第001話


第〇章 誓い




「彼方(かなた)……お別れだね……」
「一日(かずひ)ちゃん……」
 永遠を誓い合った恋人同士の別れの時間は近づいて来た。
 春風 彼方(はるか かなた)――男性、十四歳、大切 一日(おおぎり かずひ)――女性、十四歳の出来事だった。

 二人は幼い頃からの幼馴染み。
 物心つく頃から将来、結婚するものだと思っていた。
 だけど、運命とは非情なもの――二人が十二歳の時に、運命が狂い始める。
 一日の方に病が見つかったのだ。
 その病は不明。
 徐々に細胞が崩れていくという難病だった。
 現在の医療では治療不可能。
 後は地獄にも等しい延命治療を受けるか、将来に望みをつないで、コールドスリープで眠りにつくかの二択だった。
 一日が選択したのは後者。
 少しでも長く生きるより、身体を仮死状態で眠らせて、未来でその特効薬が完成するのを待つ事を選んだ。

 今日は、そんな一日に恋人と過ごす最後の一日だった。
 特効薬はいつ完成するか解らない。
 一年後か、それとも十年後か――
 それとも生きている内には出来ないのか――
 それは解らない。

 だけど、彼方と一緒になりたい一日は元気になって彼の元に嫁ぎたいという気持ちが強く、
 彼女は別れを選択した。
 束縛する事は出来ない。
 彼方にも人生があるのだから。
 悪いのはよく解らない病気にかかった自分。
 彼女は、自分にそう言い聞かせた。

 だけど、彼は告げる。
「……僕は一生、独身を通すよ。女っ気が無い人生も別に良いかなって思う……一日ちゃんがいないんじゃ結婚する気にもならないしね」
 笑ってそう言った。

 一日はその言葉を信用してはいない。
 彼方だって、健全な男性だ。
 生きていれば、好きな女性の一人や二人、現れるだろう。
 そして、結婚して、子供を作り、孫に囲まれて人生を終える……
 そんな彼の人生に、自分は加われないかも知れない。
 それを思うと、涙が頬を伝う。

「ありがとね……そう言って貰えるだけでも、安心して眠りにつけるよ」
 嘘だった。
 本当は不安でいっぱいだった。
 いつか、彼方に好きな人が来て、自分は忘れさられてしまう……。
 だけど、無力な自分には何も出来ない。
 生きるだけで精一杯――
 本当に、何も出来ない。

「僕は本気だよ。絶対に他に恋人は作らない」
「ふふっ、それは、私がかける鎖のようなものだね」
「鎖なんかじゃない。絆だよ」
「……じゃあ、約束ね……何年経ってもそれが私だと解るように秘密の言葉を決めようか。その言葉を言った人間との恋を私は許可します」
「変なの……まるで、自分じゃない誰かと僕との恋を認めるみたいな台詞だね」
「だって、この身体じゃ駄目だから別の身体に心を移しているかも知れないじゃない。その時の為だよ」
「……なるほどね。オーケイ、了解。その言葉を言った女の子とは恋愛を考えるよ」
「じゃあ、その言葉はねぇ……」
「――解った。じゃあ、ゆっくり休んで下さい。お姫様」
「お休み。愛してる」
「僕も」

 人生、最初にして最後の口づけを交わす二人。
 少女は、永遠とも思える眠りについた。


 そして、時は流れ――


「大切 一日さん、退院おめでとうございます。リハビリにしばらくかかりますが、無事、完治しましたよ」
 一日は主治医から完治を告げられた。
「ありがとう――ところで先生、私が眠りについてどのくらい経ちました?」
「……四十年ですね。大切さんのご親戚は弟さんのご家族がまだ、いらっしゃいます」
「よ、四十年……」
 一日は呆然とした。
 四十年も経ってしまった。
 彼方は五十四歳になってしまっているんだ。

 時間がない、一刻も早く、彼方に会わなくては。
 焦る一日。
「すみません、先生、春風 彼方という人をご存じありませんか?」
「……さぁ、私には……」
「そうですよね、すみません。弟に――真(まこと)に会いたいんですけど、今すぐ連絡取れませんか?」
「あぁ、それでしたら、まもなくお見えになられると思いますよ。姉ちゃんが復活したって、本当に嬉しそうでしたからね」
 弟には悪いが、今は真よりも彼方だ。
 彼方に関する情報が欲しい。
 それは真に聞くしかない。
 そう思う一日だった。

 しばらくして、弟の真が顔を出す。
 四十年ぶりの弟の顔にはしわがあった。
 最初は親戚の叔父さんか誰かと思ったが、その口調から弟だと理解するのにそう時間はかからなかった。
「良かった……本当に良かった……姉ちゃん……」
 涙ぐむ弟。
 隣には、真と同じ年くらいの女性がいる。
 一日と目が合うと、彼女は軽くお辞儀をした。

