第一章
第一章 第一節 魔女神達の勢力図
「ダーリン、見て見てぇ〜これ、可愛いと思わない?」
シリスは勤めているバーに花を飾って見せた。
この世界は魔女神の影響で、曇天が当たり前の状態となっている。
そのため、日の光は週に2日か3日、届けば良い方である。
曇天が続くと人の気持ちは沈む。
せめて、綺麗な花でも飾って優しい気持ちになってくれればという彼女の気持ちが形になったもの――彼女が得た桜色の魔女神の異能を使って花を咲かせたのだ。
日の光があまり届かないこの世界にとって花は貴重だった。
どのような花であれ、咲くという事は小さな奇跡の象徴だった。
だが、リグレットにとっては――
「興味ねぇよ……」
感心がないかのように目を背ける。
本当に感心がない訳ではない。
彼はその花を憎むのが怖かったのだ。
その花を咲かせているのは憎むべき、魔女神の力に他ならない。
もちろん、シリスは憎むべき対象ではない。
むしろ、好意を持って接してくれているので、憎むどころか好意を持ちかえすべき対象なのかも知れない。
彼女が咲かせた花にも全く罪はない。
だが、今は魔女神に関するものは全て憎く見える。
彼女は純粋に優しさを振りまいているのに、それが偽善に見えてならない。
そんな自分が嫌だった。
「リグレット、もう少し、シリスちゃんに優しくなれないのか?」
バーのマスターをやっている情報屋のカルロスがリグレットを窘める。
「それより、紫の魔女神の情報は入ってないのか?」
今のリグレットに他人を気遣っている余裕はない。
ただ、復讐の相手に向かって、真っ直ぐ進んで行くのみといった感情が彼の心を支配していた。
「紫の魔女神アエリスの情報は今の所、入ってない。それより、お前さんが喧嘩を売った茶色の魔女神マリスが動き出したという情報が入っている。アエリスに挑むよりまず先にマリスを何とかした方が良さそうだぞ。あまりアエリスの方ばかり見ていると後ろから刺されるぞ」
「ちっ……鬱陶しい。他の魔女神なんてどうでも良いんだ」
「どうでも良いは通じないだろ。魔女神の眷属が来れば、戦場になる可能性だってある。
平和に生きようとしている人達だっているんだ。せめて、その人達の迷惑にならないような配慮とかは考えてくれよ」
「解ってるよ。とりあえず、マリスの方は迎え撃つから、あんまり人の居ないエリアを教えてくれ」
「一人でやろうとするな。シリスちゃんに、眷属を増やしてもらって仲間増やして戦うって手だってあるんだ」
「俺は一人でやれればそれで良いんだよ。他のやつの手なんか借りたくねぇ」
「シリスちゃんの手は借りているじゃないか。シリスちゃんの加護がなけりゃ、お前さんはアエリスに傷一つつけることはできないんだろ?」
「………」
カルロスのツッコミに無言になる。
その通りだからだ。
言い返したくても言葉が出てこないのだ。
自分は間違っている。
真っ直ぐに物事を見ていない。
それは何となく解っている。
だが、面と向かってそれを指摘されるとムッとくる。
言葉を返せない自分にも腹が立つ。
その理不尽な憂さを晴らすために、リグレットはひたすら敵を求めた。
滅茶苦茶に暴れればスッキリする。
そう考えたからだ。
その対象がとりあえず、動きを見せた茶色の魔女神マリスとなった。
ただ、それだけだった。
「ふてくされても仕方ないだろ。とりあえず、目の前のトラブルを一つ一つ解決していけよ。コツコツやっていけば、その内、道も開けてくるさ。まずは、マリスだ。マリスの大まかな戦力を教えてやるから、後はお前さんが考えて対処しろ」
大人として、カルロスがリグレットに道を示す。
リグレットは不機嫌な顔をしながらもそれに従った。
マリスの勢力は大きく分けて、四つの勢力が存在する。
【ホルン(角)】、【シュトースツァーン(牙)】、【シュナーベル(くちばし)】、【ペルツ(毛皮)】の四つだ。
それぞれの勢力に二名ずつ隊長が存在し、マリスの側近一名と合わせて、九名が幹部となっている。
そして、マリス自身は【ビッグゴッデス】という巨大な身体を持っている。
この【ビッグゴッデス】については、魔女神は全員持っているはずだが、未熟なシリスはこの巨大なボディを作り出す事ができない。
魔女神と呼ばれるのはこの巨大な異形になれるからこそ、そう呼ばれるのであって、なることができていないシリスは不完全な魔女神と言わざるを得ない。
リグレットがシリスの力を信じ切れないのはこの点が大きい。
魔女神の刺客に襲われた時、シリスは【ビッグゴッデス】を使って立ち向かう事ができないのだ。
シリスが死ねば、当然、リグレットは桜色の力を失う。
失ったら、紫の力を持っているので、死ぬことは無いが、紫の魔女神であるアエリスを倒す事は不可能な状態に逆戻りになってしまう。
アエリスを倒す意味でもシリスには死んでもらっては困るのだ。
それに、カルロスも言っていたように、アエリスの方ばかり見ていると他の魔女神やその刺客に後ろから刺されるという事も十分にあり得るのだ。
現在、この世界には二六の魔女神がいると言われている。
双子の魔女神がいるので正確には二七名存在するが、その他にも特殊な魔女神が三名隠れているとされている。
