る者がいた…
 ウェントスで冒険している勇者、吟侍である。
0話2 11 「ルフォス…これって…」
『あぁ、吟侍、お前も感じたか…クアンスティータ誕生の胎動が始まった…予想より遙かにでけぇ…』
「やべぇな、これは…」
『くそったれが…』
「こんなに強えぇのか、クアンスティータって…」
『こんなもんじゃねぇ…身体の方がなるべくクアンスティータを感じないように相当鈍くなっていやがる…怖えぇ…押しつぶされそうだ…』
「ルフォス…」
 クアンスティータ誕生に向けてFが何かをする度に、強い気配となって、吟侍とルフォスは感じる…
 吟侍達だけではない…
 他の化獣もその巨大過ぎる気配に逆立つ。
 この星系の神話でずっと語り継がれていた事…
 【何があってもクアンスティータだけは誕生させるな…誕生させてしまったら全てが、おしまいだ…】
 クアンスティータが誕生する前の予兆…
 それだけでもその意味がよく解った。
 これは洒落にならない程、強大だ…。
 吟侍はヒシヒシとそれを感じるのだった。
 魔女ニナ・ルベルの子宮でクアンスティータは形を作り始めたのだ。
 いよいよ、核の状態から肉がつき、赤子の姿へと変わっていく事になる…
『がぁぁぁぁぁぁあっ…』
「ど、どうしたの、お、お姉さん…?」
 クアンスティータの胎動が始まったと同時にクアースリータ・ルコは苦しみ出す…
 一緒に遊んでいたため、近くにいたタティーは何が何だかよく解らない…
 自分の理解の範疇の外で事が起きている…
『ママのお腹に戻る…』
「へ?お腹って?」
『バイバイ、いもーと…』
 そう言うとどこかに飛んでいってしまった。

《コチラ、ロスト・ネット・ワールド…クアースリータ ノ シケンセイタン ヲ シュウリョウ シマス…》
 飛び去っていくルコの身体が消えていく…。
 再び、ニナ・ルベルの子宮の中に意識が戻って行ったのだ。
 試験生誕での経験がしばらく後にある本番での生誕に活かされる事になる…
 今は嵐の前の静けさの様に一時の静けさとなっていった。
 クアースリータとクアンスティータ…
 最強の力を持つ双子が生まれる日は近い…

13 虚しい復讐

「うはは…もう少しだ…」
 暗躍し、何かを企んでいるF…
 それを見ているニナ・ルベルは…
0話2 12 「なんだか、あなたの本心は泣きじゃくっているみたい…レインミリーは…もう…」
 とつぶやいた…。
 Fの強がりはどこか悲しげで…
 失われたという事に対する悲しみを忘れるために…強がっている…そうとしか見えなかった。
 何が正しくて、何が間違っている…
 そんなことも見えなくなってしまっている…
 あの事が起こったのは神話の中での話…
 だから、すでに終わっている過去の話…
 でも、いつまでもFは囚われている…
 それだけ悲しかった…
 何も知らなかった自分が悔しかった…
 救えなかった事が悲しかった…
 何故、事実を知る力が無かったんだ…
 その事が自分への怒りも感じていた…
 その悲しみがFに異常とも言える力、いくらでも能力を作り出せる力を与えていた…
「戻ってくるさ、レインミリーも…」
 そう自分に言い聞かせるFだった… 
 これは復讐…
 レインミリーを追い詰めた者達…
 その全ての子孫への…
 レインミリーはそんなことは絶対に望まないだろう…
 だが、Fはその怒りを抑えられない…
 レインミリーの手で全てを潰してやる…
 それが、Fが決めた復讐だ…。
 Fの復讐の化身、クアンスティータ…
 レインミリーはその中に眠っている…
 このままでは、悲しみが連鎖してしまう…
 お願い…誰か彼を止めてあげて…
 ニナ・ルベルはそう願うのだった…。

登場キャラクター説明


001 キャリア・フロント・バック

キャリア・フロント・バック 光の星、ルーメン、闇の星、テネブライを旅することになる半分天使、半分悪魔の少女。
 悪天使(あくてんし)。
 元々は地球から来たのだが、クアンスティータをより強大にさせるための因果律の一つとされFに歓迎される。
 本人は神か悪魔、どちらかでも仲間になりたいと思っている。








002 タティー・クアスン

タティー・クアスン 文字を並び替えると【クアンスティータ】になるという事だけで、クアンスティータと間違えられて、数々の怪物を従える事になってしまった少女。
 元々はただの人間なのだが、クアンスティータのアナグラムという事を意識してから状況が一変する。
 メガネに謎の星、ファーブラ・フィクタまで連れてこられた。







003 クアースリータ

クアースリータ ファーブラ・フィクタ最強にして最大のラスボス、クアンスティータの双子の姉。
 クアンスティータの姉というだけあり、他の者では全く相手にならない程、強大な力を持つ。
 七つの本体を持つクアンスティータ全てと双子ではなく、最初に生まれる第一本体とのみ双子という関係。
 異世界をまるまる一つ所有しており、それは、数々の猛者が隠れ住むロスト・ネット・ワールドと呼ばれている。
 まだ、母、ニナ・ルベルの腹にいるが、今回、試験生誕として、仮の誕生を迎える事になった。






004 ニナ・ルベル

ニナ・ルベル 神話の時代に化獣(ばけもの)達を産み落としたとされる魔女ニナの生まれ変わり。
 神話の時代では七つの本体を持つクアンスティータを産み落とす事が出来ず、七名のニナに別れて生まれ変わる事により、クアンスティータを産むことが可能となった。
 彼女は第一本体のクアンスティータを双子の姉であるクアースリータと共に産む事になっている。
 魔女と呼ばれているが、優しい性格である。








005 F(怪物ファーブラ・フィクタ)

ファーブラ・フィクタ 神話の時代から生きる超大怪物で、化獣(ばけもの)達の父でもある。
 レインミリーという存在の復讐に生きている。
 クアンスティータの父というだけあり、かなりのポテンシャルを秘めている。











006 クアースリータ・ルコ

クアンスティータ・ルコ クアンスティータ同様に複合多重生命体であるクアースリータも本体を複数持っている。
 赤ん坊の姿から、成長する事により、3つの本体に別れる。
 ルコはその内の一つ。
 試験生誕で疑似生命を得たが、力に飲み込まれて暴走する。