「真、彼女は……?」
「あぁ、姉ちゃん、覚えてるか、彼女は俺の妻の奈留(なる)だ。覚えてるかな、彼方さんの妹だよ」
「か、彼方君の……あぁ!」
「彼方さんの事もあって、俺達、結婚したんだよ。今じゃ、子供も孫もいる」
 彼方の妹の登場に次第に記憶が鮮明になっていく。
 そうだ、記憶の中では確かにいた。
 一日の記憶では会えば大喧嘩の犬猿の仲だったのに――
 そうか……結婚したんだ。
 時の流れを感じる。

 そう思うと、なお、いっそう、彼方に会いたくなった。
「あの、彼方君は?」
 一日は奈留に彼の事を訪ねる。
「……兄は……」
 口ごもる奈留。
 四十年も経っているんだ。
 ずっと独りでいろというのが無理な話だ。
 だが、真は――

「彼方さんは亡くなったよ――二ヶ月前に」
 という言葉を苦しそうに絞り出した。
 言いたくなかったけど絞り出して言った……そんな感じだった。
「うそ……」
 呆然とする一日。
「嘘じゃありません……兄は二ヶ月前に……」
 真の言葉を妻の奈留が肯定する。
「姉ちゃん、彼方さんは生涯、ずっと独身を通したよ。いい話は結構あって、結婚、何度も進めたんだけど……結局、彼は首を縦に振らなかった……姉ちゃんに操を立てたつもりなんだろうけど……せめて、もう少し、長生きしてもらいたかった。そしたら――ぐすっ、そしたら、姉ちゃんに会えたのに……」
「………」
 言葉が出なかった。
 せっかく治ったのに、肝心の彼方が故人になっていては意味がない。

 それからというもの、一日は何も手につかなかった。
 何をしても虚しく映ってしまっていた。
 まわりの景色に色がつかない……

 生きていても仕方ない……
 いっそ死んでしまおうか……
 そんな事は一日に何度も思った。

 虚しい日々が何日も続いたある日、真はこのままじゃ哀れだと思い、部屋に籠もりっきりの姉を外に連れだそうと試みた。

「姉ちゃん、どこか行きたい所はないか?こう見えて、俺は結構、儲かってるんだよ。今じゃ、3つの企業のCEOをやって稼いだ金で引退して悠々自適な生活を送ってる。だから、姉ちゃんの行きたい所になら何処にだって付き合えるんだよ」
「別に……どこも行きたくない」
 姉思いの弟の優しい言葉にもどこか冷めた感覚で対応している自分がいた。
 どうしようもないのだ。
 この虚しい気持ちは。
「そう言うと思ったよ。姉ちゃんが興味持つのは彼方さんの事だけだもんな」
「ゴメンね……駄目な姉ちゃんで……」
「そんな事ねぇって……俺には勿体ないくらいの姉ちゃんだよ」
「……死にたい」
「そんな事言うなって、姉ちゃん、こんなのはどうだ?彼方さんがたどった人生を姉ちゃんもたどるっってのは?」
「え……」
 弟の言葉に思わずドキッとする。

 彼方の人生をなぞる……
 考えてもいなかった事だ。
 だが、死ぬ気はなくなった。
 死ぬ前に、彼方の人生をたどってみたい。
 そう思うようになった。

 それから、一日と真夫婦の彼方のたどった人生――彼方が出向いた場所を巡る旅が始まった。
 真夫婦は、解る範囲で、彼方の考えが解る資料や日記などを用意して、一日に説明した。
 それは、一日にとって人生に明かりが再び灯った瞬間でもあった。

 あの時、彼方は何を考えていたんだろう?
 この時は?
 その時は?