これは元々の数ではなく、最初は数千名単位で魔女神が存在していた。
魔女神同士の戦いが行われて、淘汰され、現在の数になったのだ。
上位の魔女神ではすでに力関係が生まれ、滅多に争いは生まれなくなっている。
上の立場にいる魔女神は下の魔女神に対して興味を持たず、下の魔女神は上位の魔女神との力の差を理解していて、まともに戦おうとはしない。
それだけ、力の差がはっきりとしてしまっているのだ。
争うのはこのまでは力の強い魔女神に飲み込まれてしまうと恐れる下位の魔女神達だ。
それが、茶色の魔女神マリスであり、狙われていた桜色の魔女神シリスでもある。
弱者は弱者なりに少しでも生き残りたいと思い、同じ弱者を喰らって大きくなろうとしているのだ。
言ってみれば、これは弱者同士の小競り合いであり、強者の魔女神の逆鱗に触れないように上手に戦わなければいけない戦いでもある。
紫の魔女神アエリスは上位ではないが、すでに中位の魔女神としての貫禄を見せ始めている。
下位の方でうろちょろしているシリスの加護で果たしてアエリスに通用するかどうかは疑問だった。
アエリスに届くためには下位の魔女神の力を吸収して、はい上がるしかない。
リグレットはそう考えていた。
二七の魔女神を上位、中位、下位で区分すると次のような区分けとなる。
まずは、絶対に手を出してはならない上位魔女神は、次の三名だ。
橙色の魔女神フェアリス
水色の魔女神フィナレリス
桃色の魔女神ヴェルアリス
この三つの名前を聞いたら有無を言わさず、逃げなくてはならない。
逃げ切れるかどうかは解らないが、戦ってもまず勝ち目はない。
この三名は別格中の別格だ。
隠れている三名の魔女神達とも関わりがあるので、関わらない方が賢明と言える。
次に、最も諍いが多いとされる、激戦区、中位魔女神は次の一〇名だ。
赤色の魔女神ジャリス
青色の魔女神アイリス
黄色の魔女神メイリス
白の魔女神セレリス
黒の魔女神ドロレス
銀灰の魔女神エリス&イシス
金色の魔女神ミリス
緑の魔女神ルルス
そして、仇である紫の魔女神アエリス
アエリスがいると言う意味でもリグレットにとってこのクラスでの戦いが正念場となる事は間違いないだろう。
だが、その前に、力をつけるために下位の魔女神と戦わなければならない。
彼女達を倒して、中位魔女神に対抗する力をつけていかねばならないからだ。
その下位魔女神は以下の一四名である。
黄緑の魔女神カリス、
ベージュの魔女神ナリス
藤色の魔女神クリス、
クリーム色の魔女神レイリス、
茶色の魔女神マリス
藍色の魔女神ルリス
深緑色の魔女神パリス
赤紫色の魔女神ユーリス
青紫色の魔女神ケアリス
黄土色の魔女神アーリス
朱色の魔女神ゼリス
焦げ茶色の魔女神ダリス
青緑の魔女神リリス
そして、桜色の魔女神シリス
特殊な魔女神三名を除けばこれが現在までに残っている魔女神となる。
この中で、シリスは勝ち上がって行かなければならないのだ。
土地は中位以上の魔女神が所有していて、下位魔女神は中位以上の魔女神の土地の中で暮らしているという事になる。
そのため、下位魔女神達は中位以上の魔女神の目を気にして動かねばならないという現実があった。
シリスも当然、中位以上の魔女神を気にして動かねばならない。
下手に刺激するという事は実力でずっと上回る中位以降の魔女神を敵に回さねばならない状況にもなりかねないのだ。
彼女の魔女神としての力は最弱と言って良かった。
他の下位魔女神にとっては労せず、力をアップさせるための格好の獲物に他ならない狙われやすい立場という事になる。
彼女の存在を知れば、他の下位魔女神達はこぞって彼女を狙うだろう。
対して、彼女の眷属は偶然、契約を結んだ、リグレットただ一人のみ。
一斉攻撃されれば、一溜まりもないだろう。
その状況下で、リグレットは茶色の魔女神マリスに喧嘩を売ったのだ。
今は、マリスもシリスの眷属がリグレット一人だと言う事で逆に何かあると警戒していて様子を窺っている状態だが、眷属が増やせていない現実を知れば、牙を剥いて襲いかかってくるのは間違いないだろう。
それだけ、危険な立場にいた。
事態は早急な対応が求められていた。
すぐに、強力な仲間を作れと言うのは無理がある。
ならば、マリスの目が届かない所まで行方を眩ますか、それとも奇襲をかけて、マリスの首を取るかの二択となっていた。
他の魔女神に助けを求めるという事が現実味を帯びていない考えのため、選択肢はそれ以外に考えられなかった。
リグレットの選択はもちろん、後者。
逃げるなんて事は考えられない。
魔女神が戦いを挑んでくるというのであれば、立ち向かうのが彼の流儀だった。
第一章 第二節 茶色の魔女神マリスからの挑戦状
「てめぇか?マリス様から絶品料理を奪ったって言うバカ野郎は?」
バーで使う食材の買い出しの荷物持ちとしてシリスの買い物に付き合わされていたリグレットは突然、男に声をかけられた。
男の言う、絶品料理とはシリスの事である。
シリスはマリスが力を増大させるための最高級の料理と言って良かった。