 それを知っていく旅の2年間は一日にとって、最高の体験だった。
 そして、二年目の最後の日、最後の目的地に到着した彼女は心に決めていたことを弟に話し出す。

「ここが最後の場所ね。彼が、辞世の句を綴った場所……」
「そうだ、ここだ。だけど、死ぬなんて言うなよ姉ちゃん。彼方さんは姉ちゃんが死ぬのなんて望んでねえんだからさ」
「解ってる。もう、そんなバカな事は言わないわ。彼は、私に素敵な足取りを用意してくれた――それだけで、十分幸せよ。彼とは添い遂げる事が出来なかったけど、素晴らしい人生だわ。私は彼に出会えて良かった」
「おいおい、姉ちゃん、それ、辞世の句とかじゃねぇだろうな?やだぜ、縁起でもねぇ」
「安心して、もう死ぬなんて言わない。これからは、彼の為に生きたい」
「――そうだな、姉ちゃんも若くねぇし、これからは彼方さんを思って」
「そうじゃないわ。……もちろん、私は残りの人生は彼を思い続けるつもりだけど、彼方君はずっと寂しいままの人生だった――それって、不公平じゃない?」
「って言ってもよぉ、死んじまった人間に出来ることってのは……」
「真、貴方の会社、タイムマシンを作っているのよね?」
「え?た、確かに作ってるけど、あれはまだ、人が生身で乗れるようなものじゃ……」
「解ってる。そして、二つ目の会社では……作ってるのよね?」
「作ってるってどれの事だよ?」
「バーチャル・リアル・パートナーよ」
「あぁ、あれか……まぁ作ってるけどさ、それが何なんだよ、一体……」
「姉ちゃん最後のわがままよ。私の若い時のイメージのバーチャル・リアル・パートナーを作って、過去に送って欲しいの。彼の元に」
「彼のって、彼方さんの所か?」
「そ。私も若くないし、最初は私自身とも思ったけどね。身体の奥でそれまで止まっていた時間が年相応になっていくのを感じる。だから私とじゃダメなの……年取った私との恋愛じゃ、彼が可哀相だもんね。代わりに若い私と恋愛をしてもらうの。人生をやり直してもらうの……好きな女の子のいない人生はちょっと寂しいでしょ?だから、ね、お願い」
「お願いって、例え過去を変えたって、今の姉ちゃんは彼方さんと一緒にはなれないんだぜ。それでも良いのかよ?」
「良いわよ。彼も、一度目の人生はずっと独りで通したんだもの。私が彼と一緒になったら不公平でしょ?私も死ぬまで独り――それで良いの」
「良いのって何処まで純愛を通すんだよ、姉ちゃん達は……」
「ふふふ、羨ましい?なかなかそういう相手には巡り会えないものよ。あんたも奈留さんとそうなれるように頑張んなさい」
「余計なお世話だって。俺達はそんなんじゃねぇって。ったく、姉ちゃん達には敵わないぜ。負けたよ」
「じゃ、お願いね。私もこんな素敵な弟を持って幸せよ」
「今までの人生で、俺はしたいことはしてきたからな、残りの人生は姉ちゃん達の恋愛につきあってやるよ。資金は俺の財産から好きなだけ持っていけよ。くれてやらぁ、もってけ泥棒ってな」
「奈留さんは良いの?」
「あいつは兄ちゃん大好きっ子だったからな。彼方さんのためなら嫌とは言わねぇだろ」
「ふふ、あんたは、姉ちゃん大好きっ子だったね。だから、彼方君にもよく突っかかってたっけ」
「うっせ、忘れたよ、んなこたぁ」
 仲の良い姉弟だった。
 姉は弟の事を、弟は姉の事を大事に――大切に思っている。

 それから、一日の生き写しとなるバーチャル・リアル・パートナー制作のプロジェクトが立ち上がった。
 資金は全部、真のポケットマネーから出された。

 バーチャル・リアル・パートナー(VRP)――四十年後の未来の世界における虚像のパートナーだ。
 虚像といっても人工知能を搭載していて、自分で考えることも出来るし、感情もちゃんとある。
 孤独の中、心の癒しを求める人達のために開発されたデジタル・パートナーだ。
 未来においては、当たり前のように何千万人もの人が利用している。
 一日はそれを過去に送ろうと思っているのだ。
 孤独な人生を歩んできた彼方に寄り添う連れ合い、パートナーとして。

 そのパートナーには自分のパーソナルデータを入れようと思っている。
 自分の代わりに、彼方との愛をはぐくんでもらうためにだ。

 特別製のVRPの製作には五年の月日を用意した。
 通常のVRPであれば三日で出来るのを考えるとかなりの年月だ。
 それだけ、一日の思いが詰まっていた。

 一日も還暦を過ぎ、六十一歳になっていた。
 身体はあまり丈夫な方じゃないので、いつお迎えが来てもおかしくはない。
 だから、元気な内に、VRPを過去に送りたかったのだ。

 五年の年月をかけて完成させたVRPは四体。
 その四体には【一日(かずひ)】という名前から、一日(いちにち)――朝、昼、夕、夜の文字の入った名前をつけた。
 一号機の名前は【朝】という字を入れた奈朝(なあさ)
 二号機の名前は【昼】という字を入れた真昼(まひる)
 三号機の名前は【夕】という字を入れた夕愛(ゆうあ)
 四号機の名前は【夜】という字を入れた唯夜(いよ)
 という名前が与えられた。
 どのVRPにも一日の思いを込めた大切なパートナーだ。
 この四体を過去の世界に送るのが、一日の大きな目標だった。

(私の果たせなかった思い――しっかりと彼に伝えてね)

 一日はまだ目覚めていない四体のVRPに思いを託す。
「あなた達四人には、私の全てを詰めたわ。精一杯、彼を愛してあげて……こふっ……」
 一日の手に血が滲む。
 彼女が吐血したものだ。
 自分はもう、長くない――
 彼だけを恋慕い、彼のために死ねる。
 なんて幸せな人生なんだろう。
 そう思うと頬が緩む。
 彼女はゆっくりと目を閉じた。

「ね、姉ちゃん、どうした?しっかりしろ」
 姉の異変に気付いた弟が駆け寄る。
 新たな病魔が彼女を蝕んでいたのだ。

 タイムマシンは予定より三ヶ月、早くVRPを載せて出発する事になった。
 まだ、一日の意識がはっきりしている内に送りだそうという事になったのだ。
 スタッフは不眠不休で作業を進めた。
 そして、出発準備が整い、いよいよ、出発という事になった。

「へへ、見えるか、姉ちゃん、姉ちゃんの希望が彼方さんに会いに、いよいよ旅立つぜ。四人の姉ちゃんに愛されるなんて、幸せモンだ、彼方さんは」
「……そうだね……そうだ…ね…」
 一日は病室で力なく頷いた。
 病魔は予想より早く彼女の体力を奪っていったのだ。
 いつ、昏睡状態になってもおかしくない。
 親戚は、もしもの時のために、別室で待機している。
 大勢でどかどか、行くより、今は彼方と一日のための大切な時間にという考えでだ。
 余計な人間はいない方が良い。
 病室にはモニターが設置され、タイムマシンの出発のためのカウントダウンが始まろうとしていた。

 固唾をのむ真。
 失敗出来ないのだ。
 失敗は姉を絶望させることにもなる。
 だが、急ピッチに作業を進めているため、十分な点検は出来なかった。

 頼む――成功してくれ――
 そう祈るしかなかった。
 そして、ついにカウントダウンが始まる。
 タイムマシンはタイムパラドックスを回避するため、一旦、五千メートル上空まで昇る。
 その上で時空転移を開始する。
 だからロケットの打ち上げにも似ている。

「十秒前……8、7、6……」
 ついに始まる。
 後は何が何でも成功させるしかない。

 カウントダウンは徐々に0に近づいていき――
 ついに発射した。

 轟音と共にぐんぐん上空に上昇していき、そして、三千メートルを超えた頃――

「おい、どうした、スタッフ!どうしたんだ?」
「わかりません、急に」
 突然、タイムマシンから上昇時のものとは別の揺れが感知された。
 そして、VRPを積んだユニットが分離されてしまうのが肉眼でもはっきりと確認された。

 真は慌ててモニターの電源をオフにするが、一日にはしっかり、ユニットが分離してしまうのを確認されてしまった。
「ね、姉ちゃん……」
「なぁに……真……」
「こ、これは、その……そ、そうだ、ドッキリだよ。何かの間違えだ。こんなの嘘だ」
 涙目になって誤魔化すが、明らかにそれが嘘だというのが、解った。

 姉に酷な映像を見せてしまったと後悔する真。
 プロジェクトは最初からやり直しになってしまう。
 だけど、それを見守る体力は姉には――

「何…をうろたえているの?……成功よ……4人…同時に会いに行く事は出来なかったけど……最初は夕愛が会えるみたいね。……彼から告白されたのは夕方だったから、夕方に愛とつけて【夕愛】……素敵な名前よね。再会の時はインパクト……がた…いせつよ……頼んだわね……夕…あ…」
 それが、一日の最期の言葉となった。
「姉ちゃん、姉ちゃん、うわぁぁぁっぁ…」
 号泣する真。
 失敗した事を悔やんでの事だ。

 だけど、姉の顔は――
 そんなことはない――無事にVRPは過去へ渡った――
 そう物語る様な安らかな顔だった。




第一章 彼方と夕愛




「彼方ぁ〜合コン行こうぜ、合コン」
「いや、僕は良いよ。また、今度誘ってくれ」
「んなこと言ってお前、合コンとかになると全然来ないじゃんか。お前結構面白い奴だから、行ったらぜってぇ盛り上がるって」
「いや、女の子はちょっと……」
「例の彼女の事か?良いじゃん、別に……彼女、眠ってて目ぇ醒まさないんだろ?解りゃしないって」
「ホントに良いんだ。合コンとかじゃない時にまた誘ってくれよ」
「融通利かねーな、黙ってたらわかんないって」
「彼女は関係ない。僕が行きたくないんだ」
「つまんねぇ奴、もう良いよ」
「ゴメン」
「堅物!解ってるよ、俺、お前のそういう頑固な所、結構、好きだぜ」
「ありがとう秀作(しゅうさく)」
「俺らだけで楽しんでくらぁ、いい女がいるかも知れないな〜、行かなかった事、後悔すんなよ」
「……しないよ、僕は……」
 友達の高杉 秀作(たかすぎ しゅうさく)の合コンの誘いを断った。
 一日が眠りについてから一年と少しが経っていた。
 彼方は十五歳となり、高校に進級していた。