それを奪ったリグレットは完全にマリスと敵対関係になったと言ってよかった。
「見ず知らずの奴にバカ野郎呼ばわりされる覚えはねぇが、マリスってのは捕らえていたお姫様をまんまとかっさらわれたマヌケの事か?」
捕らえていたお姫様っていうのもシリスの事である。
マヌケとはマリスの事だ。
喧嘩腰の相手には喧嘩腰で答える。
目には目を歯には歯をだ。
「て、てめぇ、よくもマリス様の事を……」
「マヌケだって認めるってことだな、それは」
「ふざけるな、ぶっ殺す」
男はナイフを懐から出し威嚇する。
見たところ、特殊な力を持っている風でもない。
功を焦った、三下が手柄を求めて、リグレットに因縁をふっかけて来たのだろう。
主のマリスにとってはこれは様子見と言ったところだろう。
どこかで他の配下が見て、リグレットの力量を観察しているのだろう。
つまり、この戦いの戦法如何によって、マリスの出方も変わってくるという事でもある。
だとすれば、初っぱなから手の内を晒すことはできない。
何か他に隠し球があると思わせる事がマリスへの牽制にもなるからだ。
「おいおい、お前程度じゃ相手にならねぇよ。悪い事は言わねぇ。出直してきな」
相手を挑発するリグレット。
相手の男は頭に血が上っている。
今にも突進でもしてきそうな勢いだ。
だが、リグレットはそれをさせない。
間合いを微妙にずらし、タイミングを外しているのだ。
そのため、男は飛びかかりたくても動くタイミングがずれてしまい、足が前に進まなくなっているのだ。
元々、色々な格闘技などを学んでいたが、アエリスを倒すため、リグレットは死にものぐるいで自身のスキルを高めていった。
格闘というよりは死闘を目的としたスキルアップを果たしていて、目の前の男程度であれば、間合いだけで、飛びかかる勢いを削ぐくらいの事はできるようになっていた。
こんなろくすっぽ異能も使えないような雑魚に手の内を見せる必要はない。
適当にあしらって追い返すだけだ。
リグレットはそう考えていた。
だが、そうも言っていられない状況になってきた。
「マリス様の配下に役立たずはいらん」
「そ、そんな、だんなぁ〜っぴゃっ」
男が役不足だと悟った観察者が出てきた。
そのまま、男を殺害した。
マリスにとって、男はそれだけの存在。
役に立てば良し、役に立たないのなら、捨てるだけ。
役立たずに無駄飯は食わせられない。
間引くのみ。
それがマリスという魔女神のやり口だった。
自分に喧嘩を売って来た男を庇う訳ではないが、マリスの組織のそういう体質に吐き気を覚えるリグレットだった。
こういう状況に慣れていないのか、一緒に買い物をしていたシリスは男に絡まれた時から隅っこでずっと震えている。
本来、殺し合いとかするような女の子ではないのだ。
みんな仲良く、幸せになれれば良い――
そんな事を願う優しい女の子なのだ。
そういう心優しい気持ちを踏みにじる輩がリグレットは何より嫌いだった。
こういう時は素直にシリスのために戦いたいと思えるのだった。
「俺はこの役立たずの様にはいかんぞ」
男を殺害した観察者は毒づく。
「そうか?俺にはそこの骸と大差ないように思えるが」
リグレットは観察者に対しても挑発した。
この観察者は死体となった男とは違う事は何となく解っている。
何かの異能を持っている。
特別な力を持った者は大なり小なり、雰囲気が変わる。
それは少なからず、手にした力に精神の方も影響されているからだ。
むしろ、特別な力を手にしながら、普段と全く変わらない者の方が異常者だ。
「どこが違うかその身をもって確かめるんだな」
観察者はリグレットの易い挑発には乗らなかった。
自分の異能に自信を持っているからだろう。
観察者は腕をゴキゴキならす。
すると、両腕からびっしりトゲが生えた。
さっきは両腕が鉄のように硬化して、男を叩き殺した。
どうやら、両腕の質を変化させる異能を持っているようだ。
「シリス、そこ邪魔だ、もう少し離れていろ」
「う、うん……」
リグレットに指示されてシリスはその場から離れる。
「待ってるんだな、小娘。この愚か者の後はお前をじっくりいたぶってから殺してやる。それが、マリス様に刃向かった者の末路だ」
観察者はシリスを脅す。
「それは俺を殺せてから言うんだな。出来もしないことは口にしない方が良いんじゃねぇか?恥かくぞ。まぁ、くたばっちまったら恥もくそもねぇか」
「口の減らない奴だ。今、黙らせてやる」
観察者はそう言うと両腕のトゲから触手のようなものが伸びた。
無数の触手はウネウネと動き、リグレットに襲いかかる。
「黙るのはお前だよ」
「ぐっ……がっ……な、何をし……た……?」
観察者の動きが止まる。
地面に目を向けると魔法円が描かれていた。
その魔法円は魔女神マリスの魔法円の鏡文字の魔法円だった。
「やっぱ、そうか。思った通りだ。シリスを助け出した時、マリスの魔法円を見たとき、アエリスの魔法円と違っていたから魔法円は魔女神にとって重要な意味を持つとふんでいたんだ。ありがとよ。参考になったぜ、これで、アエリスをぶっ殺す手段が考えられるぜ」
リグレットの取った手段は桜色の異能を使い、茶色の魔女神マリスの逆魔法円を描く事だった。