 彼方はまだ、一日との約束を守り続けている。
 約束の言葉を言わない女の子には見向きもしない。
 それが、彼が彼女に対する絶対の約束だからだ。
 どれだけ周りの人間に変人扱いされようとも、それを貫く事にしている。

 普段は普通の男の子だが、それだけは絶対に譲らない。
 そんな彼方だが、陰のある部分が一部の女子にウケていて、なかなかの人気だった。
 だけど、そんな事は彼には関係ない。
 彼は一日と付き合いたいのだ。
 他の女子ではかわりにならないのだ。

 彼方は興味あることは何でも独りで体験し、それを事細かに日記につけるようにしている。
 一日が目覚めた時、その事を彼女に話して聞かせるためにだ。
 それに、割と独りで行動するのも悪くない。
 誰かに束縛される事もなく、自由に行動できるのだから。
 今は独りで良い。
 本気で、そう感じているのだった。

 今日の放課後の予定は土手に行って、野球やサッカーをしている人を観察する事。
 プロの選手とかだとお金がかかるけど、小学生達のプレイを見ている分にはタダですむ。
 それに見ているとなかなか楽しい。
 上手な子、あまり上手くない子、色々いるけど、みんな一生懸命。
 今の自分にはちょっと欠けている部分をその子供達はみんな持っている。
 一日が隣に居たら、断然、やる気になるんだけど。
 そう考えたりしながらのんびりと観戦するのだった。
 ファインプレー等を写真におさめるのも忘れない。
 それは、後で、日記に貼るのだ。
 大切な思い出として、残しておかないと。

 それにしても良い天気だ。
 横になるとつい、ウトウトとしたくなってくる。

 気付いたらちょっと寝ていた。
 真っ赤な夕日が出ている。

 でも、良く見ると自分の所に別人の影が重なっているような……。
 まだ、寝ぼけているのかはっきりと確認出来ていない。

「あの……」
 その言葉にハッとして、意識がはっきりする。
 寝そべる彼方を女の子が頭越しに覗いていたのだ。
「うわっ……」
 思わず、後退る。
 突然、現れた気がして、ビックリしたのだ。
「風邪ひきますよ、こんな所で寝ていると」
 どうやら、親切な女性が声をかけてくれたようだ。
「あ、す、すみません……お気遣いどうも……」
 とりあえず、お礼を言う。
 どうも最近、女性と話すのが苦手になってしまっているようだ。
「良い天気ですね。これは、明日も晴れますね」
 女性は当たり障りのない会話をしてきた。
 そのまま立ち去るのもなんだと思ったのだろう。
 彼方は女性が連れてきていた犬と少しじゃれあって見せた。
 彼女は犬の散歩の途中の様だった。
「可愛い犬ですね」
「はい、ラッキーって言うんです」
「ラッキーですか……良い名前ですね」
「ありがとうございます」
 彼方も当たり障りのない会話で返す。

 思えば、女性とこんな風に会話をするのも久しぶりだ。
 最近はまともに会話もしていないな――
 そんな事を考えている内に、女性も散歩の続きがしたいのか
「じゃあ、私はこれで」
「あ、すみません、お引き留めして……」
 軽く会釈をして帰っていく女性。

 それを見送ってから――、

「さて、僕も帰るか」
 帰宅しようとしたその時――

 犬を連れた女性とは別の女の子がぽつんと立ってこっちを見ているのに気付いた。
 長い髪が風に揺られ何となく、深い眠りについている一日に雰囲気が似ている。
「へへ……失敗しちゃった……インパクト、取られちゃった……」
 女の子は何やらつぶやいている。
 インパクト?
 言っている意味が解らない。

「ぼ、僕に何か用かな?」
 気になった彼方はその少女に声をかけた。
「さ、さらばです」
 女の子は逃げる様に去っていく。
「ちょ、ちょっと待って……」
「で、出直してきます……」
 思わず呼び止めたが、一瞬だけ立ち止まったかと思うとそのままどこかへと行ってしまった。

 初めてだった。
 一日以外の女の子が気になるのは。
 それだけ、雰囲気が一日にそっくりだった。

 一日の姉妹かとも思ったが、彼女には真という弟が一人いるだけだ。
 親戚でそっくりな女の子がいるとも聞いていなかったし、もの凄く、今の女の子が気になったのだった。

 逃げるように立ち去ったその女の子の名前は【夕愛(ゆうあ)】――

 そう、VRP夕愛は無事に、過去の世界にたどり着いていたのだ。
 そして、未来の世界での一日の予言通り、一番最初に彼方と出会えたのだ。

 出会いのタイミングを通りすがりの女性に奪われ、インパクトを気にしていたが、彼にとっては――
 何しろ、よく解らない事をつぶやいて去っていったのだ。
 十分インパクトのある出会いだった。