それによって、プラスマイナス〇の状態となり、マリスの眷属である観察者はマリスからの加護を遮断される事になったのだ。
これはアエリスにも通用する事と考えて良かった。
親族と仲間の惨劇に立ち会っているリグレットはアエリスの魔法円もその目に焼き付けている。
つまり、アエリスの逆魔法円を描く事によって、アエリスの眷属の力も封じる事が出来るはずなのだ。
それを考えていたリグレットはマリスのアジトで出来たシリスの魔法円を壊してから脱出している。
そのため、シリスの魔法円は他の魔女神に知られる事はない。
マリスは契約の度に食い散らかすかのようにあちこちに自分の魔法円を残していた。
それはそれだけ、マリスの配下が多いという事でもあるが、逆に言えば、アジトのあちこちに配下の力を削ぐ弱点を残していたとも言える。
今回、マリスとの戦いはアエリスとの戦いを想定していたリグレットにとっては戦い方のヒントを貰えたラッキーな事でもあった。
観察者との戦いで、この逆魔法円が有効だという事を確認出来たのはかなりの収穫だった。
とは言っても動き続ける相手の足場に逆魔法円を描く事は難しいので、トラップとして使える程度ではあるが。
「ぐがが、畜生、畜生」
悔しがる観察者。
どんなに悔しがろうと身体が動かなかった。
それでも無理に動こうとしたので今度は魔法円から出た時、マリスの契約が完全に切れた状態となった。
マリスの加護を得られなくなった時、それまで使っていた両腕を変化させる異能が禍し、両腕から血が噴き出した。
何の力も失った今、腕を変形させていたので、筋繊維や皮が耐えきれず、両腕がズタズタになったのだ。
「これで、お前も役立たずだ。他の配下に殺されるか、人知れずひっそりと暮らすかどちらか好きな方を選べ」
リグレットはまるでくだらないものでも見るかのような表情で観察者を見る。
ざまぁ見ろとでも言いたげな顔で。
それを見ていたシリスは――
「人の不幸をそんな目で見るのは良くないと思う……よ」
とつぶやいた。
心優しき彼女は例え、自分を襲ってきた刺客であってもその後の不幸を考えると悲しい気持ちになるのだった。
「こいつはもう人じゃねぇよ」
リグレットは何を言っているんだという表情でシリスを見る。
「人だよ。この人もこの人に殺された人もちゃんと生きているし、生きていた」
そう良いながら、近くに落ちていた手頃な石を使って穴を掘っていた。
「何してんだよ?」
リグレットはシリスの行動が理解出来なかった。
「お墓を作っているの。この人、多分、お墓も作って貰えない。だから、せめてあたいがお墓を作ってあげようと思って。ダーリンはそっちの人の手当をしてあげて欲しいな」
「何やってんだ、こいつはお前も殺そうと思ってやってきた刺客だぞ。そこに転がっている死体だって同じだ」
「死んじゃったらみんな仏様だよ。弔ってあげる人がいないと可哀相でしょ」
「わからねぇ、なんなんだ、お前は」
「あたいは魔女神っていうのになっちゃったけど、心までそうなりたくないもん。だから、人間として行動したい。それだけだよ」
「お前……」
リグレットは動揺した。
自分達を襲ってくる刺客に対しては驚く程、冷静に対処出来た。
だが、シリスの行動は理解できない。
いや、理解は出来る。
ただ、認めたくないだけだった。
復讐に生きる自分の行動を否定されたみたいになったからだ。
復讐は何も生まない。
復讐は新たな復讐を生む。
それだけだ。
でもこれは単なる綺麗事。
普通の人は殺したいほど憎い相手を許せない。
許したくても許せないのだ。
だけど、これを実行しようとしている者が居た。
それも自分が忌み嫌っていた魔女神がだ。
シリスの行動は自分の醜さを、心の弱さを見透かされたような感じがした気がして仕方なかった。
「ダーリンを責めている訳じゃないよ。あたいだって、百人の命を奪って生きている罪人だもん。幸せになんてなれないかも知れない。だけど、何人殺すのも一緒、そんな感じには考えられない。どんな人だって、今まで生きてきた人生があるんだよ」
「解ってねぇんだよ、お前は。中にはねじくれまくって言葉の通じねぇ、クソみてぇな奴だっているんだ」
「そうかも知れない。でも、人との絆ってまず、相手の事を信じる事からはじめないといけないと思うよ。相手の事を信じられなかったら、そんなの友達じゃない。仲間じゃないよ。誰も信じられない人生なんて寂しいと思わない?」
「勝手にしろっ」
「勝手にしないよ。ちゃんとダーリンにも付き合ってもらいたい。ダーリン、いつも寂しそうだもん。仇を討ちたいって気持ちは否定できないけど、それでも日々の小さな幸せくらい感じてもらいたいもん。仇討ちだけの人生なんて悲しいよ」
「このっ」
リグレットはシリスの頬をはたこうとして止めた。
リグレットは復讐に生きる人間。
だから、幸せにはなれないと自覚している。
だけど、シリスは違う。
確かに、百人の命の犠牲の上に生きているが、それは彼女が望んでしている事ではない。
そんな中でも必死で人として生きようと思って、必死であがいている。
対して自分はどうだ?
復讐という狭い視野の中で生き、慈愛の心で人と接しているシリスの生き方を否定しようとしている。
彼女は光だ。
対して、自分は醜く歪んだ闇だ。
決して相容れない存在なのかも知れない。
自分はシリスと一緒にいるべきではないのかも知れない。
だが、自分以外の者と共に居れば恐らく、彼女は他の魔女神に殺されるだろう。
そんな気がした。
彼女は死なせるべきではない。
だから離れられないが、シリスと居るといつも激しく感情を揺さぶられる。
復讐を誓っている自分の心がかき乱される。
「あたいはダーリンの事、ちゃんと見ているよ」
シリスは優しく微笑む。
そんな彼女を見ているといたたまれなくなる。
とっととアエリスを倒して、自分は彼女の前から居なくなろう。
そう思うリグレットだった。
心を乱されたのはリグレットだけではなかった。
観察者もまた、動揺していた。
自分を殺そうとしていた者の手当を申し出るシリスの態度が信じられなかったからだ。
「お、俺を生かしておいたら必ず、お前を殺すぞ」
「そうしたら、また、ダーリンに守ってもらわないとね。でも、今、怒らせちゃったから守ってもらえないかも知れないな。困ったな」
観察者は自分を殺すと言っている相手を治療するシリスに対して何も出来ずに固まっていた。
観察者にとって、魔女神、マリスに使えるという事は絶対服従を強要されていて、その自由は保証されていなかった。
自分が殺した男同様に、役に立たなくなったら、それより上の立場の者に殺される。
殺されたくないから、役に立つために、必死で生きてきた。
正直、自分以外などどうでも良かった。
主であるマリスさえも。
ただ、マリスには茶色の魔女神との契約から逆らえなかったので、マリスに忠誠を誓っている気持ちになっていた。
だけど、目の前にいる、シリスとリグレットの関係は違っていた。
シリスもリグレットも自分の意見を言っている。
言った上で対立しても殺されない。
殺しあわない。
それは対等な立場であるという事を意味していた。
そして、対立しながらも、お互いを想いあい、離れない。
自分の人生にこんな事があっただろうか?
常に、上に対して怯え、他者を出し抜く事だけを生き甲斐に生きてきた。
それに比べて彼らの関係はなんて、温かいんだ。
観察者はそう思った。
「こんな事くらいで見返りを期待したところで無駄なんだよ」
「見返り?何でそんな事を言うの?傷ついたら、手当。当たり前の事だよ」
「殺してやる。殺してやるぞ」
「今は傷ついているからやめた方が良いよ。それより、あなたのお名前は?」
「俺は観察者だ。マリス様に忠誠を誓っている」
「観察者は名前じゃないでしょ?」
「観察者は観察者だ。他に名前はない」
「じゃあ、名前をつけてあげる。観察者じゃ不便でしょ?そうね、両腕を色んな形に変えられてたからレッグ君っていうのはどう?」
にっこりと微笑むシリス。
「バカ、レッグは足だ。腕はアームだ」
横で聞いていたリグレットがつっこむ。
「あ、そうなの?ごめん、間違えた、じゃあ、アーム君で」
言い直すシリス。
「……レッグで……良い」
観察者はつぶやいた。
つぶやいた上で自分で驚いた。
その言葉に対して驚いたのだ。
間違った知識とは言え、シリスが最初につけてくれた名前にしたい。
そう思ったのだ。
知らず知らずの内に、心を開いてしまっている自分が居たのに戸惑った。
「そう。じゃあ、レッグ君。よろしくね。あたいが名付け親なんだからね。親としてお願いします。あんまり無茶な事はしないでね」
「う……あうっ……」
動揺が言葉まで達していた。
観察者レッグは自分が赤面していることを感じていた。
明らかにシリスに対して好意を持ち始めている。
優しくされたから?