 一度目の人生で上手く行かなかった彼方と一日。
 だけど、夕愛を通しての、二度目の人生で、二人の接点が再び出来た。

 止まっていた時の針が刻み出す。

 夕愛はちょっぴりドジな女の子。
 だけど、その愛らしさは一日の生き写しそのものだ。
 彼にとって一日以外の女の子でドキドキするのは初めてだった。

 その夜、夕愛に会いたいという気持ちと一日を裏切りたくないという気持ちがせめぎ合ってなかなか眠れなかった。
 彼方は寝不足のまま、翌日、学校に登校し、一日中ぼーっとしていた。
 ふと思えば、逃げ去っていく夕愛の姿ばかりが彼の脳裏に焼き付いていた。
 彼女は名前も告げずに去って行ったため、彼方のモヤモヤは時間が経つ程、増していった。

 放課後、また、彼女に会えるのではと昨日の土手に出向いた。
 が、見渡した所、彼女の姿は見えない。
 しばらく待っていたが、彼女は現れない。
 昨晩寝ていないという事もあり、またしても彼方はウトウトとしてしまった。
 そして、また、夕方に。

 ワンワンと咆える声がする。
 そう言えば、昨日も犬の鳴き声で起きていたな。
 すると、昨日の散歩の女の子が来たのかな?
 そう思って薄目をあけて、近づいてくる影を見ると――
 違った。
 今日は知らないおじさんが散歩に来ていた。

 昨日、会ったのは偶然――
 そうそうタイミング良く女の子が現れる訳がない――
 再び目を瞑る。

 すると――

「改めましてこんにちは。私、【夕愛】って言います」
 という声が耳元に聞こえた。
「えっ?」
 っと飛び起きると女の子の姿が無い。
 でもその代わり、糸電話の片側のコップが置いてあり、その糸の先には木が一本立っていてその奥に女の子の影が――
 キョトンとする彼方。
 どうも、普通の女の子と感覚が少しズレているようだ。
 糸電話を耳元に置く余裕があるなら近づいて来て話せば良いのに。
 考えている事がいまいち良く解らない。
 そんな印象を受けた。
 そういう所もどこか一日と似ていると思った。

「もしもし、私、インパクトのある出会いをずっと考えたんですけど、他に思いつかなくて……ダメですか?」
「だ、ダメって言うか、意味が良く解らないというか、君は誰なんだ?」
「合い言葉ですね。1/4ですけど、【私は夕方に告白を受けました】」
「な、何故、その言葉を……ホントに君は誰だ?」
「私の担当は夕方です」

 彼方は戸惑いを隠せなかった。
 夕愛が言ったその言葉――
 それは、一日と決めた二人だけの秘密の合い言葉だったからだ。
 【ある朝出会い、昼間に仲良くなって、夕方に告白を受けました。そして、夜に恋人になりました】
 それが、一日が決めた恋愛のサインだった。
 朝、会ったら出会ったと言う。
 昼、会ったら仲良くなったと言う。
 夕方、会ったら告白を受けたと言う。
 夜、会ったら、恋人になりましたと言う。
 それが、彼方の恋愛対象者の合図だった。

 夕愛の担当は夕方。
 だから、朝や昼には姿を見せず、夕方まで待っていたのだ。
 その言葉を知っていると言うことは一日の何かを握っているという事だ。

 一日そっくりの容姿をして、合い言葉を知っている謎の少女。
 そんな夕愛の事を気にならない訳が無かった。

「君は一体……」
 夕愛の肩に触れようとした彼方は何故か彼女に触れなかった。
 ジジッ――っという音が微かに聞こえる。
「すみません、私はヴァーチャルデータ――人間ではありません」
 彼方は事情が良くわからず彼女を凝視した。

 しばらく見つめ合う二人。

 沈黙を破ったのは夕愛の方だった。
「私は四十年後の未来の世界から来ました。春風 彼方さん、あなたと恋をするために――私には大切 一日さんの1/4が詰まっています」
「え?え?――意味がよくわかんないんだけど……」
「ごめんなさい。本当はインパクトのある出会いを考えたんですけど、私、おっちょこちょいで、昨日はタイミングを間違えて、別の人が、彼方さんに声をかけてしまって出直そうかと思ったんですけど、一日考えても良い出会いを思いつかなくて……その……ごめんなさい――ムードぶちこわしですよね」
「ちょちょちょ、ちょっと待ってよ、勝手に話を進められても頭の整理が追いつかないって。ホント、どういう事?」
 彼方は辺りをキョロキョロしだした。
 実はドッキリか何かで、自分をひっかけようとして、誰かがその辺りに隠れている――そう、思ったのだ。

 バーチャル・アイドルは今の時代にもいる。
 だけど、いきなり未来の世界から来たと言われても信じろという方が無理な話だった。

「じゃ、僕はこれで……」
 立ち去ろうとする彼方。
「待って下さい。本当なんです。信じて下さい」
「ま、間に合ってますので……」
「あぁ、その目は疑ってますね。お願いします。どうか、話を聞いてください」
「ほっといてくれ!」
 食い下がる夕愛につい、声を荒げてしまった。
 ばつが悪そうにする彼方。
「……あ……」
「……ゴメン、……でも、本当に僕は独りでいたいから……」
 そう言って夕愛の顔を見ると――