バカな?
親切に対して仇で返した事など山ほどある。
それが今のは何だ?
レッグは自分の行動が信じられなかった。
彼女は信じられる。
信じても良い。
そんな感情が生まれてきているのにびっくりしていた。
言ってみればこれも彼女の力なのだ。
人の気持ちを温かくさせる何かを彼女は持っている。
リグレットもそんな彼女の温かい心に触れたからこそ、どこか安らぎを感じ、自分でも知らず知らずの内に彼女に気持ちを依存させているのだ。
彼女と一緒に居たい。
だけど、その理由がない。
どうしたら良いんだ?
レッグはそう考えていた。
そんな時、シリスは思いもよらない提案をしてきた。
「レッグ君、これは提案なんだけど、このままダーリンとの戦いをやめてくれると約束してくれるなら、あたいの加護をあげても良いよ。そうしたら、腕も治ると思うけど、どうする?マリスさんにあたいを殺してって命令されているんなら、あたいの加護だけだとあたいを殺せなくなっちゃうけど、マリスさんに再契約してもらえるならあたいを殺す事も出来るようになると思うけど。出来ればやめてもらえたら助かるんだけどね」
「な、なんだと……?」
レッグはその提案に縋りたくてしかたなかった。
恐らく、マリスは再契約はしてくれないだろう。
それどころか敵の情けを受けた自分を始末するだろう。
それは解る。
だから、マリスの元に戻る気はない。
だけど、シリスと契約するなら彼女と一緒に居る口実が出来る。
仕方なく、一緒に居るんだという言い訳も立つ。
「俺は反対だ。こいつは裏切る可能性がある。俺は信じられない」
リグレットがシリスの提案に反対する。
当然だ。
さっきまで戦っていた、敵を信用するというのがおかしい。
「あたいは信じたいな。最低限のルールはあると思う。それを守らなかったら人じゃいられなくなる。レッグ君にもそれはあると思う。ダーリンと戦わないという約束くらい守ってくれると思うよ」
「そもそも、人ってのは簡単に裏切るもんだ。信じてもバカを見るだけだ」
「優しい気持ちには優しい気持ちで帰ってくると思うよ」
「シリス、お前は何にもわかっちゃいねぇ」
「あたいはバカだから色んな事知らないけど、それでも信じる気持ちは無くしたくないよ」
「絶対後悔する」
「しないよ。疑う方が後悔するもん」
「バカだ、お前は」
「バカでいいもん。あたいは信じたい」
敵である自分のために、意見を言ってくれているシリス。
それを感じると涙が出そうになった。
「ふんっ、敵の施しは受けねぇよ」
自分のために、唯一の味方と言っても良いリグレットに意見を言ってくれるシリスの気持ちがありがたかった。
だからこそ、こんな自分のために、彼女に悲しい気持ちをさせてはいけない。
自分が原因でもめるなら自分は仲間にならなくても良い。
そう判断して、離れる事にした。
彼女は自分には眩し過ぎる存在。
そして、そのままその場を離れようとしたその時――
バァンッ!
一発の銃声がなり、レッグの心臓を貫通した。
「がっ……」
意識が遠くなっていく気がした。
恐らく、新たなる観察者が役立たずになった自分を始末するために狙撃したのだろう。
それがわかった。
マリスの逆鱗に触れ、始末されたのだ。
そう理解した。
そして、そのまま意識が遠くなっていった。
レッグが気づいた時、彼はベッドの上にいた。
「ごめんね。緊急事態だったから……」
シリスがすまなそうに謝る。
話を聞くと、シリスはレッグの命を助けるために、強制契約をした。
彼の頬にキスをしたのだ。
それにより、レッグはシリスの桜色の眷属となった。
契約時の超再生力により、心臓にあいた穴は塞がり、腕の傷も治った。
レッグを撃った刺客はリグレットが始末した。
刺客にはレッグとの契約時の魔法円を見られていたので、そのまま戻られると厄介な事になると判断したからだ。
シリスはその狙撃者の命を奪った事にも悲しい気持ちになっていたが、助けられなかった。
絶命してしまうといくらシリスでも契約することは出来ない。
魂が肉体に宿っている状態じゃないと契約出来ないからだ。
「よ、余計な事を……」
そう良いながら止めどなく涙が出た。
自分など、何時死んでも良い。
そう思って、狙撃も受け入れたレッグにとって、シリスの行動は聖母として映った。
「本当にごめんね。未熟だから、自由に契約を解除出来ないの」
本当にすまなそうにレッグを見つめるシリス。
その顔を見たレッグは決意した。
まだ、治りきっていない身体を起こし、シリスの前に跪き――
「俺は誓う。俺の命はあんたのために使ってくれ」
と宣言した。
「何言っていやがるてめぇ……」
レッグの突然の宣言にリグレットが動揺した。