 彼女は泣いていた。
 想いが伝わらないという悔しさを滲ませ――
 無言で泣いていた。
「ごめんなさい……こんな私でごめんなさい……」
 謝る夕愛。
 からかわれていると思っていた彼方だが、何だか自分の方が悪いことをしているように思えてきた。
「解ったから。とりあえず、解ったから。でも、今すぐ、君を恋愛の対象としては見れない。例え、君が、一日の生まれ変わりか何かだとしてもだ。気持ちの整理をする時間が欲しいんだ。解ってくれ、お願いだから」
「ごめんなさい。――本当は全員で来たかったんだけど、みんなバラバラで……私、どうしたら良いか……」
 夕愛の頬を伝う涙が止まらない。
 彼方は一日を悲しませている気持ちになってしまっていた。
「解ったから、とにかく泣かないでくれ。君に泣かれると、本当に一日ちゃんに泣かれているみたいで僕も辛い」
「ごめんなさい……ごめんなさい」

 四十年の時を超えて、出会えた二人。
 だけど、気持ちはすれ違う。
 慕いが相手に伝わらない。

 希望を託して一日は夕愛を送り出してくれたのに――
 気持ちが彼方に届かない。
 こんなにお互い思い合っているのに――
 それでも、気持ちが通じない。

 夕愛も辛かったが、彼方も辛かった。
 出会いがお互いを傷つけた。
 だけど、こんな事には負けていられない。
 一日は自分達4人に全てを託したのだから。
 なんとしても、彼方と幸せにならなくちゃならない。

 一度目の出会いではタイミングを外し、
 二度目の出会いではただ、泣きじゃくるだけだった。
 恋愛は難しい。
 ちょっとした行き違いで、何処までも気持ちがすれ違う事もあるのだ。
 夕愛はこの溝を少しずつ埋めて行かないといけないと考えていた。
 それが、彼女に与えられた使命なのだから。

 翌日、三度目として、彼方の元に現れた夕愛は――

「まずは、お友達から始めさせて下さい。お願いします」
 と頭を下げた。
 彼方は、少し考え――
「――よろしく。まだ、君を信じているかと言えば嘘になるかも知れないけど、君には何かあるような気がする。ここで君を無視したら、僕は一生後悔する――そんな気がする。だから、僕の方からもよろしく。お互いを理解して行きたいと思っています」
 と手を差し出した。
 夕愛はデジタル・データの存在。
 握手は出来ない。
「よろしくお願いします。でもあの……」
「握手が出来ないのは百も承知だよ。でも、形だけでも」
「あ、はい、よろしくお願いします」
 二人は握手の真似事をした。

 時間はあるんだ。
 これから、ゆっくりお互いを理解して行けば良い――
 二人はそう結論付けた。

 夕愛はデジタル・データ――
 そんな彼女が普通に出歩いていたらパニックが起きるかも知れない。
 何しろ、彼女は人と接触出来ないのだ。
 幽霊か何かと勘違いされるかも知れない。
 彼女はそう思っていたのだが、実際には――

「やっほー、夕愛ちゃん、今日も綺麗だね」
「あ、た、高杉さん、おはようございます」
 秀作が気さくに声をかける。
 彼は夕愛がデータ上の存在という事をあっという間に知った。
 その上で普通に声をかけてくる。

 彼方は恐る恐る、彼に事情を話したのだが、時代が進んだんだとあっさりとVRPの事を受け入れた。
 未来から来たというのも信じているのか信じていないのか――
 そういうキャラ設定という事で落ち着いてしまっていた。
 デジタル・データの女子高生として認められてしまった。
 隠し通そうと思っていた彼方と違って、秀作は周りに話して回り、三日後には学校全体で彼女の存在が認知されてしまっていた。

 何となく拍子抜けしてしまったが、周囲に認められるという事は夕愛にとってはありがたいことでもある。
 存在を隠すという煩わしさが無いからだ。

 秀作のアイディアで夕愛は生徒として、学校に通う事になったので、彼方と一緒に居られる時間も増えた。
 放課後、彼が家路につくまでの短い間しか会えないと思っていたので、もの凄く助かった。

 彼方との学生生活は一日もしたかった事の一つでもある。
 一日の化身でもある夕愛にとっては嬉しい誤算だった。
 ちゃんと彼方と同じクラスにもしてもらったし、一日の代わりに彼と恋をする環境は出来ている。
 後は現在、友達という状態から少しでも恋人へとステップアップするように頑張るだけだった。