何が起きたのか理解出来なかったからだ。
だが、なんとなくだが、理解出来る部分もある。
レッグはシリスの優しさに触れたのだ。
触れた上で、心の底から彼女に忠誠を誓ったのだ。
まるで、女王に忠誠を誓う騎士のように。
それは復讐者リグレットにとって、眩しすぎる光景だった。
それを示すかのように、腕の異能は桜色の眷属となったレッグの足についた。
「忠誠とかは良いよ。お友達になってくれればそれで」
「いいや、俺はあんたのために行動する事に決めた」
「そんなの良いのに……」
申し訳なさそうなシリス。
「俺は認めねぇ」
リグレットは相変わらず反対する。
「お前に認められる必要はない。俺はシリス様に忠誠を誓ったんだ。お前にじゃない」
「て、てめぇ……」
「二人とも喧嘩はやめてよ。せっかく仲間が増えたんだから、今はそれを喜ぼうよ」
「喜べるか」
「俺は喜べる。シリス様に仕えられる事をな。お前と仲間だというのは納得いかないが」
「俺もだ。奇遇だな」
「ふふふ」
「ははは」
「もう、にらみ合いはやめてよ。仲良くいようよ、仲良く」
人が死んだ。
だけど、小さな幸せの瞬間もちょっとだけあった事も事実だ。
魔女神であるシリスには常に死がつきまとう。
そんな状況でも仲間が出来たという喜びは素直に喜ぼうと思うシリスだった。
第一章 第三節 動き出す魔女神達
「俺が知っている情報はここまでだ」
新たに仲間になったレッグが知っている分だけの茶色の魔女神マリスの情報をリグレットとシリスに伝えた。
リグレットに伝えるのはしゃくだったが、それでもリグレットはシリスを守る立場にある。
リグレットに有利だという事はシリスにとっても同じ意味なので、仕方ないと割り切っていた。
レッグが伝えた情報――
それは、茶色の魔女神マリスの幹部達の情報だった。
【ホルン(角)】を指揮する幹部二名の名前は【ゼーロイバー(海賊)】と【バンディート(山賊)】と言い、共に、巨大な身体を持つ怪物だと言う。
身体の大きさはマリスの【ビッグゴッデス】の半分以下だが、それでも見上げる程の大きさをもつ巨人だ。
続いて【シュトースツァーン(牙)】を指揮する幹部二名の名前は【ネーベル(霧)】と【ヴォルケ(雲)】と言い、共に、実態のつかめない謎の存在だと言う。
その姿を見た者はマリスを除けば誰もおらず、実体のない幽霊だと囁くものもいると言う。
続く【シュナーベル(くちばし)】を指揮する幹部二名の名前は【マスケ(仮面)】と【シュペンダー(ドナー)】言い、共に集団戦を得意とすると言う。
【マスケ】は達人クラスの体術使いで、配下の者にマスクをつけさせる事によって、自分の力をコピーさせることが出来、【シュペンダー】は配下の者達と身体の一部を交換することによって、力をカスタマイズすることが出来ると言う。
続く【ペルツ(毛皮)】を指揮する幹部二名の名前は【アーダム(アダム)】と【エーファ(イブ/エバ)】と言い、自在に怪物を産み落とす事が出来るという。
【アーダム】と【エーファ】は常にペアで行動し、自在に操る怪物をいつでも産み落とせる状態にしていて、怪物を産む【エーファ】を【アーダム】が守る形を取っているという。
最後に、最高幹部であり茶色の魔女神マリスの側近を務めるのが、【ゲーン(遺伝子)】と呼ばれる男で、その力は謎に包まれているという。
他にも異能を持つ配下は大勢いるが、主力となっているのはこの9名だと言う。
いずれもレッグにとっては雲の上の存在。
まともに立ち向かって勝てる相手ではない事は確かだった。
そう、例え、レッグが命をかけたとしてもこの幹部達が相手では時間稼ぎにもならないだろう。
悔しいが、自分より、ずっと実力が上であるリグレットに頼る事でしかシリスを守る事に繋がらない事を彼は理解していた。
幹部を抜かしても【ホルン】、【シュトースツァーン】、【シュナーベル】、【ペルツ】の各勢力に人員は千人以上は居る。
茶色の魔女神マリスは配下の多いことで有名な魔女神だ。
魔女神の中でも配下の多さでは三本の指に入る。
軽く見積もっても四千人との戦いになるのだ。
配下全員が異能の持ち主ではないが、戦力としては無視できない数だ。
「ふんっ、四千人だろうがなんだろうが、一人残らず叩き潰してやるよ」
リグレットはあくまでも強きだった。
元々、一人で大勢を相手にするつもりだったのだ、それが今回、たまたま、四千人いた――
ただ、それだけの事だった。
「お、多いね……それ……」
逆に、シリスは尻込みしていた。
そんな数の人間を敵に回した事に恐怖を覚えていた。
「そんな事よりも今は動かない方が良いぞ」
三人の会話を聞いていた情報屋のカルロスが口を挟む。
彼が掴んだ情報では今、動き出しているのはマリスだけでは無いことが解ったからだ。
マリスとシリスが争いを始めようとしていたという事は他の魔女神同士でも同様の事が起きても不思議ではないという事でもある。
マリスとシリスが居る場所からそう遠くないエリアで、赤紫色の魔女神ユーリスと青紫色の魔女神ケアリスが小競り合いを始めたという情報が飛び込んできたのだ。
その飛び火からかベージュの魔女神ナリスと黄土色の魔女神アーリスも戦いを始めたという情報もある。
下位の魔女神達はその地位向上のため、下位同士、戦いを始めていたのだ。
この状況下で下手に、マリスとの戦いを開始したら、三つ巴、四つ巴の争いにだって発展しかねない状況だった。
それに、あまり、下位の魔女神同士の戦いが頻発してくると中位の魔女神が戦いに介入する危険性もある。
激戦区である中位魔女神達にとって、自分達と同じ立ち位置に新たに参入してくる魔女神は目障りであることには違いないはずである。
まだ、育ちきっていない内に刈り取りに来るという事も十分に考えられるのだ。
だが、いかにリグレット達が戦いを拒んだとしても、既に、マリスの顔に泥を塗ったような状態である以上、彼らに拒否権はない。
あくまでもマリスの方に大人しく状況を見守ってもらうしかないのだ。
状況はそんなに都合良く進む訳はなかった。
恐らく、近くで戦っている魔女神達の状況を確認した後は本格的にシリスを始末するために動き出すだろう。
戦力として弱い、シリスの存在を迂闊に他の魔女神達に晒す訳にもいかない。
例え、マリスを倒せたとしても他の魔女神に襲われたら元も子もないのだ。
上手く戦いを調節して生き残る事が大事だった。
リグレットにとって、アエリスののど元にたどり着くまでは他の魔女神との戦いに巻き込まれて死ぬわけにはいかない。
新たに仲間に加わったレッグはマリスにとっては幹部ですらない小者に過ぎない。
その状態では自分が何とかするしか生き残る術はない。
悲壮感を漂わせて落ち込むのは柄じゃない。
何が何でも生き残ってやる。
リグレットはそう誓うのだった。
そして、不安そうな表情を浮かべるシリスを見る。
「ん?なぁに、ダーリン」
「何でもねぇよ」
彼女を何とか守ってやりたい。
そんな気持ちも少し持っていた。
最初は素直になれなかったが、レッグのシリスに対する態度を見て、リグレットも少し前向きに考えるようになっていた。
「……何でみんな喧嘩するんだろうね?悲しいね」
「死にたくねぇからやるんだよ。やる前にやる。それだけだ」
「みんなが優しい気持ちになれたら、良いのにな」
「それは無理な相談だ」
「そうなのかな?」
「きまってんだろ」
そう言うとシリスは悲しそうな顔をさらに曇らせた。
それを良しとしないで、顔を振り、気持ちを切り替えるように笑顔を作って見せた。
リグレットとレッグにはそれが痛々しく映った。
続く。
登場キャラクター紹介
001 リグレット・ギルティー
本作の主人公。
元、婚約者でもある紫の魔女神アエリスによって親戚一同と仲間達を全員殺されて、アエリスに復讐を誓う青年。
復讐こそが生き甲斐と感じていたが、ひょんな事から桜色の魔女神シリスを助けた事から気持ちが変化していく。
紫と桜色の二種類の魔女神の加護を得ている。
002 シリス・パクッター
本作のヒロイン。
茶色の魔女神マリスに捕まっていたが、リグレットに助け出され、以降、彼と行動を共にする。
桜色の魔女神として覚醒するが、魔女神とは思えない程、優しい心を持っている。
何となく助けてあげたい気持ちにさせる女の子。
003 カルロス
リグレットとシリスが仮のアジトとしているバーのマスター。
本職は情報屋。
シリスを看板娘として雇っている。
分別のある大人としてリグレットとシリスを見守っている。
004 レッグ
茶色の魔女神マリスの刺客としてリグレット達の前に立ち塞がった。
元々、観察者として名乗っていて、正式な名前を持っていなかったが、名付け親になってくれたシリスの優しさに触れ、彼女のために生きようと改心する。
マリスの配下時代は両腕を変化させる異能を持っていたが、シリスの属性に変わってからはそれが足に移る。
005 アエリス・ギルティー
リグレットの元婚約者にして紫の魔女神。
残忍な性格でリグレットの親戚や仲間をためらいなく惨殺し、その胆を喰らって魔女神となった。
どんどん力をつけて、中位クラスの魔女神に数えられるようになっている。
006 マリス・フカキツミ
元々、シリスを捕らえていただ、リグレットが彼女を助けた事により対立する事になった茶色の魔女神。
下位の魔女神の一人で配下を物のように扱っている。
中位の魔女神となるためにシリスを殺そうとしている。