「ふふふ〜ん♪」
 鼻歌を歌う夕愛。
「楽しそうだね」
 一緒に昼食を食べている女子、夕愛の初めての同姓の友達、篠崎 叶美(しのざき かなみ)が言った。
「はい〜♪楽しいですよ。こんな風にお友達とご飯を食べられるなんて思っていませんでしたから」
「ねーねー夕愛ちゃんは春風君の何処が好きなの?」
「まだ、私自身の気持ちが上手く整理されてないんですけど、彼方さんの事を考えると胸の奥がキューンってするんですよ〜」
「きゃー、それってやっぱりラブよラブ。私、断然、応援するからね。頑張って」
「ありがとうございます。私、頑張ります。一日も早く、彼方さんの恋人になれるように」
「だってさ、どう、男冥利につきるってもんじゃない?こんな可愛い子に思われて」

 叶美は近くで顔を真っ赤にしていた彼方に声をかける。
「一応、僕の聞こえない所で話してくれないかな……」
「もう、照れちゃって、憎いよ、こいつぅ」
「そんなんじゃないって」
「照れなくても良いのよ。両思いってのはみんな知ってるし」
「ち、ちが……」
「違うんですか?」
「い、いや、……その……」
 思わず、否定しようとした彼方は夕愛の顔を見て、言いよどんだ。
 どうも、彼女とどう接して良いのか解らず、戸惑ってしまう。
 完全にそっくりという訳ではないが、しぐさが本当に、一日の事を思わせるのだ。
 本当に、一日が元気になって、一緒に学生生活をしているんじゃないかと感じさせる。
 だが、本物の彼女はコールドスリープで眠っているのだ。
 夕愛との恋愛は彼女を裏切る事になるのではないか?
 そんな思いがずっとつきまとう。
 未来の世界において、彼女がそう望んだとしても、今の彼女が望んだことじゃない。
 その事が引っ掛かっていた。
 だけど、夕愛の言っている事が本当なら、一日は一旦は元気になったという事だ。
 それが解ったのは嬉しかった。

 デジタル・データが女子高生をやっている――
 その事は瞬く間に広まり、近隣の生徒も彼女を見にやってきた。
 彼女の人気はもの凄かった。

 その事は嬉しい。
 でも、それが、かえって彼方と夕愛が一緒に居る時間を奪ってしまっていた。
 人に囲まれて、夕愛が思うように、彼方の方に歩み寄っていけないのだ。
 人をすり抜ける事も出来るが、人として生活している以上、それをやるわけにはいかないのだ。
 そんな気持ちとは裏腹に、彼女をアイドルとしてデビューさせようという話まで持ち上がっていた。
 だが、夕愛にとってアイドルになるという事は彼方との時間を奪われるという事に他ならない。
 夕愛はその事に対して首を縦に振ることはなかった。
 だが、連日湧いて出てくる野次馬が彼方との時間を妨げていた。


 

登場キャラクター紹介

001 春風 彼方(はるか かなた)

春風彼方  愛する一日と永遠の別れを経験してしまった少年。
 生涯にわたって独身を貫くが、それを知った一日にバーチャルリアルパートナーを送られる。















002 大切 一日(おおぎり かずひ)

大切一日  愛する彼方と永遠の別れを経験した少女。
 不治の病にかかり、未来において特効薬が出来ると信じてコールドスリープすることになる。
 40年後、完治するも彼方が独身を通した事を知り、過去に自身を投影した4体のバーチャルリアルパートナーを送ってもらう。









003 大切 真(おおぎり まこと)

大切真  一日の弟。
 40年後には3つの会社のCEOを経験し、悠々自適な生活を送っていたが、姉が目を醒ました事をしり、姉の為にバーチャルリアルパートナーを作り、過去に送る事になる。
 姉が大好きで40年前には彼方に対して、反発していた。


004 大切 奈留(おおぎり なる)

大切奈留  旧姓、春風で、真と結婚した。
 彼方の妹。
 彼方が大好きだったため、40年前は真と犬猿の仲だったが、彼方と一日の悲しい別れを共に悲しむ内、何時しか真と共に歩む人生を選択。
 真同様に彼方と一日の為に未来の世界から協力する。


005 夕愛(ゆうあ)

夕愛  一日の情報を元に作られたバーチャルリアルパートナー。
 ロングストレートの女の子。
 夕方と告白を司る。













006 奈朝(なあさ)

奈朝  一日の情報を元に作られたバーチャルリアルパートナー。
 ポニーテールの女の子。
 朝と出会いを司る。












007 唯夜(いよ)

唯夜  一日の情報を元に作られたバーチャルリアルパートナー。
 ボブカットでボーイッシュな女の子。
 夜と恋人を司る。















008 真昼(まひる)

真昼  一日の情報を元に作られたバーチャルリアルパートナー。
 ショートカットで子供の心を持つ女の子。
 昼と友達を司る。